異世界団地

あるちゃいる

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54話

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 車と馬車は仕舞い、全員フル装備になると、ガシャと、音を出しながら門へと向かいました。

 寝住さんが門兵に何か話すと門兵さんは最敬礼をしてるし、馬を出してきてそれに跨り走って行ったりしてました。

 「では、伝令も走っていきましたし王城へ行きますよ!」と寝住さん。 え!王城? という、俺達
そこへ透かさず円さんが「寝住さんは獣人国の辺境伯爵何ですよ」

 俺達が住む場所が獣人の国の辺境領で其処の住人を王国の王子が勝手にヘッドハンティング、で俺が断ったら店を壊すと告げられた。 隣の国の王子様が隣の国のお店を勝手に壊すって事は、小競り合いでは無く、戦争行為だって事なのだそう。 で、抗議しに辺境伯爵が凸って来たと…… 「なる程なる程?それで伝令ね…… って事は今から会うのは……」
 「王様ですね!」と、円さんが良い笑顔で答える。 変な汗出てきたよ。 

 寝住さんは、馬車をお願いしますというので仕舞ってた馬車を出しまして、一樹の運転で移動、時速20kmでゆっくり走りながら凱旋。馬車の上に獣人国の元宮廷魔術師の猫ニャンを乗せ、軽く威嚇してるらしいので、箱乗りして見てみると。ローブを着てる猫ニャンが普段持たない杖を持って、シールド張ってた。反対の窓から楓がデジカメ持って猫ニャンを撮影。「馬子にも衣装」とか呟いてた。

 まぁ、俺も動画で撮ってたけどね。ネタ的な意味で、ハロウィン猫…… 写真やら動画やら撮ってたら照れたのかカッコつけたのか、猫ニャンが魔法を王城に撃ち込んじゃって天井付近の屋根に着弾して、消滅。旗毎消しちゃったんだけど? これは大丈夫なの? 
 と、助手席の窓から同じく箱乗りしてる寝住さんに、聞いてみたところ宣戦布告が既に俺が持ってきた紙で済んでるらしく、問題無いらしい。

 ならいっかと猫ニャンに酒の久○田(萬)をあげると、言ったところ大張り切りになって、王城目掛けて攻撃魔法を撃ち込み半壊させた。

 城《藪》を突付いて兵《蛇》を出す諺みたいだねぇと笑う寝住さんと武器持って臨戦態勢の狐の獣人円さんに猫の獣人ミナさんが、屋根に乗ると。円さんは剣をスラリと抜き、ミナさんは、爪を出して戦闘準備。そこへ、楓が剣を出して参戦しちゃったもんだから、アーニャも参戦。地味にアーニャ精霊魔法の使い手。特化してるのはお茶作り何だけどね。
其処へ何故か一樹も参戦……って、
「お前運転は!?」ったら、
「寝住さんと変わった、教えたから大丈夫」という。走行してると正面から王国の兵士が現れた、車の前に出てきちゃてウッカリアクセルとブレーキを間違えちゃった寝住さん。後ろは見たくないなぁと、思われる運転で次から次へと鉄鎧の方々を跳ね飛ばして進む。そこに追撃するかの様に猫ニャンの魔法が絨毯爆撃。 お城の上には黒い雷雲が囲み始め、チラリと件の人をみやればブツブツ言いながら何事か囁くアーニャ様。ぼーっと見てたら轟く音と光の雨柱が幾重にも折り重なって城を蹂躙してた。
「話し合いですよね?」と、運転先で楽しそうにしてた領主に声を掛けると「勿論!」と良い笑顔で返ってくる異世界の話合《武力行使》いって過激なんだな。

 城から出て来てた兵隊は粗方跳ね飛ばされて居なくなった。 城からは白旗が棚引き、そのまま破壊されたエントランスだった物の前迄車を進めて横付け、車から寝住さんが降りると、左右に円さんとミナさんが並び(寝住さんの近衛兼侍女兼部下なんだそうで……)その後ろから俺達も続く。

 一階に有ったらしい謁見施設は台座だけ残して壊れ、其処に件の息子のお父さんが正座してた。
スッと差し出された書類に目を通した王様は、冠を外して差し出して完全降伏し、この街を寝住さんの統治下にしたそうな。

 「いやぁ!スピード解決出来たのも車のお陰ですよー!」と大喜びする寝住さん

「話合いは?」と聞くと
「終わりましたよ?」と、ニッコリ
(いつ話し合ったの!?)と、驚いちゃいけない。
攻撃する(講義に来た)
手紙を差し出す(君の息子に宣戦布告されたんだけど?)
王冠を渡す(この度はうちの息子がゴメンナサイ)
って事だな。実にわかりやすい。

 ミナさん曰く、「拳と拳の語らいですよ」と、にっこり笑った

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