3 / 105
3話
しおりを挟む
結果から言うと、加工は無理だった……
いやー、動画見ただけで出来るようになる訳無かったわ
まぁ、そりゃそうだよなー……見ただけで出来てたら弟子入りなんてしないもんな……
って事で釘を使う事にした。ノコギリでキコキコ切り揃え、トンテンカンと支柱を組み立て、横壁に開き戸に最後に屋根付けて。
扉付き犬小屋の完成だ…………………
金が出来たら専門家に作ってもらお……
餅は餅屋だったな………
あーっ! 無駄な時間と金を使ってしまったなーっと、山の頂上で大の字になって不貞腐れる。
はぁ……まぁ、一応雨露凌げる程度には出来たんだし、取り敢えずって事で納得して貰うとして……
扉付き犬小屋の横に置いた長細い石を見る。少し薄汚れていたので山の裏の小川に持って行って洗う事にした。
ゴシゴシと洗っていくうちに、気のせいかな…薄っすら光ってる様な?
反射効率が異常な程高い石なのかもしれないな! そのままもう少し洗ってから綺麗なタオルで拭いて水分を取り、扉付き犬小屋の中へと置いた。
……何かこう……刀を置くような物でも必要かな?っと思った俺は時代劇で観た事のある床の間に飾る様な奴を余った材木で作っていく。
これでよし! っと不細工だったが、意外と安定してるしちょっとやそっとじゃ壊れないだろうと小屋の中へと置き、その上に光る石を据えた。
薄暗い小屋の中は薄っすら光る石によってぼんやり明るかった。
……………不思議な石だな…………
何か見つめてると安心する……
だから御神木みたいな扱いだったのかも知れん。
そのまま扉を閉めて一歩下がり二拝二拍手一拝をした。
あっ! っと思い出したのは鳥居だ。
あ~失念したわー……
仕方ないと現地調達する事にした。小川の近くに細い木が数本あったのを思い出し
取りに行く杉木なのかどうか分からないが
真っ直ぐ伸びた木だったので使いやすそうだった。
ネカフェに行った時に観た動画で石の斧で削りながら木を切る少年が写っているのを見様見真似でやって見ることにした。
ノコギリと剣鉈で削り切るのとどっちが効率が良いか試したくなったのだ。
で、木を揺れない様に抑えてヒュッと剣鉈を振ったらスパンッと切れた……いや斬れた……
え。スゲ…俺すげぇっ! 侍みたい!! とかなってテンションが一気に上がる。
その後も見付けた木をスパスパスパンッ!と斬っていく。
ノコギリより格段に早く斬り終わると、まとめて担いで山を駆け上がった。
筋肉付くとここまで凄くなるのか!っと興奮していた。
そのまま広場へと戻り、少し考える。このまま埋めたら腐るよな……そだ!表面焼いちゃおう!
そう思ったら焚き火を作り丸太になった生木を焼いていく。
全体的に焦げ目を付けて釘で固定し
スコップで穴を掘って鳥居を入れて、木のまわりをバールで叩きながら固定していく
ある程度叩いたら土を被せて今度は足で踏み固めて、出来た!!
黒焦げ鳥居の完成だ!!
……………………………………
…………………………
これも金が出来たら専門家に任せよう……
まぁ、見ようによっては黒いし格好良い!かもしれん……遠くから見ればな……
ハァ……と溜息を吐き片付け始める。もう昼はとうに過ぎ去った。また昼飯抜いちゃったな……あ、そだ!沢蟹取ろう!っと一纏めにした材木達を端っこに纏めて置いといて、帰り際に一緒に持って帰ろう!
火種様に小枝を集めようと背負子も買ってきたので、それを手に持って焚き火に砂を掛けて燻り続ける様にしてから、小川へと急いだ。
一応何かに襲われても困るので剣鉈は腰に付けた。
小川へと降りると目の前に兎がいた
その兎は何故か頭に何かが刺さっている様に見える。そして、歩き方もヨロヨロしていた。
そんな事よりも大事な事があった
二足歩行でヨロヨロ歩いているのだ!
