消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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7話

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 「おっ!先程の店主ではないか!」
キャンプ地から出ようとした所で馬車に乗る御仁に声を掛けられた

 その人は最初に店を訪れた男性だった
何でもこれから森へと実験しに行くらしい
 馬車の後ろには檻に入った河童…モドキのゴブリンが入っている…

 「近くまでなら送っていきますよ?」

「近くまでと言うか僕等も森に行くんですよ」

 「え。迷いの森にですよね?」

「はい、そこに居たスライムに用がありましてね」
「え。スライムですか?彼等は無害なので傷は付けないで欲しいのですが…」
そう言うとチラチラと俺の剣鉈を見て言う

「何もしませんよー?ちょっと家のトイレ事情を相談するだけですよ」

 「…あ!テイマーの方ですか?」
いや、さっきあんた店主いうてたやろーが!
 「いえ違いますけど、熱心に声を掛ければ付いてきてくれると信じてます!」

 「おおっ!その熱意は素晴らしいですね!」
頑張ってくださいねーっと応援された

 他愛無い話に花を咲かせて霧の森入り口へと着いた
「有難うございました!」とお礼を言って馬車を降りた

 「いえいえ構いませんよー」と気さくに応え、また売りに来てくださいねーっと握手をして別れた

 別れたといっても、お互い同じ場所が目的地、そんなに離れていない場所で作業に取り掛かった 

 男性は河童モドキの動作確認
俺はスカウトする筈のスライム探し
 森の淵をテクテク歩きキョロキョロと探す、ウッカリ霧の中に入っても大丈夫なように、シノ(犬)とはズッと手を繋いだままだ

「居ないなぁ」
「居ないねぇ」

 藪の下枝を持ち上げたり
少しだけ霧に入ってしゃがんだり
色々手を尽くしたが見つからなかった

「こりゃ駄目かなぁ」
「こりゃ駄目かもねぇ」

 俺の呟きに木霊する様に続くシノ
チラリと振り返ってみると何気に楽しそうだ

 散歩感覚なんだろうな
仕方無いまたにすっかぁっと今回は諦めて
先程の男性に1言挨拶をしてから帰ろうと近付く

 丁度河童がマスクを装着してる所だった
「あ、そのマスクは取り外し、しやすい様に改良した方が良いですよ」

「「「え?」」」

一斉に河童モドキのまわりで作業していた面々が此方を振り向く
あ…しまったつい…突っ込んでしまった

 「あの…実はこれは最新式のマスク何ですね?どーして其れを貴方が知ってるんですかね…」

 アーヤバイ!メッチャ見てる
メッチャ睨まれてる
 あ!何か伝令走ってった!
スパイだの 兵士を呼べとか叫んでる

 アーもうアーもうと突っ込んだ少し前の俺を殴ってやりたい!

 ここは隠すと為にならんやつだ
正直に言っても為にならんやつだが
隠すよりはなんぼかマシか…

 「…いえ実は…カクカクシカジカで…」と話し始める俺

 「…え。」と驚く面々と男性に腕を捕まれ
結界の川まで知ってるとなるとちょっと此方で詳しく…と、連行された

 連れてこられた先には先程のキャンプ地にある、一番大きなテント

 出入り口の左右に兵士が立っていて
連行される俺とシノを睨む
ギューッと固く握ってくるシノの手を撫でながら
兵士の威圧から目を逸らす

 フンッと鼻で笑われて
通り過ぎると 後ろから笑い声が聴こえた
「何だあいつ!」と悪態を付くシノを宥めながら奥へと歩く
 一番最奥だろうか 其処で待てと言われてボーッと待つ俺と、イライラしながら唸るシノ

 ポンポンと頭を優しく叩いて
「気にすんな」と笑顔で笑ってやる
「だけど!コウジが舐められた!コウジが舐められると僕も舐められた事にもなるんだぞ!!」と俺に怒り始めた

 後で面倒臭くなるから争いを避ける為に弱いフリをする癖が付いていた俺(実際弱いんだが…)

俺を主人としてからのシノの立場を考えれば
まぁそうだよねー…此れは考えを改めないとシノに悪いな…そう思ったので

 次はちゃんとするからと謝り
宥めていると「どうぞ!中へ」と奨められた、アーハイハイと中へと進むと

 椅子に座る人が3人(白髪の老人が2人目付きの鋭いオバちゃんが1人)と
 その後に一人づつ立つ部下っぽいのが3人
机の左右にメイドが立ち
 俺の前に先程の男性が立っていた

