纏まった金が出来たので無人島を買いました。

あるちゃいる

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4話

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 上の作業現場から歓声が上がって暫くすると、下の水穴からも水が出始めた。やはり繋がっているようだ。

 飛び出した水圧で竹の水道管が飛んでいってしまい、叫んでしまったが概ね上手くできたと思う。

 戻ってみると小屋の解体も終わり、残る作業は内装と壁だろうか、これならテントを畳んで雑魚寝くらいは出来そうだ。
 竹藪の奥から竹筒を伝って流れて来る水は、一度風呂釜みたいな桶に貯めていたようで、それをそのまま利用する。(勿論洗ってから)

 流れてくる水を一掬いして顔を洗って汗を流すと、これまた冷たくて気持ちが良かった。そんな事をしていると大汗をかいた大工さんの一人が近づいて来て

 「やぁ!気持ちよさそうだね!俺も使っていいかな?」
 「おっ!水が出たのかい? おじさんも良いかな?」
 と、ワイワイ人が集まって来た。

 「どーぞどーぞ!好きなだけ使ってください!」と快く開放する。

 父さん達にも使ってもらおうと辺りを見渡していると隆さんと大塚さんとで何やら集まっていたので、美琴に合図して素早く移動。
 隆さんに見つからない様に近付くと、どうやら悩んでいるようだ。

 「漁業なら任せて!」っと、美琴が叫んだ。

 それが決め手になったか如何か分からないけど、取り敢えず買う方向で話が進んでいった。そして、三人だけ先に帰るようだったので、私達は島の全体写真を見ながら2泊3日か3泊4日の工程で島を回ろうと計画した。





 父さん達が作業した泉までの道を見に行き、泉を覗く。作業中私達は泉の下に居たから如何なっているのか気になって見に来たのだ。
 「中々の水量だね、これなら枯れる事もなさそう」

 滾々と湧き出る水流を見て美琴が言う。

 私はというと泉から溢れた水が流れていく方向を見ていた。
 元々有ったのだろう場所には小川になっていて、少し先の藪へと流れていく。
 その横には道でもあったのか少し土が見えているが、今は藪草で覆われていた。

 私達がその奥へと歩もうとしていたら、後ろから声をかけられた。船が動くまで暇だからと作業の続きをしに来た植木屋さん達が草刈機を肩に掛けて立っていた。

 「暫く草を刈るから危ないよ」と、言われてその場所から追い払われると、「この山の頂上から向こう側に行けるみたいだよ」と教えてくれた。

 私達は植木屋さん達に手を振ると移動した。

 草を刈る音を聞きながら頂上へと続く山道を藪草を掻き分けて登る。
 ここもそのうち草を刈る予定なのだろうけど先に小川の横から始めるようだ。

 頂上まではそんなに時間も掛からずに登れた。

 
 登った先は絶景だった。
 周りに生える木は地面が岩だったからなのか低木しか無く、反対側の斜面にも下草こそ生えているが高い木は生えてなかった。
 吹き上げるように吹く風は潮の香りを運んでいる。
 なだらかに降る斜面は砂浜まで続いてるのか、登ってきた場所より遥かに歩きやすそうだった。

 斜面の下には岩は無いようで、松林が見えていた。
 足元に気を付けながらゆっくりと斜面を降りていき、松林の入口付近に来るとそのまま躊躇なく進む。

 間引きでもしているのかと勘違いするくらい歩きやすい松林を通り過ぎると砂浜に出た。測っていないが見た感じ砂浜は1キロ位はありそうだった。

 私はリュックを下ろすと中からシュラフを出して、今日の寝床にする為の準備を始めた。

 美琴もリュックを下ろすと中から水中ドローンを出していた。

 「遠浅らしいけど、どの辺からだろうね?」
 「聞いた話だと50mは遠浅みたいよ?」

 大塚氏の話だと深い所でも1mくらいだろうと言っていた。
 その先にはまるで砂を塞き止めるかのような岩場があって、その先に水族館の様になってる場所があるらしい。

 遠浅の部分はエメラルドグリーンが広がり、途中からコバルトブルーになっていてとても綺麗な眺めだった。
 境目になってる岩場は水の底にあるので此処からでは見えなかった。

 シュラフを松の木に縛り付けて固定する頃には、美琴が持ってきた水中ドローンは水の中へと進んでいった。

 画像はスマホで確認出来るので、それを見ながら水中ドローンを操縦する美琴の横で、私は空中から調べるべくドローンの準備を始めた。

 「何かいた?」
 「小魚がチラホラ居るねぇ……」

 余り警戒心が無いのか水中ドローンが近付いても逃げない様で、何匹かプロペラの犠牲になった様だ。

 「ああ、勿体無い……」

 そう呟きながら画面を見る美琴。
 魚は全て食料と思ってる美琴らしい発言だ。

 空高く舞い上がったドローンを操作して、画面を見ながら砂地の向こう側へと空中から眺める。

 「ヤバイねコレ……すんげぇ綺麗で海の底まで見えるぞ……」

 そう言うと私のスマホを見に来た美琴も感動して水着を持ってくればよかったと嘆いた。

 港に付く前に大塚氏から泳ぐの危険と言われていたので、水着関係は山の向こうの小屋に置いて来ていたのだ。

 引き返して持ってきても良いが、流石に面倒くさいし調査が目的なので仕事を優先しようと思う。

 空中から砂地部分を超えて、更に先へと飛ばして驚いき声を上げた。

 「なしたっ⁉」

 あまりにも大きな声だったからか美琴が側に寄ってきて、スマホ画面を覗くと美琴も叫んだ。

 岩場付近の先に見えるコバルトブルーの底には赤い珊瑚の林になっているで砂浜よりも長く続いていたのだ。

 砂浜が1キロ位だとすると、赤い珊瑚は2、3キロ位ありそうだった。

 「沙月!ちょっとやっぱり水着取ってくるよ!」という美琴を引き止める。

 これから先、沢山泳げるんだから後にしろって。

 「そんな事より見て! 真ん中辺に黒い物体あんだけど……」

 そう言ってスマホの画面を見せる。

 空中からだとよく分からないので、水中から確認させる為に美琴を促す。

 「岩場じゃないの?」と、少しやる気のない美琴の声を聞きながら水面付近までドローンを操作して確認する。

 「ここだけ少し深いのかも……取り敢えず中から確認してよ!」

 引き返そうとする美琴を止めさせるが、中々先に進まない。
 「伊勢海老発見!」とか「デケェブダイみたいなんも発見!」とか叫んでいる。

 そして漸く黒く見える場所付近に到着させると今度は全く喋らなくなった。

 「岩場だった?」と聞くも返事がないので美琴の方を向くと、顎と口を抑えて画面に見入っている美琴が目に写った。

 「なに?」と聞くと、漸くボソリと呟いた。

 「……鳥居があるんだけど」

 
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