あまりの激痛におかしくなっているのかも……そう思った俺は急に兎が可哀想になり
早く楽にしてあげなきゃ!!っと思った。
剣鉈を手に取ると素早く走り寄り、兎が此方に気付くより早くスパッと首を切る。
立ったまま絶命した兎は首から血を吹き出し、パタリと倒れた。
手を合わせて「頂きます」と言うと、そのまま後ろ脚を持って逆さまにする。
少し血を絞ってから、小川へと持ってきた。そのまま陰部から切除して内蔵に当たらない様に腹を裂くと、そのままズルリと川に落ちた。
その時何か石のような物も落ちたので、川底を探って手に取った。
「何だこれ……」
その石みたいな楕円形の物は親指くらいの大きさで、石の中で線香花火の様な光がキラキラ輝いていて、とても綺麗な石だった。
その石に少し魅了されて眺めていたが、気を取り直して川底に皮を剥がずに沈めていった。
石をおいて固定すると、血溜まりに土を掛けるべく向かおうとしたら、少し離れた場所に黒に近い灰色の犬が此方を見ていた。
一瞬狼とも思ったが日本の狼は絶滅した筈なので、ハスキー系の血でも入った野良犬だろうと推測した。
ジーーっと血溜まりを見ていたので腹でも空いてるのかと思った俺は、川に放置していた内臓を取り出し、犬の方へ投げてやった。
警戒するかと思ったが、よっぽど腹が減っていたのだろう。
なんの躊躇もなしに食らいついた。その光景に微笑ましい笑顔で見ていた。
アッと言う間に食べ尽くした犬に切り落とした兎の頭も投げてやる。
するとそれをカプッと咥えて歩き去った
心なしかスキップしてる様に見えた。
その後も、何故か血溜まりの匂いに寄ってくる兎を捌きながら倒していき5個の綺麗な石と5匹分の肉を手に入れた。
これ以上来られても困るので血溜まりに土を掛けて証拠隠滅とばかりに埋めてやった。
またさっきの犬が来ても良い様に内蔵と頭には少しだけ砂を掛けて匂いが充満しない程度埋めておいた。見付けられたら食うだろ。
肉が程よく冷えた頃には太陽も沈みかけていた。ウサギ肉を篭に放り込み、石をポケットに突っ込んだあと、広場へと戻る。
材木などはそのまま置いとくとして、錆びそうなノコギリとかだけ持って家へと駆け足で戻っていった。
毛皮毎川に漬け込んでいたのか良かったのか、この前取った毛皮より随分と綺麗になった毛を撫でる。
1000円くらいで売ってるポリエステル製のファーみたいな手触りで色は白に近いベージュ色だった。
腹は減っていたがアドレナリンが止まらない状態だった俺は、そのまま毛皮を綺麗に剝いで肉と骨と選り分けて5匹分を結構な速さで解体していった。
何となくだが兎を狩る度に身体能力が上がっている感じもする……
目に見えて上がるってわけでは無いから
気のせいかも?っと思うが、流石に5匹連続で狩った為か確信するほど身体能力が上がっていた。
まず、この兎だが…水を含んだ毛皮に肉の重さも大きさも普通の大きさでは無かったので結構重い。
それが、5匹篭に入っていた……単純計算でも少なくても60kgはありそうだった。
それを背負ったまま山を登り坂を下り走って家まで帰ってきた。
フゥー……っと一回息を吐き出すだけで落ち着いてしまったのだ。
どんな馬鹿でも気付くはずだ。
身体能力が爆上りした事に
「やっぱ鍛えるって凄いんだなー!!」
俺は筋肉に感謝した。
風呂に入ったら晩飯の用意だ、昼飯を抜いてたので腹はペコペコ。
その日の夜は兎肉で焼き肉をした。
炭火でジュウジュウと焼き、焼肉のタレ、レモン絞り汁、塩っと用意して
肉ならビールっしょ! っと篭に鯛を入れてるおじさんの絵が付いた缶ビールを開ける。
『パシュッ!』と良い音でテンションも上がる。
偶にはご褒美と思い。
500mlを1本だけ買ったのだ!