 「膝を付いて!」と言われたのだが
「何故?」と返す
 「え。何故ってこの方達を知らない訳では無いでしょう⁉」と言われたが

 「スイマセンねこの国の生まれでは無いし、この国で暮らしてる訳でも無いので、下げる頭はありません」と答えた

 「だとしても礼儀と言うものがあるでしょ!!」と怒鳴り始めたので

 「先程入り口で威圧されまして問題を冒す訳にはいかないので目を逸らしたら笑われましてね?」っと、答えてあげた

 礼を欠いたのは貴方方が先ですよーっと伝える
 まぁ口が滑ったとはいえ、話を聴きたいとお願いされた立場なのでぞんざいに扱うなら話はしないで帰りますと続ける

 手前の男性は焦った顔をして走って部屋から消えた

 老人達は無言のまま此方を睨む
「で?椅子も出さない無礼な貴方達と何を話せと言うんですかね?」と威圧ぽいものを掛けてみる

 あまり効果は無いようだ…
不思議そうな顔をされた…

 そもそも威圧ってどーやるんだろ…
ガンか?ガン付ければいーのか?
所でガンでどーやって付ければいーんだ?

 っと一人悩んでると…横からゾッとする気配がした、チラリとその方向を見ると
シノの背後から黒いオーラが出てて
思っきり怖い顔で老人達を睨んで

 それに俺もあてられて震えそうになっていると、
「おい貴様ら…森の管理者である銀狼族を敵に回すとは良い度胸だな…」と聴いたこと無い様な低い声で唸る様に言い出した

 「「「「「えっ!!?」」」」」
と、固まる老人達とその他の方々
 何か物凄く汗をかき始めた老人達

 めっちゃ睨んでるシノ
何となくどーでも良くなってきたので

「シノ」と声を掛ける
こちらを見ずに「…なに。」とだけいう

 「帰ろうぜ」と朗らかにいう俺
「………もぅ……」と言いながら頬を膨らませて呆れるシノ

 だって仕方ないじゃん…俺争いごと嫌いなんだよ、っというと

 はぁぁ…と溜め息を付いたあと
ニッコリ笑って、「帰ろう!」といってくれた

 手を繋いで外へと走ると
シノ(犬)は狼へと姿を変えた

「乗って!コウジ!」っと
俺に声を掛けるシノ(狼)

 俺が乗るのに手間取っていると
マズルに手を掛けさせ助けてくれた

シッカリ捕まっててよ!そう言うが早いか
風の様にキャンプ地を跳ね回る
それを追う兵士達

 スピードを上げているのかガンガン
跳ね回るスピードが上がっていく
残像が見え始めた瞬間

…ドゥッ!!

 っという音だけを残してキャンプ地から消えた、俺を追いかけてきた男性と門にいた兵士達は、唖然として固まったまま動かない

 それと3人の宰相風の男と
王様っぽい男と王女っぽい女の3人も外に出ていた

「…彼等は何者だ?」と宰相

 「広場でアジシオ胡椒という商品を売ってた商人です宰相様」と男性

 「商人が銀狼族と結託して何やらしてると言うの⁉」っと女王様

 「詳細を調べて朕に告げよ!」っと王様

「「「「ハッ!!!」」」っとその他の方々

 俺はシノ(狼)の背を掴み、跳ね飛ばされ無い様に必死で捕まり

 そのまま霧の森の奥地へと連れてこられた。
やっと帰れるーと周りを見ると、風景が違った。あれ?ここ何処?シノ?っと 
シノを振り返ると…

 徐ろにシノ(狼)は遠吠えを始めた
霧の山々へと遠吠えの声は響いていく

 すると更に奥の方から遠吠え後聞こえた
「よし!通じた!」とばかりに
また俺に乗れというシノ(狼)に逆らわない様に、素早く乗って落とされない様に首周りを掴んだ

 すると少しジグザクに走ったと思ったら急にスピードを上げていく

 バシュッ!っと変な音が霧の森に響いた
そして轟々と耳元で風が唸る

 さっきまで霧が俺の頭に重くのしかかる様に覆い被さっていたのに

 たった一瞬空を翔るとまるで魔法の様に霧散した
一瞬で目的地に付いた様で俺を降ろすと
直ぐに何時ものシノ(犬)へと姿を変えた

 するとあちらこちらの木の上に狼が立ってるのが見えて
 その下から数匹の狼がササーッと
俺の周りを取り囲んだ

 その数匹が立ち上がり胸に左腕を真っ直ぐ付けるような敬礼をしながら片膝を付いて

「「「お帰りなさいませ!お嬢様!」」」

っと一斉に叫んだ







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