消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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4話

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 俺は犬の側へと走った
「大丈夫か? 」と、声を掛けるが反応は薄い。取り敢えず抱き上げて水辺みずべのある場所まで連れて行く。

 赤くにじむ血を流し、傷口を確認したら、ポケットから何かあった時用にメンタールを取り出し……蓋を開けたら、手から滑って小川に落ちてしまった
 
「何やってんだ! 俺! しっかりしろ! 」と、震える手を叩く。

 急いで川の底に沈んでたメンタールを拾い上げ、犬の傷口に塗った。一応切り傷には効くはずだが、刺し傷は分からない。

 それでも何もしないよりは、マシなはずだ!なるべくタップリ塗ると傷口は軟膏なんこうで埋まったからなのか、血が流れなくなった。

 塗っている間に目が覚めたのか、目だけで此方を見て力無く鳴いた後、意識を手放した様だった。

 そのまま、抱き上げて山の上に連れていき、車の助手席に乗せてた。

 なるべく早く、あまり揺らさない用に走り家へと帰った。

 俺が前使っていたシュラフを出し、犬を包み込む様にして寝かせた。

 獣医など近くには居ないし、調べる術も持ち合わせていない。
 
 包帯の巻き方も分からなかった。
今日ほど無知な自分に怒りを憶えた事はなかった。

 だが、怒っている場合では無い
空のペットボトルに汲んできた川の水を入れて、犬の口元へと少しづつ流す。
 飲めなくても 舌を湿らすだけでもと、少しづつ少しづつ流していく。

 半分程湿らせた時、朦朧もうろうとしながらも、必死に水を飲もうとしていたので、舌に絡みやすい様に水を流す。

 少しは飲めたのか再び目を閉じた。
その後スースーという寝息が聴こえてきたので、まだまだ安心は出来ないが胸を撫で下ろし、山は超えたかもと思った。

 一応目が覚めたら腹を空かせているかもと思い、お粥に兎の肉を細くしてペースト状にした後、出来上がったお粥と混ぜて置いておく。お粥にもペーストした肉にも川の水を使った。

 気休めかも知れないが、不思議な力がありそうだったので、治療からすべてあの水を使おうと思う。

 たまに目を醒まして側の水桶みずおけに入れた水を飲み、再び眠るって事が一日中続いた。

 朝日が登る頃には俺も眠っていたようで
気が付かなかったが、起きあがってお粥を舐める程度には回復したようだった。

 眠っていた事に焦って起きた時にお粥が少し減っていたので分かった。

 そのまま眠る犬の横に水とお粥を置き、何時でも食べられる様にしておいた。


 取り敢えず俺も飯にする事にして、兎肉を焼いた、それをご飯に乗っけてうさ丼にして食った。

 いや、美味っ!看病中だが、箸が止まらず一気に食った。

「ご馳走様でした……」大満足です!

 犬の様子を見てみると、置いといたお粥をまた少し食べた跡があった。ちゃんと食べれてるなら安心だ。このままなら回復に向かう筈だ。

 ホッとしたら少し眠くなって来たので、毛布だけ待って来て、犬の横で寝る事にした。

◇◆◇◆◇
 
 脚の痛みで目が覚めた、筋肉痛は終った筈だしと、思って起き上がると、犬が噛んでいた。

 結構鋭そうな犬歯が食い込んで軽く血が流れている。その血を愛おしそうに舐め取り、また少し嚙んでは血が出るのを待っている。
 そして流れてくると愛おしそうにペロペロ舐めている犬……

(イヤイヤイヤイヤ怖いだろ!!)

 一瞬口を開けて再度流れた血を舐めようと口を開けた時を狙って顔面を殴った。

 『ゴスッ……』

 ちょっと鈍い音が聞こえて、『キャァンッ』と鳴いた。尻尾を股の間に丸めて此方を上目遣いで見てくる犬

 側のペットボトルから水を出して傷口を洗い、メンタールを傷口に塗り込んだ

 その様子をタンスの影からジーッと観ている犬。

「おう!怪我は治ったか?」

 そう声をかけて近付いて頭を撫でる。
犬は抵抗せずに撫でられ、気持ち良さそうに目を細めた。

 足を噛んでた映像は何気に衝撃的だったので、脳内から削除して何事も最初からなかった事にして話し掛けた。

 「腹減ったか?ちょっと待ってろよっ」と言うと立ち上がりキッチンへと向かった。野菜室から肉の塊を取り出す。

 良い感じに氷は溶けて直ぐに焼ける状態になっていた。
フライパンに油をちょっと付けて、暖めないで肉を入れる。
 そのまま強火で少し焦げる様に表面を焼いて行く。両面に焼け跡が付くまで焼いたら蓋をして、弱火に戻しジックリゆっくり焼いていていく。

