纏まった金が出来たので無人島を買いました。

あるちゃいる

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9話

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 婚約(漁船)指輪を買った代金を払えとか言う美琴を説得しようと文句を言ったが

 「ストーカー女に尻の毛まで毟られて捨てられたいですか? 無人島も抵当に入れられますよ? 絶対私の方がって後悔しますよ? それにこれを断るなら……ストーカー女の味方に付いてもいーんですよ? 本当に断るんですか⁉ よーっく考えなさい!」

 っと、逆に脅されて渋々小切手を切る。

 「あんちゃん……って、歳でもねーか……まぁ、何だ。 女にゃ逆らわん方が身の為だぜ? 結婚歴40年の俺が言うんだ間違いねぇ。 俺もなぁ女房の尻に敷かれて40年だ まぁ、頑張りな!」

 有り難いような有難くない様な助言と励ましの言葉を賜った俺は、項垂れると「コレはサービスだ」というおっちゃんが持ってきたスーツに着替える。

 なんだろ?っと、思って着替えると燕尾服だった。
 美琴も着替えてきたのかウェディングドレスを着ている。
 すると漁船を売ってくれたおっちゃんが首から十字架を下げて立ってやがった。

 「いや、ただの婚約だから」と言ったのだが、俺の趣味だからと押し切られ簡単にだったが宣言までさせられた。
 序に写真も撮られて(神父さんも一緒に)女房に自慢するんだとか言って帰っていった。

 因みに舵の横に貼り付けた指輪にお互いの左手薬指をはめて撮ったが、並べてくっつけさせるもんじゃ無いな。

 何か自然に俺の胸に美琴の顔が当たるんでドキドキしちまった。

 「心臓の音早いですね? どっか悪いんですか? やっぱり正式に結婚しませんか?」とか、言ってきたので即答で拒否してやった。

 なんで、死ぬ事確定してんのに結婚すんだよ。こえーなコイツ……。

 ガングロ辞めたと思ったら腹グロになってやがるとは思わなかったわ。

 んで、写真撮影も恙無く(?)終わったと思って着替えた後帰ろうとしたら、着てきたジャケットが見当たらない。

 あれ?確かこの辺に……と、探してたら美琴が俺のジャケットを片手で持ちながら内ポケット辺りを弄っていた。

 「あの……なにしてんの?」
 「んー。探し物?」
 「何で俺の所に入ってると思ってるの?」
 「んー。あ! あったあった!」

 そう言って見せてくれたのは、何か黒くて四角い何か。

 「何それ」
 っと聞くと勿体ぶってるのか何故か教えてくれない。

 美琴はその四角い何かを海外行きの封筒(赤青の線の入った奴)に入れると、行き先をサラサラと書いて郵便ポストへ投函した。

 「よし! それじゃあ島に帰りましょっか!」と、言うのでそれを遮って何を何処に送ったのか聞いた。

 「本当は聞かない方が良いと思うんだけど、もう投函したからいっか」

 と、一人納得している。

 「あれはですね? 実はー。 GPSの発信機です」
 「は? 何でそんなもんが……内ポケに……って、まさか……」

 「はい正解!そのまさかですよー ストーカー女が仕掛けたものでしょうね」

 「そうか……だから俺がどこに居るか分かったのか……」

 「ね? 女って怖いでしょ? 私にして良かったでしょ?」

 「ああ、そー……いや、待て。 そのGPSをに送ったんだ? ていうか、婚約なんてしないで今みたいに何処かに送れば漁船を買わなくて済んだんじゃ……⁉」

 「何いってんですか? 買わないでGPSを送ってたら、私がストーカーの味方になるんですよ⁉」

 忘れたんですか⁉ と、凄まれた。

 (おかしい……何か絶対騙されてるんじゃ……)そう思い考えるが、どの道一人では解決出来なかったし、GPSにも気が付かなかった。それに、もし気が付いてもその場で壊して足取りを沖縄で途絶えさせた事がバレていて可能性もある。

 そこまで考えると、美琴の行動は正解なのか……?

 「と、所でどこに送ってんだ?」

 そう聞くと美琴はニンマリと笑って

 「シリア」

 と、だけ答えて漁船に乗り込んでいく。

 (シリア……? 難民が溢れてるあのシリア? 中東だかその辺にあるシリア?)

 俺は一瞬ゾッとした。

 ストーカー女が本当にヤバイやつなら海外にも行くかもしれない。
 いや、行くだろう。

 シリアに行って入国出来るのかも怪しいが、居ない俺を探して彷徨う可能性だってある。

 それを美琴は真面目に送っていたって事は……殺す気が……?

 俺はそう考えると震え……は、来なかったが美琴には余り関わらない方が良いかも……と、思った。
 漁船が手切れ金になるならそれでもいっかと、思えた。
 だが残念な事にこれから一緒に漁船に乗って帰るのだ。
 しかも当分寝る場所も一緒なのだ。

 だが俺がその事に気付くのと、ぜんぜん手切れ金になってなかった事に気が付くのはもう少し後になる。

 
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