まずは一口とビールをグビリっと呑む
焼肉のタレを付けて肉を食べる。
咀嚼して飲み込む時にビールで流し込む!
そして今度はレモン汁を付けて咀嚼して
飲み込む時にビールで流し込む!
最後に塩を付けてよーく噛んで、飲み込む時にビールで流し込む!
たはぁあ~っ!ウマイなぁあっ!!
あ~っ!幸せだなぁあ~っ!!
っと幸せを噛みしめながら兎肉とビールとを交互に楽しんだ。
500mlのビールがアッと言う間に無くなると、塩だけ残して追加でワサビ醤油を準備する。
ポンッと日本酒を開け徳利に淹れる。
徳利に淹れて呑まないと際限なく飲んでしまうので、この1本だけ呑んだら日本酒はお終い。
なので大事に飲む為にお猪口でチビリチビリと舐める様に呑むのが俺の飲み方だ。
セコいとか貧乏臭いとかよく言われるが
いーじゃん!自分のペースで呑みたいんだから。
ワサビ醤油にチョチョんと付けて、モグモグ噛んで、飲み込む時にチビリとやって一緒に呑む。
量が無いから流し込めないが、これはこれで嫌な匂いが消えるので、青魚とか食べる時も良くやる呑み方だった。
まぁ今日は肉だけどね♪
一人が長いと独り言も多くなる。
昔言われた事を思い出しながら呟く
寂しいからってわけではないんだ、呑むとね? 何かしら思い出しちゃうから、酔ってるしね♪と独り言。
段々楽しくなってきたので歌なんて歌っちゃったりして、楽しい夜はふけていった。
その日の朝は……流石に吐いた。
調子に乗ってチャンポンした様だ……
ビールいって、日本酒いって、芋焼酎からのバカルディとか……ちょっとアホだった……
何が自分のペースだ……狂いまくりじゃねーか。っと自分で自分を叱咤する。
手押しポンプでバケツに水を貯めると
そこに頭毎突っ込んだ。
その後いつものルーティンを終わらせ、軽トラに乗る。
軽トラには水を入れるタンクを載せて固定してある。
ちょっとやってみたかった事もあったので、そのまま山へと向かう。
この軽トラは4WDなので山道だってスイスイ登る。「この車は4駆だぞぉっ!」とか言いながら登る。
一つやってみたかった事が終わった。……虚しいだけだな……
気を取り直してそのまま山道を走る。道は狭いが軽トラだから問題無く行けた。
そのまま頂上までくると、広場で切り返して、帰る時に出やすい様に向きを変えてエンジンを切る。
そのまま車を降りて小川へ入り、ジャブジャブと洗濯物を洗った。
ただの水洗いなのだが、いつも異常に汚れが落ちる。「やっぱりか!」
昨日毛皮がやけに白くなったから、もしやと思って洗濯物を持ってきたんだが、狙い通り綺麗になった。
これで洗剤代が浮いた!
そして、この水を軽トラに積んできたタンクに入れて持ち帰ろうと思います。
これで作った味噌汁とか飲みたいじゃん?それに蜂蜜酒も作りたいんだよね!
できれば樽で…出来ないので仕方なく梅酒用の瓶だけどね。容量は結構あると思うんだ。
蜂蜜も買うか天然物を探すかしたいけど
取り敢えずは買いにいく。養蜂もいーかも知れない……やり方知らんけど。
取り敢えずさっさと吸い込もう! 吸口をこっちのなるべく源流に近い所にしたいから、ちょっと吸口持って移動する。
結構歩くかと思ったけど湧き水がコンコンと湧いてる池みたいな場所に着いた。
そんなに広くないんだな……
大き目の子供用プールくらいだろうか
もう一回りか大きいかな?
まぁそのくらいの広さで、深さを測ると結構深かった……
潜って確かめると5mから7mあたりかな?