 15分ほど弱火で焼いてサッと皿に盛る。
少し冷ましてから犬の元へと持っていった

 「ほいよ、待たせたな! 兎肉のレアだ! 」っと、目の前に出すと喰い気味に皿へと群がり勢い良く食い始めた。

 意外と上手く焼けた、俺も喰いたかったので、そのまま台所へと戻り、自分の分も焼いて行く。

 レアっぽく強火で表面を焼いて蓋をする
その後ジックリ中に火が通る様にゆっくり焼く、少し長めに20分くらいたったらフライパンの上で切りながらそのまま食った。

 赤みが残るのに中は冷たく無く、ちゃんと火が通っているのが分かる。

「ん~♡」と口から音がする。

 しかしこの兎肉…本当に美味いな。半世紀近く生きてきて、それなりに良い肉とかも食ってきた(A五は無い)

 こんなうまい肉は生まれて初めて食った!市場に流したら軽くパニック起こるんじゃないかと思ってしまうくらい美味かった。

 ふと犬が気になり振り返ると、腹を出して大の字に成って寝ていた。

 満腹で満足したならそれでいい。
ニッと笑いながら兎の皮を掛けてやる。

 此れならもう大丈夫だろうと犬を家に残したまま、朝のルーティンを終わらせ山へと向かった。

 そのまま、山を超えて川に来た。
確かこの辺に……と、川の中を探ると、指に当たった感触で蓋を拾った。
 落としたメンタールの蓋を取り、ポケットにしまった。

 その後沢蟹を少し捕まえて家に戻った。

◆◇◆◇◆

 犬にはシノと、名前を付けた。シノと暮らし始めて1週間がたった。この集落に住んでからだと2週間になる。

 その間に井戸の前にあった畑を耕し、
タンクの水4、井戸の水6で混ぜて畑の水やりをしている。

 全部タンクの水を使うと500Lあってもすぐ無くなってしまう。風呂の水もタンクに頼っているし、料理の水もタンクの水を使うので、満タンにしてても3日で無くなる。

 週に2回は汲みに行かないといけないのは実際面倒臭かった。

 シノは言って聞かせるだけで言う事を理解してるようで、ここから先には行っちゃ駄目だよ?とか、俺の足を指差して、噛んじゃ駄目だよ?っと言えば理解してくれた

 何時だか転けて膝を擦りむいた時に血が流れた、その血を何故か美味しそうに舐めていたが……
 まぁ、それくらいなら良いかと許した。
噛まなかったし!……噛みたそうにはしてたが……

 昼過ぎからハスキーに似た容姿のシノと山に行き、裏川(山の裏にあるから)に沢蟹と出来れば兔を狩りに来ている。

 ふと、シノを見たら薄汚れていたので、洗う事にしたのだが……洗ってビックリ黒っぽい灰色だった毛並みが、プラチナブロンドに激変!

 すっげぇ綺麗になった体はキラキラと光が踊りだしそうなくらい輝いていた。

 川を汚すのははばかられたのでシャンプーやリンスはしていない、それなのにこの輝きである!

 売ったら幾らになるだろ……とは思ってません。いや、本当に!

 川の水に浄化作用でもあるのか?
服や身体も傷もこの川の水で洗うと綺麗になる、なので風呂とは別にたまに入る様にしている。

 タオルでよく拭いて乾かすとサラサラになった。体を洗ってスッキリしたのかシノは、縁に寝転がり寝てしまった。

 これは昼飯は俺が取れという意思表示だ……何か日に日に我儘というか……
 どっかの令嬢みたいな高飛車になってる気がする……

 こいつが喋りだしたらツンデレかツンツンになるかも知れん……

 などとくだらない妄想しながらクククッっと笑い、沢蟹を籠へと放り込む。

 一人分から二人分以上になった食費を抑えるため、なるべく自給自足する様になった。

 今までは肉だけ有ったが、野菜も普通にこの犬は食べるので、当初の予定通り作る事にした。

 米は流石に手付かずのままだが、その内というか、来年か再来年には始めたい。

 畑も耕したが、この規模ではどうあっても足りないのは明白。

 人手も欲しいところだが収入も無いし元手も無いので雇えない。

 寝ているシノをチラリと見て……
「流石にお前じゃ限界があるよな」と苦笑い。せめて獣人だったらなぁ……と溜め息

 愚痴を溢していると藪から、頭に刺さった棘で瀕死なのかヨロヨロと歩いてる兎を発見。対岸に渡り沢蟹を餌にして兎を釣る

 沢蟹を見た兎は一直線に走ってくるので
サクッと首を斬って血抜きを始める。
 陰部を切り取り水で洗う、ここ迄の手順は目を瞑ってでも出来るようになった。

 内臓もそのまま川底へと沈めて、頭と陰部は土に埋めた。内蔵は起きたらシノが食べるので取り置きするようになった。

 日暮れ前には肉は冷えているので、川底がら取り出し素早く解体する。その時おやつ代わりに内臓をシノが食べる。

 石は俺のポケットに仕舞う。この石も随分多く溜まってきた。ドラム缶の半分くらいは溜まったと思う。

 売るにしても不思議すぎて説明出来ないし、捨てれずにドンドン貯まるばかりになっている。

 他の物に使えないか実験もしてるが中々暇がない。やはり
「人手が欲しいな……」と口に出して呟いていた。

シノは不思議そうに首を傾げながら俺を見ていた。




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