奴隷少年の華麗なる逆転人生〜運しかスキルが無いので家を追い出されました〜

お終い

　「……先ず、資金を貯めましょう。それから仲間を集めましょう……」

　そう言うと拳を握り誓う様に天を仰ぎながら言う。

　「父王を倒し、王太子を断罪する為には力を付けなければ！」

　「セダス、ルカン……僕に力を貸してくださいませんか？」

　そう言って手を差し出す。

　ルカンは直ぐにその手を握ると
　「当たり前だろ？」とニヤリと笑う。
　セダスは涙を貯めながら両手で握ると頬ずりしながら無言で頷いた。

　少し背中がゾッとしたが、セダスも了承したと思う事にしたナラクは、呆然とセダスの手元を見てる女性に声を掛けた。

　「君にも手伝ってもらいたい」
　「わ、私がですか？」
　まさか自分にも手を貸せと言われるとは思っていなかったシエラは、驚いた。
　「君には僕とルカン、そしてセダスの嘘情報をアルバード兄様に定期的に伝えてほしいんだ」
　「嘘情報ですか？」
　「そう、例えば賭けに負けて借金を背負いタコ部屋で土木作業をしているとかってね」
　「な、なるほど……」
　旅には同行してもいいし、ついて来るだけでも良いと言われたシエラは、一人で行動した方が気楽だからと、影から追うと言い。

　その次の日の朝から姿を消した。
　ルカンが言うにな気配はするそうだ。

　次の宿場町では賭博を梯して資金集めをする事にして、馬車へと乗り込み出立した。

　それから三年掛けて国々を巡り賭博で資金集めをする一方、仲間を集めた。

　相変わらず自分以外の運だけが良いのか、集まる人全員が何らかのスキルを体得したり、賭博で勝ちまくった。

　だが、集まる人間が裕福に成ればなるほど自分も裕福になっていったナラク。

　何時しか大勢の仲間と王と一戦交える事が出来そうな程の資金を集めた。

　ハイランドの前に武装した仲間と共に対峙した晩。

　王と王太子が毒殺されたと一報が入り、確認する為に城へと凱旋したナラクが見たのは、食事中に倒れたままの王と王太子、その横で倒れる王妃の姿だった。

　既に三人共意識はなく亡くなっていた。王妃の横には数々の不正を印した書類があり、それを元に関わった貴族たちを討ち滅ぼした。

　そして、更に二年後新王と成ったナラクの横にはシエラとルカンとセダスの姿があったという。

　因みにアルバードは王城の司書として働くことになって、一年中本を読む幸せを得た。