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六十一話
しおりを挟む(固定魔法……固定……固定……うーん……)と、考えているが、いまいちどうやれば良いか分からない。
『何処かに固定用の魔法陣でもあれば参考にするのに』と、小さく呟く。
「あるじゃない隣国の王城に正一の作った奴が」
と、ラメルが言う
「あ……」
と、俺も思い出したがあの場所はこちらの王都から行かなきゃ直ぐに辿り着けない事にも気付く。
「駄目だよラメル、直ぐに必要なんだから態々王様に謁見して許可なんて「貰う必要ないわよ?」……は?」
「だってあなた許可書貰ったでしょ? あの部屋まで行ける許可書よ、忘れたの?」
「え……あれって再契約する時用じゃないの?」
「んーまぁそうだけど……いーんじゃない?」
と、ラメルもあやふやだったが、止める人も居ないでしょ? って事で一応納得し、トリーユ夫妻と再開を喜ぶメリヌ達に城に行くと言ってラメルと出かけた。
城に着くと何故か執務室に通された俺達の前に、王様と公爵に学園長が座る。
『何何これ?ちょっとタクミ!』
と、焦った声でラメルが脳内通信で聞いてくる。が、俺にもさっぱり分からないので『さぁ?』としか言えないでいると、学園長が話を始めた。
「魔導師タクミ様にいきなりで失礼かと思いましたが、一つ宜しいでしょうか?」
「え、……え?……あれ? 知って……る?」
「あ、申し訳ありません魔導師タクミ様、私は学園長ではありますが元この国の将軍を努めておりましたゆえ……タクミ様の隠してる身分は知っていました」と、言う。
口をあんぐり開けて驚いてる俺の前でニヤリと笑いながら公爵も言う
「タクミ、黙ってて悪かったが実は俺もこの国の将軍だ、現役だがなガハガハガハ」
と、照れても全然可愛くないマトリカーサス公爵が笑う。
驚いてる俺の横で足を組み直しながらラメルが
「で? タクミに話って何? 私達忙しいのよ」
と、苛立ちながら言う。
どうやらコイツには敬うという言葉は無いらしい。
ヒヤヒヤしながら見ていると学園長が答える
「すまないが魔導師タクミ様、学園の講師達全員に貴方様の身分を明かしても良いだろうか……」
「っていうか、もう話はしたんだけどなガハガハガハ」
「ば、馬鹿先に言うな!物事には順序があると教えただろうが!」
と、公爵の頭を引っ叩く学園長
それでも一応公爵なんだけど叩いて大丈夫なのか聞くと
「先輩なんだからいーんですよ」
と、学園長は笑いながら公爵の禿げた部分をパンパン叩きながらいう。
そんな事より話に戻ろうと思って言葉の意味を探る。てか、最初からこちらの拒否権は全く無いじゃないか。
しかし、今更言ったことに責任を取らせても無意味なので取り敢えず何故か聞いた。
「講師の殆どは貴族なんです……」
と、話し出した学園長は肉肉しげにしながら貴族達の事を話し始めた。
何でも貴族というのはプライドだけは高いらしく、我儘が通らないと殺人さえ厭わないのだそうだ。
そして、今回一人の講師が妬みから暴走して王城で暴れそうになった所を取り押さえたという。
その者は一応厳重注意を言い渡されたが、プライドが高い為に次も何かやらかす筈だと学園長は思ってるそうだ。
「本当にアイツラはいっぺん滅びればいーんだ……」
(学園長貴族嫌いなのかな?……)
新しい発見に頷いてる俺に同意したと勘違いした学園長は胸をなでおろす。
(俺が反対しても事実もう話してしまっているので何ともな~)っと思っていると、今度はラメルの方を見ながら険しそうな顔をして言葉を続ける学園長。
「おい、闇精霊 お前も少し自重しろ」
何故か喧嘩腰の学園長を見る。
「あー、タクミ。 お前歴史は卒業出来るまで覚えたらしいな」
「え?ああ、中々面白かったし覚えたよ公爵様」
