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学校を作ろう。8
しおりを挟む「はぁぁ……面倒くさい」
肩を落とし足取りも重くダラダラ歩く
とっとと、隣町でアパートでも借りて逃げ出せば良かったのに、3ヶ月過ぎてからにしようとか思ったのが間違いだった。
今私は都内の品川区を歩いてる、聖人くんは教育委員会の伝を頼って引退した教師の方から適任者を選別してくれてる。
あの村で正常を保てる適任者なんて居る訳が無いだろうが愚弟馬鹿魔王め
アスファルトに落ちる汗を眺めながらベンチに座って俯いてると
「こんにちは、暑いですねぇ今日も……お待たせしちゃいましたか?」
中肉中背とは私の事だ!っと、大声で自慢出来そうな中年男が私に声を掛けてきた
「いいえ、時間通りですよ佐藤先生……相変わらず10分前集合なんですね……」
この方は息子の高校の時の担任で、あの子が在学中に性癖爆発してても笑って受け入れた最初の人だ
聖人くん並の適応力を有している。今は教師を引退して、悠々自適な老人生活を楽しんでるらしい
今回この方の力を借りて、麹村学校の教師を紹介して貰おうと思い、声を掛けさせてもらった。
まぁ、私もこの人と面識もあるし何度かお話し合いもした事がある。
待ち合わせをすると、必ず予定時間の10分前に来るんだよこの人。道が渋滞してようと、電車が止まっていようと全く関係無く10分前に来るんだよ。予知夢でもしてるんじゃないかと疑うくらいだよ。
一度なんて私が乗る電車が遅れる筈だからと迎えに来てくれた事もあってね……不思議能力を遺憾なく発揮したら迎えに行かなきゃっと思ったらしく
私が部屋を出る10分前には玄関前で待機してた人だ。その時は流石に背筋に冷たい物が流れたよ
ストーカーも真っ青な行動を平然と行う人さ
根が真面目なだけだと本人が言うから余計信用できないんだけど……
この人を誘う前にウンディーネに確認を取ったが本当に真面目なだけの人だと言われたよ
そして、電話しようとした10分前にこの人から電話を貰ったんだよね……はははは怖いからマジやめろ!と、思わず突っ込みそうになったよ。
電話に出たら「私に何か楽しそうなお話ありますよね?」って、言うんだぞ?な?怖いだろ?
本当にストーカーかと思ったよ
まぁでも、適任者ではあったからさ?今回声を掛けたんだが……はぁぁ。
「あ、高塚さんそっちに行くと事故が起こるのでこっちの道から行きましょう」
そう言うと、手前の信号機では無く少し離れた歩行者信号へと歩く佐藤先生……その後を歩きながら、事故が起こると言われた信号を見たらトラックが信号機そばの車止めに突っ込んだ。
あのまま、歩いていたら巻き込まれて危うく異世界へと渡っていたかもしれない……
さすが適任者……狡猾な私でも相手するのが嫌になりそうな人間だ、先に読まれるから話し合いは一方的に丸め込まれるんだ……亮介の時だってそうだった……
女装に関しては当初反対だった聖人くんを丸め込んでキャンプでもしたらどうかと話を振ったのがこの人だった。
道路を渡って小道に入ったところにある喫茶店に入る。ここは人があまり入らない結構穴場の茶店でよく利用してる場所で、紅茶とケーキのセットが安くて美味しいんだ。
この人が知ってるのは意外だったけど……
「ははは、なんとなく歩いたら良さげな店がありましたね。ここで、お話しましょうか」
そうにこやかに微笑みながら、躊躇無く入っていった佐藤先生……
はぁぁ話さなくてももういーんじゃないかしら……そのまま拉致ってしまえば話も早いのに……
愚弟と思考が似てきた事に気付かない汚姉様だった
「実は麹村と言うところで教師を探し「やりましょう!」てまし……」
「……あ、い「おまかせ下さい!」まあ……」
(話しさせろよ!)とは、思ったが先に進めることにした。姉様
麹村までの住所を渡して、注意事項を印した紙を渡す時にくれぐれも相手側(魔王側)を怒らせるような行動はしないでくれと、頼んでその日は別れた。準備でき次第妻と向かうらしい。
佐藤先生が店オカルト好きで良かった……話もスムーズに進んだ。あとは、聖人くんの方だなぁと喫茶店で残りのお茶を呑んで、寛いて巻いたときだった。マスターが徐に付けたTVから緊急ニュース速報が流れたのだ!
そのニュースは教育庁のビルの中からで、数人の老人が空を飛んで何処か山へと楽しげに飛んでいくシーンを捉えたスマホカメラの一場面だった。
その老人達の後ろの方に自分の旦那がニヤニヤしながら写っていた時には肝が冷えた。
(今のは人の笑いなのか!?)そんな事か頭に浮かんてしまうほど、恐ろしい顔の笑顔が写っていた。
きっと詐欺師とかはこんな顔するんだろーなぁって顔だった
聖人くん詐欺師だったの!?でも、山に飛んでいってるから、目的地は一緒か……その直後に電話が掛かり「こっち終わったよー」と、テレビの中の人が私に向けて電話を掛けてるシーンが目に写る。
だが姉は電話には出ず、メールで村へ向かったような事を書いて送信。
それを受けた聖人さんは急いで顔を隠して、空から飛びたしてスーパーマンの様に山へと向けて飛んで消えた。……聖人くん……一番まともだと思ってた人間がいなくなった瞬間だった……その後この映像は閲覧禁止となって闇の中に消えた。
時間帯的にも救われて拡散することも無く、握り潰されたのであった。
大量老人失踪事件は少し話題に上がるたびにもみ消されていった。孫や一部の人間が消えた話も聞こえた筈だがすべて揉み消されて闇の中へと消えていった
この件には大物政治家や警察庁官僚も関わっていた為問題にすら上がらなかった。ウンディーネの力はすでに政治界隈でも知られており、若返りの酒がある事も分かっていた。敵に回したらいけない者達として認識されており、都合の良い様に操れる駒になっていた。
まぁ身寄りの無い老人元教師など、に声をかける奇特な人も居らず、アッと言う間に教師は集まった。
結局神隠しでもなく、拐ってくる案が採用された事に魔王は抗議の声をあげたが、右から左に流された。
警察も一応調査に来たが、既に若返ったお兄さんが笑って相手をしていたので、何も掴めずに帰るんたろうなぁ……と、その背中を見送りながら温泉へと向かった。
遂に教師は集まった……あとは運営するだけだ。
村長の命運は刻々と迫って行ったのであった
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