消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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空への旅②

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 昼過ぎに飛びだった僕達は、暗がりの中を上へ上へと上昇していった。


 「タケル!カケル!外見てご覧よ!」


 突然マイが叫び出し外へと誘った。そこには満天の星空と横にも下にも翅妖精達が光り輝いて、まるで星空の中を飛んでいるようだった。


 暫し三人はその光の瞬きを眺めていた


 そのうち肌寒くなり部屋の中に戻ったが、幻想的な夜空は眠くなるまで眺めていたくなるほど美しかった。


 三人がハンモックで寝息をたててる頃には、小屋は偏西風の中に入っていた。


 恐ろしい程の風が吹く中、微動打にしないで同じ場所に漂って要られるのは赤スラを浮かす翅妖精達の力だろう。


 轟々と小屋に風が当たって唸る音を響かせながら、ただ待っていた空飛ぶ小屋は、永遠に彷徨い続ける魔王の封印地、別名【空中庭園】の姿を捉えた。


 時速500kmで、カッ飛ぶ空中庭園に紐を付けるかのように赤スラから粘液が伸びて行き、一本の樹木に引っ掛けると、小屋を引き寄せるかの様に縮んで行った。


 やがて、樹木の側まで来るとフワリと粘液が外れ、樹木の根本に小屋が立つように降りていった。
 翅妖精達を含んだ赤スラはそのまま地面へと吸い込まれ、飛ばされない様に固定していき、三人が目覚める時には昔からそこにあった様な佇まいで小屋が出来上がった。


 「ふぁ~~ぁ……」と、最初に目覚めたのは長男タケル、濡らしたタオルで顔を吹きながら窓の外を見る。
 柔らかな陽射しが頬に当たるのを心地よく思いながら襲い来る違和感には気が付かずに、昨晩の余りで朝食の支度をする。


 次に目を醒ましたのは次男カケルだった。
タケルと同じ様に水瓶の水をタオルに引っ掛けて濡らすと、それで顔を拭いていく。
 窓辺の出窓に柔らかな日差しと、暖かな風が舞い込み髭を揺らすが、特に気にせずにタケルの手伝いをし始めた。


 最後に目が醒めたのは長女のマイだった
朝ご飯の美味しそうな香りで目を醒ましたマイは、タオルを濡らして顔を拭うと、蝶々が窓から舞い踊る姿を見て言った


 「やだ!辿り着いてるじゃない!何で教えてくれないのよ!」


 そう二人に喚くと外へと走り出した。
 その姿を目で追って、初めてそこが空中じゃない事に気が付いた二人は、マイを追って駆け出した。


 「「いつの間に!?」」


 声を揃えて慌てた感じで叫んだ二人の兄弟に呆れながら、気付いてなかった事を咎めたが、嬉しさの方が勝っていた為、そこ迄怒ることはなかった。


 早速とばかりに父様を探しに行こうとするマイを宥めて、先に朝食を食べさせ昼飯用のオニギリと干し肉を作って持って。一応武器に成りそうな棒を各自装備してから出掛けた。


 高木などは生えておらず、低木ばかりだったが、それなりに赤や黄色の実がなっていて、どれも甘くて美味しかった。


 そんな実を食べながら散策していくと、泉が見えて来た。雨水が溜まって出来たその泉には魚が泳いでいた。空中庭園なのに魚が泳いでる不思議に気が付かない三人は捕まえられるかなぁとか言いながら少しそこで水遊びを楽しんだ。


 そのうち飽きて先を促したカケルは、小山の向こうに城が見えると喚き出した。濡れた服をパタパタ振りながら駆け寄ると、大きな湖の真ん中に白い壁の城が建っていた。


 その湖には翅妖精達が舞い踊りながら飛んでいた。
「妖精って何処にでもいるのね……」
マイが呟くように妖精は何処にでも居るらしい


 ふと水辺の縁に一人の両面テープがくっついた妖精が一本の水草に絡まっているのを発見した。すくい上げると、水に濡れた手紙も付いていた。
 それを破れない様にすくい上げて乾かす為にタオルで水分を丁寧に吸い出すと、表面に【こーじさまへ】と、平仮名で書かれた文字が確認できた。


 「ねぇ、これって……」カケルが手に取り二人に声を掛けた


 「やだ、これ母様の字よ?」


 マイが確認したのはシノ母様が父に送った手紙だった。両面テープ何かに手紙と妖精を付けて飛ばすから届かないんだよ。とか、ブツブツ文句を言いながら両面テープから妖精を剥がすと手紙を持たせてそっと飛ばした。


 すると、マイに頭を下げてお礼を言った妖精はフラフラしながらフワフワと飛んで中央の城へ向かって飛んでいった。


 それを確認したあと「あの城に父様が居るのね!ほら!行くわよ?二人とも!」


 そう言って二人の背中を押しながら城へと続く橋目掛けて走り出した

 
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