消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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49話

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 マリアside

 唖然とした。噂の麹村村長が何と高塚先輩の弟だった!

 なので、これはチャンスと色々質問しまくった

「あの!異世界に行けるというのは本当ですか?」

『あー、今は塞いでしまって簡単には行けなくなりました』

(何とも残念な話だった。嘘にしても夢が無い……)

「なぜ塞いでしまったんですか? 」

『うーん。必要ないかなって……』
「そんな事無いですよ? むしろ必要ですよ! 私なんか何度も夢見ていたのに! 異世界で冒険者になって、魔物を倒したり、魔法を使ったり! 」
何となく食い気味に訴えていた

『あー、いや。魔法は加護を貰えないと使えません。それに、魔物は強いですけど殆ど肉として搾取されてるだけなので……』

っと、本当に夢が無い……。

「ドラゴンとか居ないんですか? 」
『居ますよ……あ、居ました? かな』
(ウッカリ世界樹斬ってから竜の姿見てないのよね……何処行ったんだろうね天龍……乗りたかったのに)

「おおっ!居たんですか! 」
(本当にいるならカメラで撮りたかったなぁ……)

 色んな質問も取り敢えず止めさせられた。
村についたと言うので、馬車を降りた、もう夕方に成っていた様で、外に出ると薄暗かった

 馬車を降りた場所は高台でアスファルトの上だった
そこから見た景色は、何時ぞやネットに流れてきた景色そのままで、本当にホタルのような光が地面一杯に広がっていた。

 わたしは、カメラで撮影する事もせずに魅入ってしまった。

 「此れでも半分に減ったんですよ」と村長は言う

 眼下の光のイルミネーションが半分とな?
経費削減って事だろうか? やはり、噂は噂でしか無かったと言いたいのだろうか……何も、そんなこと今言わなくても……感動してる私の心を返しやがれ!っと、突っ込みそうになったが、1つの光の粒が私の所に飛んできた。

 真っ直ぐに私に突撃するかの様に……
まるで意志を持ったホタルのように飛んできた光の粒はクルクルと私の周りを飛んだあと、村長の肩に止まった

 「なしたん? お前、え? シノが⁉ 」
まるで友達に話し掛けるかのように光の粒と会話を始めた村長は、急に叫んだと思ったら

 「姉貴! シノが産気付いた! ここは任せた! 」と、言うやいなや飛んでった……
いや、言葉の比喩とかではなく……本当に空を駆けて行った……

 (人間急ぐと空も飛べるのかも知れない……)と、本気で考えていた。

 「マリア? 私達はコッチよ 」と、呆気に取られて固まる私の肩を叩き、下に降らず前の道を真っ直ぐに歩いていく先輩を追って私もようやく歩き始めた

 眼下の光の粒達は村長の向かう場所へと集まりだして、その周りをグルグルと回っている様だった

 やがてその渦が止まり、歌声が聴こえてきた
その歌声は段々大きくなり私の側にも聴こえてきた


おお、愛しい魔王様、優しい魔王様。
母なる妃の御旨により、
地からあがられ、愛しき人となられました。

おお、愛しい魔王様、優しい魔王様。
絶大なる魔王の慈愛を受け止めた妃様
私どもの想いも乗せてどうか良い子を授けたまえ

 まるで賛美歌だった……言葉の中に魔王とか言ってる気がしたが……凄いソプラノで砕けた言葉だったのできっと聞き間違いだろうと思う事にして、先輩の跡を追った

マリアside end


 俺は始終質問攻めにあっていた……
(何だこのおばさん……)と、引くくらいずーっと延々と質問してくる。汚姉様の策略なのか、止まらない質問に全部答えていると、ようやく馬車が止まり村についたらしい

 俺はホッとして直ぐに馬車を降りた
目の橋に捉えた汚姉様はニヤニヤと笑っていた……
やっぱり策略か……舌打ちを心の中でしたあと

 外を見ると何やら翅妖精達が騒がしいのに気が付いたが、特に気にせず降りた

 その内二人も降りてきて眼下の光る妖精に魅入っていた

 前と比べるとだいぶ少なくなった妖精達
「此れでも半分に減ったんですよ」とつい話していた

マリアさんはよく分かっていないのか、眉間に皺を寄せていた

 するとシノに付いてた近衛の一匹が俺の所へ飛んできた、近付いて俺の横に居たマリアさんを発見すると絡みだした

 「むむ!まさか!浮気ですか!?魔王様!おのれ!裏切りですか!魔王様!許しませんよ!」

 と、マリアさんの周りをグルグル回り威嚇していたので、〖違うわ!姉貴の友達だよ!〗と念話(エアライン)を送ると、納得したのか俺の肩に止まった

 「なしたん?お前……」と呆れながら聴くと
『シノ様が産気付きました!お早くお戻り下さい!魔王様!』と、言われた

 それを聴いた俺は「姉貴! シノが産気付いた! あとは任せた! 」と、マリアさんが居たが関係無く叫び、駆け出した。

 何処をどう走ったか分からなかったが直ぐに宿屋に着いたので、急いで中へ入ると親父どのに止まられた

 「落ち着け! 馬鹿息子! お産婆が来てる! 」
と、叫んだ。

 俺は本当に慌てていたらしく少し深呼吸して、食堂の椅子に腰掛けた

 「お産婆って、隣町のか? 」と誰と、なしに聴くと

 「俺の嫁の婆ちゃんだよ」と、月島が答えた
(いたのか……なんか久しぶりだな)
大分落ち着いた俺は食堂に随分たくさん人が集まっている事に気が付いた

 ぐるりと周りを見てみると……村人全員が集まっている様だった……

 「何だお前ら……暇なのか? 」と、つい言ってしまった

 「馬鹿村長ちげぇよ!お前が心配で集まったんだろ?ダボ」と、いつもの口調で内田が言うと

 「ははは、口が悪いな内田は、俺は婆ちゃん連れてきたんだよ、帰りもあるからな! 」と月島

「送迎は終わったのか? 生まれる前に着いてホッとしたよ! 」と田島

 「外すげぇな!妖精が詩を歌ってるぞ! 」と、新島

 「ほおおっ!こりゃ賛美歌だな! 珍しい! 魔王へのってのが癪だが……」と、親父

 「お、おじさん……久し振り、あとおめでとう!」と亮介&……何その精霊……「あ!あの二人精霊になっちゃったの……気付いたら……酒の精霊に」と、また俺が怒るかもと思ってるのか俯いてしまった亮介

 「そうか!暫く見なかったからもしやと思ってたが……まぁ、しゃーねーべ? 亮ちゃんのせいじゃねーよ?きにすんな!」と、耳元で囁いて甘噛みしてやった。

 「そ、そうかな……よかった……」と、ホッとしてるようだった。(甘噛みには反応なしか……)よっぽど気にしてたのかな?

 トマコとトママも居たので声を掛けようとしたら逃げられた……こちらの溝はまだ深いようだが
「魔王!貴様も子の親になるな!おめでとう!」と、遠くからトママがサムズアップして賛辞してくれた
溝が埋まる日も近いかも知れん……

そんな事を考えていたら


  「おぎゃーっ!!」

 っという声が宿屋に響きわたった
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