「なら、王魔歴1503年の魔族との戦争時に魔王が王都を襲撃して半壊させた話は知っているな?」
「ああ、知ってるけど……」
「その魔王がラメルだよ」
そう言って公爵はラメルを見る。
「……は? ラメルが魔王? え、だってラメルは精霊だろう?」
困惑しながら聞き返すと学園長が続ける
「正確には殺戮王と恐れられた魔王はラメルの眷属じゃった」
「はぁぁぁあ⁉ 眷属⁉」
それを聞いて驚いてラメルを見ると、眉間にシワを寄せて学園長を睨んでいる。
「昔の話をなぜ今更蒸し返してんだよ、コノ古ネズミの爺が……」
全身から黒いオーラを垂れ流しながら殺気で威圧し始めてるラメル
それに応えるように学園長も殺気をラメルに注ぎ、一触即発の状態になっていく。
睨み合う二人にため息を吐きながら
「抑えよラメル……ガルプスも過ぎた事だろうし落ち着け!」
そう王様が咎めると双方同時に殺気飛ばしを止めた。
魔王を倒したのは正一だった。
その頃正一は魔森の街や隣の大国を作った時期で、当時の王様が魔族との戦争で半壊した王都を守る為に、正一にヘルプを出したのだ。
その戦いで魔王は滅び、親玉(ラメル)が出てきた所を捕獲した
罰を与えるとか、殺す事も出来ない精霊をどーするかと悩みに悩んだ末、正一がある提案を持ち掛けた。
当時魔森から溢れる瘴気で各地に魔獣を生み出す沼が出現していた、それを魔森だけに抑える為に力を貸せと伝えた。
そして、此度の戦争責任の代償と世界を平和な世の中にする為に、契約したのが始まりだった。
「ふん、取り敢えずラメルよ無意識に出してるのか知らんが【嫉妬】を身体から発するのを辞めろ! そのお陰で優秀な者達が闇落ちしてるんだよ」
「そんなの私のせいじゃなく無い? 心の弱い講師が悪いだけじゃない!」
そう言ってラメルは憤る。
「嫉妬を司る闇精霊が世界に顕現してるだけで弱い人間から侵されていくのは貴様も分かっているだろう? 初代様の時もヨネ様の時も影に潜み出て来なかったのに、何故タクミ様の代になったら出て来てるんじゃ……?」
「何よ! 悪いっていうの⁉」
台パンしながらラメルが怒る
「悪いとは言うておらん、自重しろと言うてるだけじゃ!」
台パン仕返しながら学園長も怒る。
「双方落ち着けって言っている!」
それを咎める王様が台パンすると、何らかの制限魔法が掛かるのか、ラメルが少し苦しむ様だ。
「タクミ様、今精霊は幾つくらい契約してますか?」
そう俺を見ながら王様が問うので
「多分全てですかね」
「全て……ですか、なる程……すると光の精霊は……」
「二匹居ますね」
「フムフム……」
王様が言うには、普通は一匹としか契約はしないらしいのだが、既に俺は闇精霊と契約しているので、他の精霊と契約するには制約があったらしい。が、今回闇精霊から呼び出した事で、制約が無くなったらしい事が分かった。
「闇精霊の力は夜になると強くなる、だからラメルには夜はタクミ様の影に潜む様にしてくれ」
それさえすれば封印にシフトする事は無いという。
「ぐ……タクミ~(泣)助けてぇ」
何故か俺にフルラメルだったが、コレからも似たような事が続くと厄介なのは確かだった。
「ラメル、ごめん……俺も穏やかな日常は送りたい」
そう言うと王様達はホッとした。
ラメルは落ち込んだが……
偶に二人で出掛ける事を条件にしたら、二つ返事で了承した。
「メリヌも抜きだからね?絶対だよ?」
と、先程まで殺気を飛ばし合っていたとは思えない程の満面の笑みをするラメルを見てた学園長はため息を吐き出して
「どうやら懐かれましたなタクミ様」
そう言って笑った。
滞り無く話が終わったのが余程嬉しかったのか、この後食事でもという王様の申し出を断って、用事があるからと伝え、その場を跡にした。
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