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50話
しおりを挟む店につくと、何故かというか案の定というか、親父が店の戸を開けるのにまごついていた。
まるで、悪戯して帰るのを戸惑っている様な、怒られるのが分かっていながら遊びに出かけて、帰りたくないけど帰らないといけない子供のようになってたので、さっさと開けて中に入った
「だだいまー!!」と、楓と俺とで声を張り上げ分かりやすい様に帰ると、カウンター扉をバイーン!と、勢い良く開けてアンナさんが走ってきた、楓と俺をお帰り! と、抱き締めると。
扉の外から中々入って来ない親父の目の前で扉をバンッ! と、閉めて
「今日はどうだった? 沢山取れた?」と、ニコニコ笑顔で聞いてきた。 「疲れたでしょー? ご飯の用意はもう出来てるよ!」と、言いながら団地へと三人で帰った。
3人がふすまの向こうに消えた跡店の扉がスーッと音も無く開いて、幹太が入って来た。 店の中は暗くて、電気も消せれている。
少しションボリしながら、カウンター扉を開け四畳半入り口の襖に手を掛けるが、襖は動かなかった。(あれー?)と、思ってガタガタ鳴らすも全く動かず、遂には掌でバンバン叩いて声を張り上げている。
「アーニャ! ごめん! アーニャ開けて! お願いします! 俺が悪かったです! 本当にゴメンナサイ!」
そんな声が団地の部屋に響くと、襖の向こう側から声がした
「どちら様? 今日はお休みですよ? お帰り下さい」
と、冷たい冷たい氷の様な声がした
「あ、あ、アンナ様、お、お許しくださいお願いします」
「アンナ? 誰かしらそれ? 知りませんね」
「アーニャァごめんて~~許してぇ~~」
「ったく!」と、声がして襖が開いたと思ったら
バチーン! と頬を叩く音が隣の部屋まで響いた
「ぶっ!」と楓が吹き出す声が俺の隣から聞こえた
「どっか行くときは私も連れて行く筈でしたよね? 幹太さん!」と、また叩く音が聴こえた
その後一時間くらい四畳半から叱りつける声が響いていた。 その間ずーっと楓は笑い転げていた。
頬を腫らして涙目のオヤジが風呂へと消えて、スッキリした顔のアンナさんは夕御飯の配膳へと戻り、楓も手伝いに向かった。 俺は部屋に向かう途中でオヤジに「どんまい」と声を掛けて肩をポンっと叩くと涙声のオヤジが「ありがとぉ……」と呟いてた
その後4人で仲良く食事をして、オヤジが車を出した話を楓がすると「後で詳しく聴きますからね?」と、ぽソリとアンナさんが言っていたのを聞いて苦笑いした。 ゴブリンロードを車ではね殺した話をした時はアンナさんも爆笑して
「前代未聞の倒し方したわね」と笑ってた。
今度四人で車乗ってピクニックに行こうと言う話で食事は終わった。
食器を片付けて疲れたし寝ようとしてたオヤジを捕まえたアンナさんは、これから店開くのよ? と、呟いた。「え?」と、驚くオヤジを諭すように
「皆様には夜から開くと伝えてありますから、安心して朝まで頑張ってくださいね?」と、微笑んだ
「え?」と、オヤジが呟くのを無視して襖を開けると、客の声がしていて「ええ?」と、戦くオヤジの背中を押して「頑張ってア・ナ・タ♡」とふすまの向こうに、押し込んで襖を閉めた。
「えええええええ?」って、声が店内に木霊したが客の笑い声でかき消されていった。
◆
朝目覚めて、装備を整え楓と朝食を食べ襖を開けるとオヤジとデブにゃんがまだ呑んでた(笑)
アンナさんはそれを見てデブにゃんの後ろ首を持って「仕事に行きなさい!」と、追い出すとオヤジに「ギルドで説明するんでしょ?」とニコニコ笑って追い出していた。
俺と楓でクエストを受けて忘れ物をしたので、取りに帰る道すがら
「二度と勝手な行動はしませんから許してくださいー」とブツブツ言いながらフラフラ歩いてるオヤジを見付けた(笑)
その後ろからニコニコ顔でアンナさんも付いてきていたが幸せそうな顔でオヤジを見つめるアンナさんに少し恐怖したのは内緒である。
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