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2話
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骨を鳴らすのは余り良く無い事らしい。
寝起きに身体を伸ばし最後に左右の爪先をくっつけて、脹脛辺の骨をパキパキっと鳴らすのが習慣だった。
太腿と腰の筋肉痛が治まったと思ったら
脹脛にきてた。いつものように伸びをして爪先を付けた瞬間痛みが走ったので気付けたともいう。
メンタール塗ったのになぁ……。
やはり日頃のストレッチが大事だったと言う事だろう。
筋肉痛が全て治まったらストレッチを始めよう。ストレッチからの薪風呂とメンタールのトリプルコンボで筋肉痛を撃退しよう。
ハァ…朝飯でも作るかと布団を畳み押入に押込む。鰹節と昆布で出汁を取ったらわかめと豆腐を入れて味噌を入れる、もちろん火は止めてな。
独り身が長かったせいか自炊は一通り出来るようになった。会社員時代もよく弁当を持っていったものだ。
「係長の弁当って彩り乏しいですよね」
っとよく事務の女の子に言われたものだ……
確かに全体的に茶色が多かったけどね。
おっさんの独り暮らしだとそんなもんだよっと言うと、結婚しないんですか?っと言われる。
「別にさー良くない? 結婚なんてしなくても。特に困ってないんだし? 炊事洗濯掃除に買い物好きなんだよ。もう少し若いときは性欲なんてのもあったけど、今じゃそこまで発情もしなくなったし。そりゃ目の前で裸にでもなられたら流石に飛びつくけどさ」っと言い訳し始めると必ず
「係長!セクハラですよ!」っと怒るんだよ。君等の結婚しないんですか? って聞くのもセクハラだと思うんですけどね。
そこはスルーするんですから勝手なものだ。
さてご飯も炊けた様なので、昔の苦い思い出は置いといて、味噌汁啜ってご飯食べて仕事に取り掛かろう。
茶碗を水に浸けた後外に出る。
最近の習慣になったが、朝の元気な内に風呂に水を張る。
これが疲れ切った体でやると本当にキツイので朝にやってしまう、虫が浮かばない様に板で蓋をして。
納屋に行って混合油を作り肩掛け(草刈り機)を持って山へと向かう。
もう直ぐ山頂へと続く道が完成する筈なので、セッセと行う。
体を左右に振りながら草を刈っていく
これを手だけで動かすと安定しないばかりか、腕にも良くない(振動でプルプルしちゃう)
ソッと手は添えるだけ。
某バスケ漫画に出て来そうなセリフだが
実際ベルトで肩からぶら下げているので
たいして力も入れないで刈れる。
偶に拳くらいの石を飛ばして、それが踝に当たると悶絶するが、ちょっと刃を斜めにするとそれも回避できる。
まわりに人が居たら危険だが、誰も居ないので、ビシバシ飛ばす。
拳大の石をガリッと削ったと思ったら火花が散り、ゴスっと鈍い音がしたと思ったら
「キュウッ!?」と何かが鳴いた。なんだろー、と思い近付くと……。ウサギが倒れていた、突いてみたが反応は無い。
どうやら死んでいるようだ……。
野うさぎだろうか…ヤケにデカイが餌が良かったのか? まぁせっかくだし有難く頂戴しよう。手を合わせて取り敢えず祈っておく。
首を剣鉈でサクッと切る、ドバーっと血が流れるので逆さにしてなるべく全て出す。
そのまま吊して陰部から腹に掛けてスパーッと皮を切っていく、皮を全体的に剥いだあと腹を切って内蔵を傷付けないように取り除く。
ドチャッと落ちた内臓は穴を掘って埋めておく。こーすれば臭わないし蛆もわかないし、バクテリアとミミズが綺麗に食べてくれるだろう。
裏山の裏側から水の流れる音がしたので覗くと、源流ぽい小さな川を発見した。
深さを棒で確認すると底は俺の膝くらいはありそうだった、丁度いいやと剥した皮を別にして川に沈める。
流されないとは思うが石を重りにした。
(おっサワガニもいる!今度取りに来よう)
中々幸先の良い事が続く
そのまま元の場所に戻り切り取った頭を見る。……ついでに頭も埋めておくかっと耳を掴んで持ち上げると、引っ張られた耳の皮がムキッと上唇も引き上げた。
(………………………何か凶悪な歯並びしてるな
ウサギってこんな歯並びしてるのか……そーいや噛まれると血が出るもんなダラダラと止まらなくなる程出るし)
白い玉が二つ食っ付いた様な口の中はこんなもんなのかも……鋭い歯並びに戦々恐々しながら、内臓を入れた穴に頭も投げる。
それにしても結構勢い良く頭に当たったんだなぁ、額から骨が飛び出でてるじゃねーか……。
見るとウサギの額から棘の様にささくれだった骨が出ていた。
寧ろ飛び出したというより、差し込んだって言ったほうが近いだろうか、そんな頭を見ながら土を掛けていく。
……この先は根っ子から刈らないで少し浮かせて、地面を確認してから刈ろう。
これが踝に当たるとシャレにならん事になるから。少し怖くなった俺は地面から五cm程浮かせながら、草刈りを再開した。
筋肉痛に悩まされたがようやく山の頂上へと道が出来た。山の頂上は少し開けていたのか下草は短かったが、どーせならとそのまま刈ることにした。
真ん中ら辺まで刈り込むと『ガスッ!』と刃が何かを噛んで止まってしまった。
木の根でも出てたのか? と、持ち上げるがビクともしない。
無理矢理引き抜いても角度次第で刃が折れると思ったので、エンジンを止めて食い込んでしまった場所を確認した。
すると古ぼけた朽ちかけた鳥居だったものの柱と、半分くらいまで食い込んだ刃が見えて来た。
「うわー…祠かこれ?朽ちてたのか」
鳥居まであったのなら結構立派な作りだったんじゃねーかな?