魚などは居なかったし水草も無かった。
まぁ悪い水では無いから大丈夫なはずだヨシヨシコレなら電動で吸い込んでも枯れることは無いだろうと吸口を沈める。
ホースも充分届きそうだった。そのまま車へと戻ると給水装置のスイッチを入れて
吸い込んで行く。
『ズボボボボッ』と音がしたあと、バシャーッと水が勢い良く出て来た。
特に砂とかも吸い込んでないようで一安心。このまま入れて行けば500は入る筈だし
まぁ時間は掛かるが問題無い。
今日こそ沢蟹を食べるべく、昨日埋めといた火種を穿る。
消えてない事を確認したら後は籠を背負い込んで、いざ沢蟹取りへと小川へと戻る。
十数分後、数匹の沢蟹を取り大漁大漁と喜びながら、広場へと戻る。
だいぶ溜まって七分目くらいだろうか、沢蟹焼いてる間に貯まるかもっと思い、薪に成りそうな枝を拾ってパキパキ折っていく。
掘り起こした火種を使って火を熾す。その周りに川で拾った石を並べて竈にすると
その上に網を置く。そのまま蟹を置いたら焼いて行く。
パチパチっと小気味良い音を鳴らす焚き火に炙られた蟹が良い感じに焼けていく。
段々香ばしい香りが山を包む様に拡がると、食べ頃になったようでフーフーしながら齧り付く。
肉汁がジュワーッと口内へと拡がり、肉厚な果肉を噛み締める。
あーっ美味っ!これは癖になりそうだ
今度はビールを持ってくるか!!っと、朝から吐いた事など忘れた俺は笑う
タンクを見るとソロソロ一杯かなっとスイッチを切る。タンクにゴム製の蓋を嵌め込み固定する。
吸口を取りに行く前にすべてのカニを食べて、火を消して、また砂を掛けて置いた。
夜にキャンプも良いかもっとほくそ笑む、毎日がキャンプみたいなもんだけどっと、一人突っ込みしながら吸口を回収し、戻る途中であの時の犬が居るのに気が付いた。
その犬はグッタリしながら血を流して倒れていた。
いやー、動画見ただけで出来るようになる訳無かったわ
まぁ、そりゃそうだよなー……見ただけで出来てたら弟子入りなんてしないもんな……
って事で釘を使う事にした。ノコギリでキコキコ切り揃え、トンテンカンと支柱を組み立て、横壁に開き戸に最後に屋根付けて。
扉付き犬小屋の完成だ…………………
金が出来たら専門家に作ってもらお……
餅は餅屋だったな………
あーっ! 無駄な時間と金を使ってしまったなーっと、山の頂上で大の字になって不貞腐れる。
はぁ……まぁ、一応雨露凌げる程度には出来たんだし、取り敢えずって事で納得して貰うとして……
扉付き犬小屋の横に置いた長細い石を見る。少し薄汚れていたので山の裏の小川に持って行って洗う事にした。
ゴシゴシと洗っていくうちに、気のせいかな…薄っすら光ってる様な?
反射効率が異常な程高い石なのかもしれないな! そのままもう少し洗ってから綺麗なタオルで拭いて水分を取り、扉付き犬小屋の中へと置いた。
……何かこう……刀を置くような物でも必要かな?っと思った俺は時代劇で観た事のある床の間に飾る様な奴を余った材木で作っていく。
これでよし! っと不細工だったが、意外と安定してるしちょっとやそっとじゃ壊れないだろうと小屋の中へと置き、その上に光る石を据えた。
薄暗い小屋の中は薄っすら光る石によってぼんやり明るかった。
……………不思議な石だな…………
何か見つめてると安心する……
だから御神木みたいな扱いだったのかも知れん。
そのまま扉を閉めて一歩下がり二拝二拍手一拝をした。
あっ! っと思い出したのは鳥居だ。
あ~失念したわー……
仕方ないと現地調達する事にした。小川の近くに細い木が数本あったのを思い出し
取りに行く杉木なのかどうか分からないが
真っ直ぐ伸びた木だったので使いやすそうだった。
ネカフェに行った時に観た動画で石の斧で削りながら木を切る少年が写っているのを見様見真似でやって見ることにした。
ノコギリと剣鉈で削り切るのとどっちが効率が良いか試したくなったのだ。
で、木を揺れない様に抑えてヒュッと剣鉈を振ったらスパンッと切れた……いや斬れた……
え。スゲ…俺すげぇっ! 侍みたい!! とかなってテンションが一気に上がる。
その後も見付けた木をスパスパスパンッ!と斬っていく。
ノコギリより格段に早く斬り終わると、まとめて担いで山を駆け上がった。
筋肉付くとここまで凄くなるのか!っと興奮していた。
そのまま広場へと戻り、少し考える。このまま埋めたら腐るよな……そだ!表面焼いちゃおう!
