消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

文字の大きさ
81 / 105

学校を作ろう。8

しおりを挟む

 「はぁぁ……面倒くさい」
肩を落とし足取りも重くダラダラ歩く
とっとと、隣町でアパートでも借りて逃げ出せば良かったのに、3ヶ月過ぎてからにしようとか思ったのが間違いだった。

 今私は都内の品川区を歩いてる、聖人くんは教育委員会の伝を頼って引退した教師の方から適任者を選別してくれてる。

 あの村で正常を保てる適任者なんて居る訳が無いだろうが愚弟馬鹿魔王め

 アスファルトに落ちる汗を眺めながらベンチに座って俯いてると
 「こんにちは、暑いですねぇ今日も……お待たせしちゃいましたか?」

 中肉中背とは私の事だ!っと、大声で自慢出来そうな中年男が私に声を掛けてきた

 「いいえ、時間通りですよ佐藤先生……相変わらず10分前集合なんですね……」

 この方は息子の高校の時の担任で、あの子が在学中に性癖爆発してても笑って受け入れた最初の人だ
 聖人くん並の適応力を有している。今は教師を引退して、悠々自適な老人生活を楽しんでるらしい

 今回この方の力を借りて、麹村学校の教師を紹介して貰おうと思い、声を掛けさせてもらった。

 まぁ、私もこの人と面識もあるし何度かお話し合いもした事がある。

 待ち合わせをすると、必ず予定時間の10分前に来るんだよこの人。道が渋滞してようと、電車が止まっていようと全く関係無く10分前に来るんだよ。予知夢でもしてるんじゃないかと疑うくらいだよ。

 一度なんて私が乗る電車が遅れる筈だからと迎えに来てくれた事もあってね……不思議能力を遺憾なく発揮したら迎えに行かなきゃっと思ったらしく

 私が部屋を出る10分前には玄関前で待機してた人だ。その時は流石に背筋に冷たい物が流れたよ

 ストーカーも真っ青な行動を平然と行う人さ
根が真面目なだけだと本人が言うから余計信用できないんだけど……

 この人を誘う前にウンディーネに確認を取ったが本当に真面目なだけの人だと言われたよ

 そして、電話しようとした10分前にこの人から電話を貰ったんだよね……はははは怖いからマジやめろ!と、思わず突っ込みそうになったよ。

 電話に出たら「私に何か楽しそうなお話ありますよね?」って、言うんだぞ?な?怖いだろ?
本当にストーカーかと思ったよ

 まぁでも、適任者ではあったからさ?今回声を掛けたんだが……はぁぁ。

 「あ、高塚さんそっちに行くと事故が起こるのでこっちの道から行きましょう」

 そう言うと、手前の信号機では無く少し離れた歩行者信号へと歩く佐藤先生……その後を歩きながら、事故が起こると言われた信号を見たらトラックが信号機そばの車止めに突っ込んだ。

 あのまま、歩いていたら巻き込まれて危うく異世界へと渡っていたかもしれない……

 さすが適任者……狡猾な私でも相手するのが嫌になりそうな人間だ、先に読まれるから話し合いは一方的に丸め込まれるんだ……亮介の時だってそうだった……

 女装に関しては当初反対だった聖人くんを丸め込んでキャンプでもしたらどうかと話を振ったのがこの人だった。

 道路を渡って小道に入ったところにある喫茶店に入る。ここは人があまり入らない結構穴場の茶店でよく利用してる場所で、紅茶とケーキのセットが安くて美味しいんだ。

 この人が知ってるのは意外だったけど……
「ははは、なんとなく歩いたら良さげな店がありましたね。ここで、お話しましょうか」
そうにこやかに微笑みながら、躊躇無く入っていった佐藤先生……

 はぁぁ話さなくてももういーんじゃないかしら……そのまま拉致ってしまえば話も早いのに……

 愚弟と思考が似てきた事に気付かない汚姉様だった



 「実は麹村と言うところで教師を探し「やりましょう!」てまし……」
「……あ、い「おまかせ下さい!」まあ……」
(話しさせろよ!)とは、思ったが先に進めることにした。姉様

 麹村までの住所を渡して、注意事項を印した紙を渡す時にくれぐれも相手側(魔王側)を怒らせるような行動はしないでくれと、頼んでその日は別れた。準備でき次第妻と向かうらしい。
 佐藤先生が店オカルト好きで良かった……話もスムーズに進んだ。あとは、聖人くんの方だなぁと喫茶店で残りのお茶を呑んで、寛いて巻いたときだった。マスターが徐に付けたTVから緊急ニュース速報が流れたのだ!

 そのニュースは教育庁のビルの中からで、数人の老人が空を飛んで何処か山へと楽しげに飛んでいくシーンを捉えたスマホカメラの一場面だった。

 その老人達の後ろの方に自分の旦那がニヤニヤしながら写っていた時には肝が冷えた。

 (今のは人の笑いなのか!?)そんな事か頭に浮かんてしまうほど、恐ろしい顔の笑顔が写っていた。
きっと詐欺師とかはこんな顔するんだろーなぁって顔だった

 聖人くん詐欺師だったの!?でも、山に飛んでいってるから、目的地は一緒か……その直後に電話が掛かり「こっち終わったよー」と、テレビの中の人が私に向けて電話を掛けてるシーンが目に写る。

 だが姉は電話には出ず、メールで村へ向かったような事を書いて送信。

 それを受けた聖人さんは急いで顔を隠して、空から飛びたしてスーパーマンの様に山へと向けて飛んで消えた。……聖人くん……一番まともだと思ってた人間がいなくなった瞬間だった……その後この映像は閲覧禁止となって闇の中に消えた。
 時間帯的にも救われて拡散することも無く、握り潰されたのであった。

 大量老人失踪事件は少し話題に上がるたびにもみ消されていった。孫や一部の人間が消えた話も聞こえた筈だがすべて揉み消されて闇の中へと消えていった

 この件には大物政治家や警察庁官僚も関わっていた為問題にすら上がらなかった。ウンディーネの力はすでに政治界隈でも知られており、若返りの酒がある事も分かっていた。敵に回したらいけない者達として認識されており、都合の良い様に操れる駒になっていた。

 まぁ身寄りの無い老人元教師など、に声をかける奇特な人も居らず、アッと言う間に教師は集まった。

 結局神隠しでもなく、拐ってくる案が採用された事に魔王は抗議の声をあげたが、右から左に流された。

 警察も一応調査に来たが、既に若返ったお兄さんが笑って相手をしていたので、何も掴めずに帰るんたろうなぁ……と、その背中を見送りながら温泉へと向かった。

 遂に教師は集まった……あとは運営するだけだ。
村長の命運は刻々と迫って行ったのであった

しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...