Shine Apple

あるちゃいる

文字の大きさ
61 / 88

六十一話

しおりを挟む


 (固定魔法……固定……固定……うーん……)と、考えているが、いまいちどうやれば良いか分からない。

 『何処かに固定用の魔法陣でもあれば参考にするのに』と、小さく呟く。

 「あるじゃない隣国の王城に正一の作った奴が」
 と、ラメルが言う

 「あ……」
 と、俺も思い出したがあの場所はこちらの王都から行かなきゃ直ぐに辿り着けない事にも気付く。

 「駄目だよラメル、直ぐに必要なんだから態々王様に謁見して許可なんて「貰う必要ないわよ?」……は?」

 「だってあなた許可書貰ったでしょ? あの部屋まで行ける許可書よ、忘れたの?」
 「え……あれって再契約する時用じゃないの?」
 「んーまぁそうだけど……いーんじゃない?」

 と、ラメルもあやふやだったが、止める人も居ないでしょ? って事で一応納得し、トリーユ夫妻と再開を喜ぶメリヌ達に城に行くと言ってラメルと出かけた。









 城に着くと何故か執務室に通された俺達の前に、王様と公爵に学園長が座る。

 『何何これ?ちょっとタクミ!』
 と、焦った声でラメルが脳内通信で聞いてくる。が、俺にもさっぱり分からないので『さぁ?』としか言えないでいると、学園長が話を始めた。

 「魔導師タクミ様にいきなりで失礼かと思いましたが、一つ宜しいでしょうか?」
 「え、……え?……あれ? 知って……る?」
 「あ、申し訳ありません魔導師タクミ様、私は学園長ではありますが元この国の将軍を努めておりましたゆえ……タクミ様の隠してる身分は知っていました」と、言う。

 口をあんぐり開けて驚いてる俺の前でニヤリと笑いながら公爵も言う

 「タクミ、黙ってて悪かったが実は俺もこの国の将軍だ、現役だがなガハガハガハ」
 と、照れても全然可愛くないマトリカーサス公爵が笑う。

 驚いてる俺の横で足を組み直しながらラメルが

 「で? タクミに話って何? 私達忙しいのよ」
 と、苛立ちながら言う。

 どうやらコイツには敬うという言葉は無いらしい。
 ヒヤヒヤしながら見ていると学園長が答える

 「すまないが魔導師タクミ様、学園の講師達全員に貴方様の身分を明かしても良いだろうか……」
 「っていうか、もう話はしたんだけどなガハガハガハ」
 「ば、馬鹿先に言うな!物事には順序があると教えただろうが!」
 と、公爵の頭を引っ叩く学園長

 それでも一応公爵なんだけど叩いて大丈夫なのか聞くと

 「先輩なんだからいーんですよ」
 と、学園長は笑いながら公爵の禿げた部分をパンパン叩きながらいう。

 そんな事より話に戻ろうと思って言葉の意味を探る。てか、最初からこちらの拒否権は全く無いじゃないか。

 しかし、今更言ったことに責任を取らせても無意味なので取り敢えず何故か聞いた。

 「講師の殆どは貴族なんです……」
 と、話し出した学園長は肉肉しげにしながら貴族達の事を話し始めた。

 何でも貴族というのはプライドだけは高いらしく、我儘が通らないと殺人さえ厭わないのだそうだ。
 そして、今回一人の講師が妬みから暴走して王城で暴れそうになった所を取り押さえたという。
 その者は一応厳重注意を言い渡されたが、プライドが高い為に次も何かやらかす筈だと学園長は思ってるそうだ。

 「本当にアイツラはいっぺん滅びればいーんだ……」

 (学園長貴族嫌いなのかな?……)
 新しい発見に頷いてる俺に同意したと勘違いした学園長は胸をなでおろす。
 (俺が反対しても事実もう話してしまっているので何ともな~)っと思っていると、今度はラメルの方を見ながら険しそうな顔をして言葉を続ける学園長。


 「おい、闇精霊 お前も少し自重しろ」

 何故か喧嘩腰の学園長を見る。

 「あー、タクミ。 お前歴史は卒業出来るまで覚えたらしいな」
 「え?ああ、中々面白かったし覚えたよ公爵様」
 「なら、王魔歴1503年の魔族との戦争時に魔王が王都を襲撃して半壊させた話は知っているな?」
 「ああ、知ってるけど……」
 「その魔王がラメルだよ」
 そう言って公爵はラメルを見る。