そう思ったら焚き火を作り丸太になった生木を焼いていく。
全体的に焦げ目を付けて釘で固定し
スコップで穴を掘って鳥居を入れて、木のまわりをバールで叩きながら固定していく
ある程度叩いたら土を被せて今度は足で踏み固めて、出来た!!
黒焦げ鳥居の完成だ!!
……………………………………
…………………………
これも金が出来たら専門家に任せよう……
まぁ、見ようによっては黒いし格好良い!かもしれん……遠くから見ればな……
ハァ……と溜息を吐き片付け始める。もう昼はとうに過ぎ去った。また昼飯抜いちゃったな……あ、そだ!沢蟹取ろう!っと一纏めにした材木達を端っこに纏めて置いといて、帰り際に一緒に持って帰ろう!
火種様に小枝を集めようと背負子も買ってきたので、それを手に持って焚き火に砂を掛けて燻り続ける様にしてから、小川へと急いだ。
一応何かに襲われても困るので剣鉈は腰に付けた。
小川へと降りると目の前に兎がいた
その兎は何故か頭に何かが刺さっている様に見える。そして、歩き方もヨロヨロしていた。
そんな事よりも大事な事があった
二足歩行でヨロヨロ歩いているのだ!
あまりの激痛におかしくなっているのかも……そう思った俺は急に兎が可哀想になり
早く楽にしてあげなきゃ!!っと思った。
剣鉈を手に取ると素早く走り寄り、兎が此方に気付くより早くスパッと首を切る。
立ったまま絶命した兎は首から血を吹き出し、パタリと倒れた。
手を合わせて「頂きます」と言うと、そのまま後ろ脚を持って逆さまにする。
少し血を絞ってから、小川へと持ってきた。そのまま陰部から切除して内蔵に当たらない様に腹を裂くと、そのままズルリと川に落ちた。
その時何か石のような物も落ちたので、川底を探って手に取った。
「何だこれ……」
その石みたいな楕円形の物は親指くらいの大きさで、石の中で線香花火の様な光がキラキラ輝いていて、とても綺麗な石だった。
その石に少し魅了されて眺めていたが、気を取り直して川底に皮を剥がずに沈めていった。
石をおいて固定すると、血溜まりに土を掛けるべく向かおうとしたら、少し離れた場所に黒に近い灰色の犬が此方を見ていた。
一瞬狼とも思ったが日本の狼は絶滅した筈なので、ハスキー系の血でも入った野良犬だろうと推測した。
ジーーっと血溜まりを見ていたので腹でも空いてるのかと思った俺は、川に放置していた内臓を取り出し、犬の方へ投げてやった。
警戒するかと思ったが、よっぽど腹が減っていたのだろう。
なんの躊躇もなしに食らいついた。その光景に微笑ましい笑顔で見ていた。
アッと言う間に食べ尽くした犬に切り落とした兎の頭も投げてやる。
するとそれをカプッと咥えて歩き去った
心なしかスキップしてる様に見えた。
その後も、何故か血溜まりの匂いに寄ってくる兎を捌きながら倒していき5個の綺麗な石と5匹分の肉を手に入れた。
これ以上来られても困るので血溜まりに土を掛けて証拠隠滅とばかりに埋めてやった。
またさっきの犬が来ても良い様に内蔵と頭には少しだけ砂を掛けて匂いが充満しない程度埋めておいた。見付けられたら食うだろ。
肉が程よく冷えた頃には太陽も沈みかけていた。ウサギ肉を篭に放り込み、石をポケットに突っ込んだあと、広場へと戻る。
材木などはそのまま置いとくとして、錆びそうなノコギリとかだけ持って家へと駆け足で戻っていった。
毛皮毎川に漬け込んでいたのか良かったのか、この前取った毛皮より随分と綺麗になった毛を撫でる。
1000円くらいで売ってるポリエステル製のファーみたいな手触りで色は白に近いベージュ色だった。
腹は減っていたがアドレナリンが止まらない状態だった俺は、そのまま毛皮を綺麗に剝いで肉と骨と選り分けて5匹分を結構な速さで解体していった。
