消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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妖槍の小太郎異世界道中記⑨

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 翅妖精のスケさんが城に飛んできて珍しいと思っておりやしたら……
 「あ!小太郎さん早く家に帰って!魔王様が家出して小太郎さん家に逃げ込んでるの!早く行かないとシノ様に壊されるよ!」

 「んなっにやってんですかぃ!?魔王さんは!
しかも何故あっしの家が壊されるんで?」
走りながらスケさんに聴いたんでやすよ、したら
「魔王様が作ったと思われて破壊しながら連れて帰ると思うんですよ!急がないと!」
 なんて理不尽な!意外と気に入ってるんですよ?あそこ!そう思いながら慌てて帰ると……遅かったでやんす……瓦礫になって樹木毎更地に成った家だったものと、魔王様らしい物体が横たわってまして……その上に赤い目をしたシノ様が座っておりやした……いやもう夢に出そうな程恐ろしい姿でやしたよ……

 「あれ?猫又さんがいる!こんにちは!」

 その時の可愛さは天使の様でしたがね?血達磨の魔王さんの上に座って無ければの話で……

 「へぇ、こんにちは、姫さん。あの……あっしの家は……」
少し涙目なあっしを見てから、瓦礫を見てもう一回あっしを見たあと察したらしく
 「あれ?このお家猫又さんのだったの?てっきりコージが作ったのかと……ごめんなさい!直ぐに作らせるね!」

 そう言ったかと思うと魔王さんを掴んで堀の中に放り込んだかと思ったら、綺麗に治りやしてね?どんな妖術?っと、思って唖然としてやしたら……

 「シノがすまん!小太郎さん!すぐ作り直すから待ってて!(俺も遊びに来れるように作り直すから!)」

(変な裏の声まで聞こえたんですが忘れやす!)

 本当に一瞬でやしたよ。家ができたの……
あっしのが掘っ立て小屋だったら、この家は豪邸でしょうな……その後案内されやした。

「まず!地下作ったから、其処に食料とか保存が出来るようにノームの壺をでかくした奴置くね!沢山入るから!どんどんオーク肉もあつめられる!日本酒は隣の壺に入ってるから!好きなだけ呑んで!」

 「次に一階ね!ここは、客間!沢山人呼んで大丈夫な様に空間弄ったから!一個大隊くらいはいれるよ!次は二階だよ!此処は寛ぎの部屋ね!キッチンもあるから!パーティくらい開けるよ!次三階ね!此処は、小太郎さんの部屋だ!ベッドに兎のベッド新たに作ったから!ふわっふわだよ!好きにコーディネートしてくれ!次は屋上!此処は温泉作っといたから!24時間365日入り放題!ウンディーネの水だから掃除知らずだよ!便利だね!(此処に俺も来れるようにしといたから!気にしないで!)」

何かもう勝手にして!

 その後シノ姫の肩を抱きながらテンション爆あげのまま、二人は去っていきやして……残されたあっしと、スケさんがポツンと佇んで呆然と建物を見上げておりやした。

 はぁ……と、溜息吐いて扉開けて中に入りやして、一個大体て300~1000人入れるんですが……
確かにやたら広い空間がそこにありやしたよ……ギリアン隊長が見たら喜びますかね?……訓練場より広いですよ?ここ……

 呆れながら地下へ行って日本酒を3本ほど持ちまして、肴に肉持って二階に行きましてね?キッチンで肉を焼いて3階に上がりやした。

 そこもまた広い部屋でしたが、囲炉裏セットも置きっぱなしだったんで、セットしやしてね?
そこで、日本酒チビチビ呑みながら肴食って、お盆に酒乗せて屋上に行きやして、月見酒しやしたよ。
温泉に浸かりながら……。

 でもね?なんか違うんすよ、これじゃない感半端ない、いや、まぁ幸せならそれでも良かったんでやすがね……確かに文句なしの家なんでやすがね?

 なんですかねぇ……旅をしている感じがないんでやすよ……とても有難かったんですが。此処には住めません。

 その日だけは泊まった小太郎は、その次の日に旅支度を済ますと地下へ行き、日本酒を山程貰って翅妖精のスケさんに言付けを頼み姿をけした。

 翅妖精のスケさんは小太郎の言付けを村長さんに伝えると

 「あー……そりゃ済まないことしたなぁ……俺とした事が、すっかり忘れてたようだね。いや、小太郎さんの気持ちは分かるよ、んーでもあそこは保養所としてとっときたいから、家妖精にでも管理させとくか、酒なくなったら取りにおいでと伝えてくれるかい?スケさん?」

 そう言うと、最敬礼してスケさんは飛んでった。
そうだよねー、せっかくの旅だもんね。

そう言って温泉に浸かりながら盃を掲げ、小太郎に謝った。(でもいいなぁ……ひとり旅……いつか俺もやろう……)

 その後小太郎の家は魔王の保養所と書かれた木札が貼られ、そこを訪れる冒険者を驚かせたが、家妖精が招き入れ一泊させて帰らせるというサービスを始めたため、有名になりちょっとした観光地になりましたとさ。

 ◆

 その頃小太郎は帝国方面に足を向けてスケさんが肩に乗り歩いていました。

 「さて!あっしの旅はまだ始まったばかりでやんす!相棒も出来たし、順風満帆でやんす」
『ところで、僕はネームドになっちゃいましたね……いつの間にか、まぁヨロシク頼みますね小太郎さん』
「あいよ!スケさん」
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