異世界団地

32話

　私の名前は楠ソフィア（20）
双子の母で産まれはロシアです

　15の時に旅行で来てた日本人と恋に落ちて
子供を身篭りました

　彼は日本に帰ってしまったのでお金を貯めて、日本語も勉強して片言ですが話せる様にも成りました

　彼の住所は教えてもらいましたので訪ねていきました。ようやく出会えて一緒に住むようになり、結婚も16になった時にしました。

　結婚式はしていません。籍だけを入れて、いつかお金が出来たらしようと誓い合いました。

　その頃に子供も出来て順風満帆でしたが、日に日に彼は変わっていきました

　暴力もされるようになりました、彼がいうには
「いきなり双子の親なんてキツイんだよ！　」
でした。


　私達の溝は段々深くなり、私が19歳になった時に別れました。


　仕事は18歳の時から夜で働いて何とかなってましたが、子供が3歳で幼く、二人居たので中々お店に出られる日が減っていき辞めざるを得なくなりました。


　19の時には、昼間のスーパーでパートとして、働けるように成りましたが、まだ子供は4歳でとても大変でした。それでもなんとか頑張ってました。


　私が20歳になり、子供が五歳になって、来年小学校って時に私は怪我をしてしまい、働けない日々が続きました。


　貯金は18の時からしていましたので、お金は有りましたが、この先を考えると心許ない額でした。


　ようやく治ったのは夏も近付く6月の終わり近かったと思います。夏休み間近でアルバイトの募集をしていた時に私も面接の手伝いをする事になりました。


　そしてその時初めて彼に出会いました。楠幹太とその人は言いました、まだ幼そうに見えたけど17歳と言われました。高校2年生だそうで、髪を染めて少しやんちゃな人だったと思います

　その人は、私に一目惚れしたそうで……その日からずーっと会うたびに口説かれました。

　私には子供が二人いるから付き合えませんと何度も言いましたが「諦められるわけ無いだろ!?　子供が居るならその子等の父親に成りたい！　」

　そう言われました。それでも彼は高校生でしたので、学生とは付き合えないと言って断ったら……
次の日学校を辞めて来たと言うんですよ……

　そして、唖然とする私の手を握って私の目を見詰めたまま
「結婚しようソーニャ！　子供も絶対幸せにしてみせる！　」って言われて……信じちゃいました。

　結婚式はまたもや出来なかったんですが
寿司屋の見習いとして頑張る彼の手伝いになるかもと思って、貯金を全て使って頭金にして店付きの家を建てました。其処で練習しながら、お店でも修行する形にしました。


　お家で練習すると、当然出来る寿司は晩御飯だったりするんですが、量もあって……そんな時は彼のお友達
を呼んで飲み食いさせてました。
本当に楽しくて笑いの絶えない日々でした

　
　それから直ぐに独り立ち出来る目処がたち、あと数年でって時に、私の母が倒れたと言う知らせを受けて、私だけ帰国しました。


　母に会えて、無事だと分かり安心して、空港に向かう道すがら事故にあい、私は他界しました。


　一人前になったら結婚式をあげようと誓い、写真だけ撮って部屋に飾ってました。その時はロシアの家族も呼んで盛大に祝おうと、よく晩酌しながら語り合いました


　もうすぐだったんですよ……


もうすぐ二人の夢が…………


いえ、家族みんなの夢が叶う筈だったんですよ……


それなのに、事故で死ぬなんて……


　「諦められるわけないじゃないですか！」


　そう叫んで私は生まれ変わりました。


　地球ではない世界で生まれ変わった私は精霊になってました。メルヘンですよね……メルヘン……

　「巫山戯んなっ！」って、叫んでも誰も居ない辺鄙な草原で生まれたので……返事なんて返ってきません

　私はその辺をフラフラあっちにフラフラと飛び回ってました、そんな時に見付けたのがお茶の苗です

　そのお茶の苗を育てよう！　暇潰しには持ってこいだったのです。それに、寿司屋にはお茶が必要だったので……。

　幾年も育てる間に、精霊では出来ない事も増えてきまして……

　強く願ったらエルフに化けれる様に成りました。
それからはサクサクできる事も増えて、小屋を作り一列でしたが、お茶畑も出来ました。

　そんな折、馬車がやって来たんです
その馬車には…………