ゆっくり刃を折らないように取り外して
元祠だった木切れを拾っていく。
少し腐葉土に囲まれてはいたが、祠の中に納められてただろう物が顔を出した。
何か綺麗な長細い石だった。それが縦に地面に刺さってる様に見えた。ちょっと触れる程度のちからで撫でてみると。
……パタっと倒れてしまった。
「うわわわわっやべやべ!」とその棒をガシッと掴み腐葉土を押し退けてまた棒を地面に差し込んだ。
真っ直ぐに刺したつもりだったが歪に曲がってしまった。
ハァ…っと溜息を吐き祠だった木切れを見る。半分朽ちて土に成っている。
これを持って帰っても再利用は出来ないなぁという結論から、自分で作るか…っと、なった。どんどんやる事が増えていく。
未だに手付かずの畑
今年は諦めるしか無い田圃に、田圃に引き入れる水の小川の整備。
納屋の屋根から滴る水漏れの改善
薪の備蓄も冬に向けて今から増やしていかないと……。
まぁ暇よりいっかと納得し、残りの下草を刈り込んでいく。
ようやくスッキリした広場に満足して
沈めたウサギの肉を取りに行った。
その日の夜はうさぎの肉に舌づつみを打った。少し硬かったが噛めば噛むほど肉汁が溢れ……
「うっま! ウサギメッチャうまっ! 」
と、叫ぶほどだった。
その日は久し振りにビールを呑んで、残りの肉を冷蔵庫と冷凍庫に振り分けたあと
布団潜って寝た。
移住生活四日目
目覚めると筋肉痛が無くなっていた。
気持ち程度に身体が締まった気がする。
朝の水入れも楽になった、たった四日で慣れるなんて俺もまだまだ若いって事だな。
気分良く朝飯を食べ、食後のティータイム(緑茶)を満喫した後、軽トラに乗る。
今日は材木を買いに町のホームセンターに行こうと思う。
木を切って板を作るのも魅力的ではあるが、流石に樵の真似事は出来ない。
チェーンソーも無ければ斧もないし、知識も無いので早々に諦めた。
まぁいつかは…って思いはあるが。
そんなこんなでやって来ましたホームセンター。右と左の手袋が別の袋に入って売ってるのを、変なの~っと眺めながら材木置き場へと向かう。
展示物を見るに、手作り系の中には祠っていうのは無かった、殆どが犬小屋だった。
まぁ形としては犬小屋に近い感じには、なりそうだったが……。
取り敢えず比較的朽ち方がまともで拾った板の長さと同じ様なのを探し集める
屋根にのる鯱矛みたいな飾りは神棚あたりの売り場にあるから、それを使うとして……
あとは宮大工風に釘を使わずに組み立てなければならない…その辺の知識は無かったので、ネカフェにでも寄って少し調べる事にしよう。
礎に成りそうな石は山の裏の小川から取ってくれば足りそうだし。
他は何が必要なんだろ…分からなかったので、適当に必要そうな機材や道具を揃えてカゴ台車に積んでいく。
結構な重さになっているんだが、筋肉でも付いたのか余裕で押して歩けた。
すれ違う職人系の若者達がビックリするくらいの量だった筈なんだが……
レジ打ちのお姉さんも驚いていたし
さすが筋肉痛を克服しただけある。
一人関心しながら一つに纏めた材木を肩に担ぎ、残りをカゴ台車に積んで車まで歩く。
荷台に材木を置くと偏るくらい重かったようだ……
いや、本当にどうなってんの?この筋肉…
流石に異常だろ……。
不思議に思ったが特に困った事にはならなかったので深く考えるのを放棄した。便利になって良かったってもんだ。
機材やらも積み縄で固定していく。
細々した物は助手席に載せて
いざネットカフェへと車を走らせた。
そんなに需要がないのか店の中はあまり利用者は居なかった。
あ。平日の昼間だからだわ……
普通の一般人は働いてるか、学校に通ってるかだもんな、そりゃいねーわ。
まぁ何にせよ静かでいーやね。
4時間ほどネットを調べ、宮大工のやり方を頭に叩き込み、なんとなーく理解したので帰ることにした。
16時頃になり、チラホラと学生っぽい若い子数人とすれ違った。
垢抜けてはいないが田舎臭くもなかった
ある意味俺の方が田舎臭い格好をしていたようで、後ろからクスクス笑う声が聴こえてきた。
恥ずかしくなり足早に店を出て、親に(各自寝袋必須と書いた)手紙を出してから、家に帰った。
家に付くと風呂を沸かし
ついでにその上で味噌汁を作る。網棚を固定して取り付けたのだ。
雨の日は流石に無理だが、電気の節約に…ソーラーパワーだったか……ま、まぁ薪のが美味しく出来るかもだしな!うん。
そのままウサギの肉を細切りにして野菜もたっぷり混ぜた肉野菜炒めも作る。
片手で両手鍋の取手を掴み持ち上げると
もう片方にフライパンを持つ。
炭は少し散らしてじんわり保温出来る火加減にしたので、飯を食うくらいの時間は大丈夫なはずだ。
今日はウッカリ昼飯を食いそびれたので腹が減って少し気持ち悪くなってたので
風呂よりも先に食べることにした。
いただきます!ってしてからモギュモギュ食べた。
ウサギ肉の美味さはA5肉を超えるな…A5肉なんて食ったことないけど……多分超えてるはず……。
日本酒も開けて徳利に淹れお盆を湯に浮かせながら風呂に入った。窓から空を見上げれば月が出ていた。
良い夜だなぁと月に乾杯しながらチビチビと呑んだ。
明日は宮大工の真似事をしながら祠づくりだ! 頑張ろう!
寝起きに身体を伸ばし最後に左右の爪先をくっつけて、脹脛辺の骨をパキパキっと鳴らすのが習慣だった。
太腿と腰の筋肉痛が治まったと思ったら
脹脛にきてた。いつものように伸びをして爪先を付けた瞬間痛みが走ったので気付けたともいう。
メンタール塗ったのになぁ……。
やはり日頃のストレッチが大事だったと言う事だろう。
筋肉痛が全て治まったらストレッチを始めよう。ストレッチからの薪風呂とメンタールのトリプルコンボで筋肉痛を撃退しよう。
ハァ…朝飯でも作るかと布団を畳み押入に押込む。鰹節と昆布で出汁を取ったらわかめと豆腐を入れて味噌を入れる、もちろん火は止めてな。
独り身が長かったせいか自炊は一通り出来るようになった。会社員時代もよく弁当を持っていったものだ。
「係長の弁当って彩り乏しいですよね」
っとよく事務の女の子に言われたものだ……
確かに全体的に茶色が多かったけどね。
おっさんの独り暮らしだとそんなもんだよっと言うと、結婚しないんですか?っと言われる。
「別にさー良くない? 結婚なんてしなくても。特に困ってないんだし? 炊事洗濯掃除に買い物好きなんだよ。もう少し若いときは性欲なんてのもあったけど、今じゃそこまで発情もしなくなったし。そりゃ目の前で裸にでもなられたら流石に飛びつくけどさ」っと言い訳し始めると必ず
「係長!セクハラですよ!」っと怒るんだよ。君等の結婚しないんですか? って聞くのもセクハラだと思うんですけどね。
そこはスルーするんですから勝手なものだ。
さてご飯も炊けた様なので、昔の苦い思い出は置いといて、味噌汁啜ってご飯食べて仕事に取り掛かろう。
茶碗を水に浸けた後外に出る。
最近の習慣になったが、朝の元気な内に風呂に水を張る。
これが疲れ切った体でやると本当にキツイので朝にやってしまう、虫が浮かばない様に板で蓋をして。
納屋に行って混合油を作り肩掛け(草刈り機)を持って山へと向かう。
もう直ぐ山頂へと続く道が完成する筈なので、セッセと行う。
体を左右に振りながら草を刈っていく
これを手だけで動かすと安定しないばかりか、腕にも良くない(振動でプルプルしちゃう)
ソッと手は添えるだけ。
某バスケ漫画に出て来そうなセリフだが
実際ベルトで肩からぶら下げているので
たいして力も入れないで刈れる。
偶に拳くらいの石を飛ばして、それが踝に当たると悶絶するが、ちょっと刃を斜めにするとそれも回避できる。
まわりに人が居たら危険だが、誰も居ないので、ビシバシ飛ばす。
拳大の石をガリッと削ったと思ったら火花が散り、ゴスっと鈍い音がしたと思ったら
「キュウッ!?」と何かが鳴いた。なんだろー、と思い近付くと……。ウサギが倒れていた、突いてみたが反応は無い。
どうやら死んでいるようだ……。
野うさぎだろうか…ヤケにデカイが餌が良かったのか? まぁせっかくだし有難く頂戴しよう。手を合わせて取り敢えず祈っておく。
首を剣鉈でサクッと切る、ドバーっと血が流れるので逆さにしてなるべく全て出す。
そのまま吊して陰部から腹に掛けてスパーッと皮を切っていく、皮を全体的に剥いだあと腹を切って内蔵を傷付けないように取り除く。
ドチャッと落ちた内臓は穴を掘って埋めておく。こーすれば臭わないし蛆もわかないし、バクテリアとミミズが綺麗に食べてくれるだろう。
裏山の裏側から水の流れる音がしたので覗くと、源流ぽい小さな川を発見した。
深さを棒で確認すると底は俺の膝くらいはありそうだった、丁度いいやと剥した皮を別にして川に沈める。
流されないとは思うが石を重りにした。
(おっサワガニもいる!今度取りに来よう)
中々幸先の良い事が続く
そのまま元の場所に戻り切り取った頭を見る。……ついでに頭も埋めておくかっと耳を掴んで持ち上げると、引っ張られた耳の皮がムキッと上唇も引き上げた。
(………………………何か凶悪な歯並びしてるな
ウサギってこんな歯並びしてるのか……そーいや噛まれると血が出るもんなダラダラと止まらなくなる程出るし)
白い玉が二つ食っ付いた様な口の中はこんなもんなのかも……鋭い歯並びに戦々恐々しながら、内臓を入れた穴に頭も投げる。
それにしても結構勢い良く頭に当たったんだなぁ、額から骨が飛び出でてるじゃねーか……。
見るとウサギの額から棘の様にささくれだった骨が出ていた。
寧ろ飛び出したというより、差し込んだって言ったほうが近いだろうか、そんな頭を見ながら土を掛けていく。
……この先は根っ子から刈らないで少し浮かせて、地面を確認してから刈ろう。
これが踝に当たるとシャレにならん事になるから。少し怖くなった俺は地面から五cm程浮かせながら、草刈りを再開した。
筋肉痛に悩まされたがようやく山の頂上へと道が出来た。山の頂上は少し開けていたのか下草は短かったが、どーせならとそのまま刈ることにした。
真ん中ら辺まで刈り込むと『ガスッ!』と刃が何かを噛んで止まってしまった。
木の根でも出てたのか? と、持ち上げるがビクともしない。
無理矢理引き抜いても角度次第で刃が折れると思ったので、エンジンを止めて食い込んでしまった場所を確認した。
すると古ぼけた朽ちかけた鳥居だったものの柱と、半分くらいまで食い込んだ刃が見えて来た。
「うわー…祠かこれ?朽ちてたのか」
鳥居まであったのなら結構立派な作りだったんじゃねーかな?
