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封印術士を求めて
しおりを挟む内田が急に旅に出た。異世界ではなく、こちらの世界で、海外に行くかもと言う事でパスポートの申請までするそうだ。
まぁ、パスポートいらねーだろお前。っていう突っ込みはしないでおこう。一応やつもまだ、表の住民台帳には名前が載って……載って……
パラパラと捲るまでも無い住民台帳を見るが、内田の名前は既になかった。
裏の台帳を調べたら載ってました。うーん……パスポート……取れないんじゃね?
まだ、住民票をどこで取るかに寄るんだろうけど……(どんまい内田!最悪捕まっても逃げれるだろ)と、言う事を一応内田にも伝えようとシルフを探している。んだが、見当たらなかった。なので、召喚しようとしたら手紙を預かったと翅妖精が俺を訪ねてきた。手紙を受け取ると最敬礼して帰っていった。で、手紙を見ると差出人はシルフになっている、珍しい事もあるもんだと中を読むと
内田と一緒に出てる事、召喚はやめる事、致してる最中だったらどうするのか考える事などが、つらつらと書いてあった。
確かに致してる所に呼び出された日には俺だったら死ねる。寧ろ、死なす!
召喚は考え物だと気付かせられた。しかも例えが最もな事だったので、みょうにストンと納得した。
ではこちらの話を伝えるには……ああ、妖精使えばいーのか。というわけで、飛んでる妖精をひっつかんで、手紙を背中に括り付けた。コイツラは一度に複数の事柄が出来ないので、シルフに会いにいけっと、伝えると透明のまま向かってくれるのだが、手紙を届けろと繋げると手紙を持ったまま飛んでいって、ある種のパニック問題に繋がるのだ。
かんたんな例えだとティンカーベルが手紙持って飛んでた!とかいう動画がSNSに上がる事になるだろう。
なので背中に手紙を括り付けたまま、飛ばす方が良い。落とせない様に両面テープも使ったので落とさないだろう(多分)
そして、妖精を伝書鳩の様に持って空へと投げた。が、ポトっと、落ちてきた。タイミングが合わなかったようだ。
何回か繰り返してようやく翅妖精は飛んでいったが、手紙の大きさは要改良だな。風が吹くたびに流されてる。大丈夫かな……。少しというか、大分心配になった俺は、妖精に気付かれないようにあとを付けた。
東の方向へ飛ばしたのに南風で流されてるっ
どんどん北へと飛んでるように見えるが、妖精本人は真っ直ぐ飛んでいるようだ。
何とか風を活かして飛ぶんだっ!気付かれないようにしながら応援もする。
どうやら流されていた事に気が付いたようだ
高く高く上に飛び上がると偏西風を掴んだらしい妖精、物凄い勢いで太平洋上へと向かった
既に行き先を通り過ぎたが偏西風から抜け出せないようだ。よくあれで手紙を落とさず飛べるな……
両面テープで貼り付けたとはいえ、中々頑丈な妖精の様だ。
偏西風に乗ったまま地球を一周したようだ。少し湿り気を帯びた雲に突っ込んだからか、手紙が濡れて運良く日本上空へと、降りられたらしい。
それでも目指す場所からは遠ざかっている
しかも、北風で全く戻れない様だ。ガンガン煽られてやがる。
しばらく様子を見ていると、東京方面行きの新幹線が大阪駅に止まっているのが上空から見えた
翅妖精は、その新幹線の駅に降り立つと、普通に乗り始めた。当然チケットはないし、切符もない。
どうするのか見てたら、窓にへばりついてる妖精がトイレに居た。
どうやらそこで過ごすようだ。良い趣味だ……
そしてそのまま、横浜で降りた翅妖精は無事シルフに手紙を渡したようだった。
届けた姿を見送っていた俺をシルフが発見して片眉をあげながらジーッと此方を見ている
「……魔王様、何をしているのですか?」
内田は居ないようだったので
「手紙を妖精に持たせたらちゃんと届くのか見守っていた」
「……そう?……ですか……良かったですね?」
歯切れの悪い言い方だがまぁいーだろう
手紙をガサゴソと開けて読み出したシルフと
誰かに追われて逃げてきた内田と目があった
「……魔王何してんだ?」
「ああ、パスポートは取れないかもと伝えにな」
「……知ってたんなら言えや」
「うん、今言ったぞ?」
(チっ絶対封印術士を見付けて魔王を封印してやる!)と、こころに誓う内田だった
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