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あるちゃいる

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七十八話

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 「井戸から飛び出したら人が居てな? で、運悪くその人の上に落ちたんだよ……そしたら鎧がもろに頭に当たって……」

 メリヌは老けたタクミを少し力強く殴ったあと、何があったか詳しく聞いてるところだった。

 着ていた甲冑が頭にクリーンヒットした男性は命は取り留めたものの、記憶喪失になってしまい、仕方なく傷だけ直して船に乗せ外国へ行って貰った。

 顔は魔法で似せて作り、しばらくの間その男性のふりをして生きていた。
 が、ある時ふとした事でバレてしまった。
 だが、自分に妖力があると知ると、猿みたいな顔の男が仲良くしてくれた。
 その数年後、もう一人とも仲良くなり、猿ちゃんみっちゃんタタミちゃんと呼び合う仲になった。
 
 三人仲良くのんびりと暮らそうと思っていたが、激動の流れに乗せられてウッカリ天下を統一してしまった。

 で、その時の祝の酒に一服盛られたタクミは顔をもとに戻されたあと、城から追い出されてしまった。

 助けを求めて親しくなってたみっちゃんや猿ちゃんに相談したが、既にラメルの手に落ちて手酷く裏切られた。

 そのままタクミは友人関係にあった女の子を人質に取られ

 「猿ちゃんの部下のロリコンに嫁がせられたく無かったら言うことを聞け」

 と、脅かされた。

 弱みを握られたタクミはみっちゃんの部下としてこき使われる様になった。

 「で、俺に一服盛ったのがラメルだ」
 タクミはラメルを睨みながら憎々しげに言う。

 「だって……呼び名が魔王なのよ? そんな呼び方されたら私がなりたくなるに決まってるじゃない? だからタクミより強いアピールして懐柔したのよ」

 うさぎの指をニジニジしながら呟く様に言うラメルは、見た目は可愛かった。が、言ってる事は理解されなかった。

 「で、俺はみっちゃんの部隊の足軽長になったんだが、チャンスを伺いながら何年か過ごして、そのチャンスがようやく来たのが四日前だ」

 何処かへ戦闘に行くと聞いた時、ラメルは何処かの寺にいた。

 他の部下達も何処かに出掛けて不在だった事を知ったタクミは、みっちゃんが馬上に乗り、何か掛け声を発する前にサイレンスの魔法と声真似魔法を使って

 『敵は〇〇寺にあり!』

 と、叫んだそうだ。
 目を見開き慌てるみっちゃんを、そのまま拘束して動きを阻害したタクミは、一番槍を努めてラメルの居るであろう寺へ誰よりも早く突っ込んだ。

 そのまま魔法で火を付け煙を目隠しにすると、ラメルの居る場所へと趣き素早く簀巻にした、そしてそのまま強制的に自分の影へと押し込んだ。

 そのまま寺を飛び出し、跡はみっちゃんに丸投げして、これまた自分を裏切った猿ちゃんの元へと駆け出した。

 使者のふりして猿ちゃんの本陣へと赴くと事のあらましを伝えた、自分の上司が裏切られて討ち取られたという話を聞いた猿ちゃんは頑張って走ったが間に合わないと踏んでいたタクミは、影から猿ちゃんの部隊を回復しながら見守り、ある程度の距離まで来ると跡は任せたと呟きながら井戸のあった場所まで戻って飛び込んだそうだ。

 その時、全体が影になったことでラメルが外に出やすくなり、言い争いしながら元の場所へ帰ってきたという。

 「腹の子供ってのは何?」

 全て話終わったと思ったらメリヌは肝心な事を聞いてないからと、許す気はないようだった。

 「昔からの友人みたいな感じで数年間過ごしてきた奴等に裏切られて憔悴してた俺を慰めてくれてさ……その……体の関係になっちゃって……えと……」

 恐る恐るメリヌを見上げるタクミは全てを話し始めた。

 顔も可愛かったしついうっかり抱きしめたら止まらなくなってと言い訳したが、当然理解などされずさらに殴られた。

 で、その後の話を虫の息になりながら語る。

 既にその頃にはみっちゃんの陣営に居た為会えにも行けないし、腹は大きくなるしで困ったタクミは、仕方なく恥を忍んで変態に説明したら、快く胸を叩いて任せろというのでお願いしてきたそうだ。

 「それ大丈夫なの?」
 「んー……まぁ嫁は大事にする奴だったし大丈夫だろ……槍を持たせれば強い奴だったから出世もするだろうし?」

 「ふーん……」

 何とか話を終えると、ラメルに襟首を掴まれて引きずられた。

 何だと思ったら時間も無いから次に行くと言うので、次にもやらかさないか心配になったので

 「マロン!チェリー!一緒に来てくれ!」

 と、叫んだ。

 ラメルは嫌な顔をしたが、仕方ないと諦めて井戸へと近づく。

 襟首を引かれて息苦しかったタクミは、立ち上がろうとしたその時下からも引っ張られ息が止まる。

 今度は何だと思い下を見ると、足元にはメリヌが居て、体をグイグイと引っ張っていた。

 「あたしも行くからね!」

 そう言って引き摺られるタクミの足にしがみついた。

 (ちょ……苦しいから放して!)

 と、声にならない言葉を呟きながら井戸の奥へと落ちていった。


  

 
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