何となくだが兎を狩る度に身体能力が上がっている感じもする……
目に見えて上がるってわけでは無いから
気のせいかも?っと思うが、流石に5匹連続で狩った為か確信するほど身体能力が上がっていた。
まず、この兎だが…水を含んだ毛皮に肉の重さも大きさも普通の大きさでは無かったので結構重い。
それが、5匹篭に入っていた……単純計算でも少なくても60kgはありそうだった。
それを背負ったまま山を登り坂を下り走って家まで帰ってきた。
フゥー……っと一回息を吐き出すだけで落ち着いてしまったのだ。
どんな馬鹿でも気付くはずだ。
身体能力が爆上りした事に
「やっぱ鍛えるって凄いんだなー!!」
俺は筋肉に感謝した。
風呂に入ったら晩飯の用意だ、昼飯を抜いてたので腹はペコペコ。
その日の夜は兎肉で焼き肉をした。
炭火でジュウジュウと焼き、焼肉のタレ、レモン絞り汁、塩っと用意して
肉ならビールっしょ! っと篭に鯛を入れてるおじさんの絵が付いた缶ビールを開ける。
『パシュッ!』と良い音でテンションも上がる。
偶にはご褒美と思い。
500mlを1本だけ買ったのだ!
まずは一口とビールをグビリっと呑む
焼肉のタレを付けて肉を食べる。
咀嚼して飲み込む時にビールで流し込む!
そして今度はレモン汁を付けて咀嚼して
飲み込む時にビールで流し込む!
最後に塩を付けてよーく噛んで、飲み込む時にビールで流し込む!
たはぁあ~っ!ウマイなぁあっ!!
あ~っ!幸せだなぁあ~っ!!
っと幸せを噛みしめながら兎肉とビールとを交互に楽しんだ。
500mlのビールがアッと言う間に無くなると、塩だけ残して追加でワサビ醤油を準備する。
ポンッと日本酒を開け徳利に淹れる。
徳利に淹れて呑まないと際限なく飲んでしまうので、この1本だけ呑んだら日本酒はお終い。
なので大事に飲む為にお猪口でチビリチビリと舐める様に呑むのが俺の飲み方だ。
セコいとか貧乏臭いとかよく言われるが
いーじゃん!自分のペースで呑みたいんだから。
ワサビ醤油にチョチョんと付けて、モグモグ噛んで、飲み込む時にチビリとやって一緒に呑む。
量が無いから流し込めないが、これはこれで嫌な匂いが消えるので、青魚とか食べる時も良くやる呑み方だった。
まぁ今日は肉だけどね♪
一人が長いと独り言も多くなる。
昔言われた事を思い出しながら呟く
寂しいからってわけではないんだ、呑むとね? 何かしら思い出しちゃうから、酔ってるしね♪と独り言。
段々楽しくなってきたので歌なんて歌っちゃったりして、楽しい夜はふけていった。
その日の朝は……流石に吐いた。
調子に乗ってチャンポンした様だ……
ビールいって、日本酒いって、芋焼酎からのバカルディとか……ちょっとアホだった……
何が自分のペースだ……狂いまくりじゃねーか。っと自分で自分を叱咤する。
手押しポンプでバケツに水を貯めると
そこに頭毎突っ込んだ。
その後いつものルーティンを終わらせ、軽トラに乗る。
軽トラには水を入れるタンクを載せて固定してある。
ちょっとやってみたかった事もあったので、そのまま山へと向かう。
この軽トラは4WDなので山道だってスイスイ登る。「この車は4駆だぞぉっ!」とか言いながら登る。
一つやってみたかった事が終わった。……虚しいだけだな……
気を取り直してそのまま山道を走る。道は狭いが軽トラだから問題無く行けた。
そのまま頂上までくると、広場で切り返して、帰る時に出やすい様に向きを変えてエンジンを切る。
そのまま車を降りて小川へ入り、ジャブジャブと洗濯物を洗った。
ただの水洗いなのだが、いつも異常に汚れが落ちる。「やっぱりか!」
昨日毛皮がやけに白くなったから、もしやと思って洗濯物を持ってきたんだが、狙い通り綺麗になった。
これで洗剤代が浮いた!