 「……は? ラメルが魔王? え、だってラメルは精霊だろう?」

 困惑しながら聞き返すと学園長が続ける
 「正確には殺戮王と恐れられた魔王はラメルの眷属じゃった」

 「はぁぁぁあ⁉ 眷属⁉」

 それを聞いて驚いてラメルを見ると、眉間にシワを寄せて学園長を睨んでいる。
 
 「昔の話をなぜ今更蒸し返してんだよ、コノふるネズミの爺が……」

 全身から黒いオーラを垂れ流しながら殺気で威圧し始めてるラメル
 それに応えるように学園長も殺気をラメルに注ぎ、一触即発の状態になっていく。

 睨み合う二人にため息を吐きながら
 「抑えよラメル……ガルプスも過ぎた事だろうし落ち着け!」
 そう王様が咎めると双方同時に殺気飛ばしを止めた。

 魔王を倒したのは正一だった。
 その頃正一は魔森の街や隣の大国を作った時期で、当時の王様が魔族との戦争で半壊した王都を守る為に、正一にヘルプを出したのだ。

 その戦いで魔王は滅び、親玉(ラメル)が出てきた所を捕獲した
 罰を与えるとか、殺す事も出来ない精霊をどーするかと悩みに悩んだ末、正一がある提案を持ち掛けた。
 当時魔森から溢れる瘴気で各地に魔獣を生み出す沼が出現していた、それを魔森だけに抑える為に力を貸せと伝えた。
 そして、此度の戦争責任の代償と世界を平和な世の中にする為に、契約したのが始まりだった。

 「ふん、取り敢えずラメルよ無意識に出してるのか知らんが【嫉妬】を身体から発するのを辞めろ! そのお陰で優秀な者達が闇落ちしてるんだよ」

 「そんなの私のせいじゃなく無い? 心の弱い講師が悪いだけじゃない!」

 そう言ってラメルは憤る。

 「嫉妬を司る闇精霊が世界に顕現してるだけで弱い人間から侵されていくのは貴様も分かっているだろう? 初代様の時もヨネ様の時も影に潜み出て来なかったのに、何故タクミ様の代になったら出て来てるんじゃ……?」

 「何よ! 悪いっていうの⁉」
 台パンしながらラメルが怒る

 「悪いとは言うておらん、自重しろと言うてるだけじゃ!」
 台パン仕返しながら学園長も怒る。

 「双方落ち着けって言っている!」
 それを咎める王様が台パンすると、何らかの制限魔法が掛かるのか、ラメルが少し苦しむ様だ。

 「タクミ様、今精霊は幾つくらい契約してますか?」

 そう俺を見ながら王様が問うので
 「多分全てですかね」
 「全て……ですか、なる程……すると光の精霊は……」
 「二匹居ますね」
 「フムフム……」

 王様が言うには、普通は一匹としか契約はしないらしいのだが、既に俺は闇精霊と契約しているので、他の精霊と契約するには制約があったらしい。が、今回闇精霊から呼び出した事で、制約が無くなったらしい事が分かった。

 「闇精霊の力は夜になると強くなる、だからラメルには夜はタクミ様の影に潜む様にしてくれ」
 それさえすれば封印にシフトする事は無いという。

 「ぐ……タクミ~(泣)助けてぇ」

 何故か俺にフルラメルだったが、コレからも似たような事が続くと厄介なのは確かだった。

 「ラメル、ごめん……俺も穏やかな日常は送りたい」
 そう言うと王様達はホッとした。
 ラメルは落ち込んだが……
 偶に二人で出掛ける事を条件にしたら、二つ返事で了承した。

 「メリヌも抜きだからね?絶対だよ?」
 と、先程まで殺気を飛ばし合っていたとは思えない程の満面の笑みをするラメルを見てた学園長はため息を吐き出して
 「どうやら懐かれましたなタクミ様」

 そう言って笑った。

 滞り無く話が終わったのが余程嬉しかったのか、この後食事でもという王様の申し出を断って、用事があるからと伝え、その場を跡にした。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

転生先はパラレルワールドだった

こぶたファクトリー
ファンタジー
病に倒れた孤独なアラフィフ男。 転生先は元の世界の面影を残しつつも明らかに違う、異形の存在に侵略されつつある並行世界だった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...