ゆっくり刃を折らないように取り外して
元祠だった木切れを拾っていく。
少し腐葉土に囲まれてはいたが、祠の中に納められてただろう物が顔を出した。
何か綺麗な長細い石だった。それが縦に地面に刺さってる様に見えた。ちょっと触れる程度のちからで撫でてみると。
……パタっと倒れてしまった。
「うわわわわっやべやべ!」とその棒をガシッと掴み腐葉土を押し退けてまた棒を地面に差し込んだ。
真っ直ぐに刺したつもりだったが歪に曲がってしまった。
ハァ…っと溜息を吐き祠だった木切れを見る。半分朽ちて土に成っている。
これを持って帰っても再利用は出来ないなぁという結論から、自分で作るか…っと、なった。どんどんやる事が増えていく。
未だに手付かずの畑
今年は諦めるしか無い田圃に、田圃に引き入れる水の小川の整備。
納屋の屋根から滴る水漏れの改善
薪の備蓄も冬に向けて今から増やしていかないと……。
まぁ暇よりいっかと納得し、残りの下草を刈り込んでいく。
ようやくスッキリした広場に満足して
沈めたウサギの肉を取りに行った。
その日の夜はうさぎの肉に舌づつみを打った。少し硬かったが噛めば噛むほど肉汁が溢れ……
「うっま! ウサギメッチャうまっ! 」
と、叫ぶほどだった。
その日は久し振りにビールを呑んで、残りの肉を冷蔵庫と冷凍庫に振り分けたあと
布団潜って寝た。
移住生活四日目
目覚めると筋肉痛が無くなっていた。
気持ち程度に身体が締まった気がする。
朝の水入れも楽になった、たった四日で慣れるなんて俺もまだまだ若いって事だな。
気分良く朝飯を食べ、食後のティータイム(緑茶)を満喫した後、軽トラに乗る。
今日は材木を買いに町のホームセンターに行こうと思う。
木を切って板を作るのも魅力的ではあるが、流石に樵の真似事は出来ない。
チェーンソーも無ければ斧もないし、知識も無いので早々に諦めた。
まぁいつかは…って思いはあるが。
そんなこんなでやって来ましたホームセンター。右と左の手袋が別の袋に入って売ってるのを、変なの~っと眺めながら材木置き場へと向かう。
展示物を見るに、手作り系の中には祠っていうのは無かった、殆どが犬小屋だった。
まぁ形としては犬小屋に近い感じには、なりそうだったが……。
取り敢えず比較的朽ち方がまともで拾った板の長さと同じ様なのを探し集める
屋根にのる鯱矛みたいな飾りは神棚あたりの売り場にあるから、それを使うとして……
あとは宮大工風に釘を使わずに組み立てなければならない…その辺の知識は無かったので、ネカフェにでも寄って少し調べる事にしよう。
礎に成りそうな石は山の裏の小川から取ってくれば足りそうだし。
他は何が必要なんだろ…分からなかったので、適当に必要そうな機材や道具を揃えてカゴ台車に積んでいく。
結構な重さになっているんだが、筋肉でも付いたのか余裕で押して歩けた。
すれ違う職人系の若者達がビックリするくらいの量だった筈なんだが……
レジ打ちのお姉さんも驚いていたし
さすが筋肉痛を克服しただけある。
一人関心しながら一つに纏めた材木を肩に担ぎ、残りをカゴ台車に積んで車まで歩く。
荷台に材木を置くと偏るくらい重かったようだ……
いや、本当にどうなってんの?この筋肉…
流石に異常だろ……。
不思議に思ったが特に困った事にはならなかったので深く考えるのを放棄した。便利になって良かったってもんだ。
機材やらも積み縄で固定していく。
細々した物は助手席に載せて
いざネットカフェへと車を走らせた。
そんなに需要がないのか店の中はあまり利用者は居なかった。
あ。平日の昼間だからだわ……
普通の一般人は働いてるか、学校に通ってるかだもんな、そりゃいねーわ。
まぁ何にせよ静かでいーやね。
4時間ほどネットを調べ、宮大工のやり方を頭に叩き込み、なんとなーく理解したので帰ることにした。
16時頃になり、チラホラと学生っぽい若い子数人とすれ違った。
垢抜けてはいないが田舎臭くもなかった
ある意味俺の方が田舎臭い格好をしていたようで、後ろからクスクス笑う声が聴こえてきた。
恥ずかしくなり足早に店を出て、親に(各自寝袋必須と書いた)手紙を出してから、家に帰った。
家に付くと風呂を沸かし
ついでにその上で味噌汁を作る。網棚を固定して取り付けたのだ。
雨の日は流石に無理だが、電気の節約に…ソーラーパワーだったか……ま、まぁ薪のが美味しく出来るかもだしな!うん。
そのままウサギの肉を細切りにして野菜もたっぷり混ぜた肉野菜炒めも作る。
片手で両手鍋の取手を掴み持ち上げると
もう片方にフライパンを持つ。
炭は少し散らしてじんわり保温出来る火加減にしたので、飯を食うくらいの時間は大丈夫なはずだ。
今日はウッカリ昼飯を食いそびれたので腹が減って少し気持ち悪くなってたので
風呂よりも先に食べることにした。
いただきます!ってしてからモギュモギュ食べた。
ウサギ肉の美味さはA5肉を超えるな…A5肉なんて食ったことないけど……多分超えてるはず……。
日本酒も開けて徳利に淹れお盆を湯に浮かせながら風呂に入った。窓から空を見上げれば月が出ていた。
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***************
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2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
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