そして、この水を軽トラに積んできたタンクに入れて持ち帰ろうと思います。
これで作った味噌汁とか飲みたいじゃん?それに蜂蜜酒も作りたいんだよね!
できれば樽で…出来ないので仕方なく梅酒用の瓶だけどね。容量は結構あると思うんだ。
蜂蜜も買うか天然物を探すかしたいけど
取り敢えずは買いにいく。養蜂もいーかも知れない……やり方知らんけど。
取り敢えずさっさと吸い込もう! 吸口をこっちのなるべく源流に近い所にしたいから、ちょっと吸口持って移動する。
結構歩くかと思ったけど湧き水がコンコンと湧いてる池みたいな場所に着いた。
そんなに広くないんだな……
大き目の子供用プールくらいだろうか
もう一回りか大きいかな?
まぁそのくらいの広さで、深さを測ると結構深かった……
潜って確かめると5mから7mあたりかな?
魚などは居なかったし水草も無かった。
まぁ悪い水では無いから大丈夫なはずだヨシヨシコレなら電動で吸い込んでも枯れることは無いだろうと吸口を沈める。
ホースも充分届きそうだった。そのまま車へと戻ると給水装置のスイッチを入れて
吸い込んで行く。
『ズボボボボッ』と音がしたあと、バシャーッと水が勢い良く出て来た。
特に砂とかも吸い込んでないようで一安心。このまま入れて行けば500は入る筈だし
まぁ時間は掛かるが問題無い。
今日こそ沢蟹を食べるべく、昨日埋めといた火種を穿る。
消えてない事を確認したら後は籠を背負い込んで、いざ沢蟹取りへと小川へと戻る。
十数分後、数匹の沢蟹を取り大漁大漁と喜びながら、広場へと戻る。
だいぶ溜まって七分目くらいだろうか、沢蟹焼いてる間に貯まるかもっと思い、薪に成りそうな枝を拾ってパキパキ折っていく。
掘り起こした火種を使って火を熾す。その周りに川で拾った石を並べて竈にすると
その上に網を置く。そのまま蟹を置いたら焼いて行く。
パチパチっと小気味良い音を鳴らす焚き火に炙られた蟹が良い感じに焼けていく。
段々香ばしい香りが山を包む様に拡がると、食べ頃になったようでフーフーしながら齧り付く。
肉汁がジュワーッと口内へと拡がり、肉厚な果肉を噛み締める。
あーっ美味っ!これは癖になりそうだ
今度はビールを持ってくるか!!っと、朝から吐いた事など忘れた俺は笑う
タンクを見るとソロソロ一杯かなっとスイッチを切る。タンクにゴム製の蓋を嵌め込み固定する。
吸口を取りに行く前にすべてのカニを食べて、火を消して、また砂を掛けて置いた。
夜にキャンプも良いかもっとほくそ笑む、毎日がキャンプみたいなもんだけどっと、一人突っ込みしながら吸口を回収し、戻る途中であの時の犬が居るのに気が付いた。
その犬はグッタリしながら血を流して倒れていた。
10
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる