平凡な高校生活を送る予定だったのに

空里

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宿へ

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「ここの参拝時間18時までみたい」
現在17時35分。行きもゆっくりしていたようで若干早く歩いていたため片道40分はかからなかった。
「それじゃあ、早く出よう」
そう言って来た道を引き返していった。



帰りも下りだからといって侮ってはいけない。
通常の状態で階段を上るのと下るのであれば下る方が楽だろう。
しかし、疲れている状態だとそんなの関係なく辛かった。

そして、写真を撮った大門を突破する。
夕暮れの光は御本宮の横で見たときより弱くなっている。
恐らく日の入りも近いのだろう。それこそ、宿に着く頃には辺りが真っ暗になってそうだなと思いながら階段を下っていく。



そして、ようやく、初めに質問された階段まで帰ってくることが出来た。
多分明日は筋肉痛だろうなと足の疲労感からそう悟る。
「じゃあ、服を買いに行こっか」
これ以上の寄り道がないことが分かり僚太は安心する。

それからタクシーで数分移動し、男性物も女性物も売ってある服屋さんについた。
ここで僚太は二手に分かれることを先に提案する。
恐らく下着も買うため一緒に買うことになれば女性の下着を売っているゾーンにも足を踏み入れることになる。別に入るのが違法なわけではないがなんというか罪悪感がある。
そして、何よりどこに目をやっていれば良いのかわからなくなるだろう。
そこまで予測できたのを自分で言うのもなんだが、ファインプレーだと思う。
「え?デート中の相手と分かれて行動するの?」
どうやらファインプレーをする前に失敗していたみたいだ。
なぜあのとき気軽に今日一日はデートって言ってしまったんだ?
あ、あのときはまだ遊園地で終わりだと思っていたから・・・・・・
しょうがない、女性の下着コーナーに入ろうとした瞬間こっそり別の場所に行こう。
「本当に今日だけだからな?」
釘を刺しておくことにした。
「はいはい、それじゃあ行こう」
多分真面目に受け取ってないなこれ。
ため息をつきながら店内に入る。
店内は綺麗に整頓されており、更にどこにどんなものが置いてあるのかが視覚的に分かりやすい配置になっていた。
「せっかくだしペアルックにする?」
・・・・・・これはどうしようか。
今はまだデート中のため買った方が良いのだろうか。
それとも明日はもうデートじゃないため断った方が良いだろうか。
結果僕は後者を選んだ。
「デートは今日までなんだから明日着る服がペアルックなのはおかしくない?」
「それについては大丈夫だよ」
「え?」
何が大丈夫なの?全く理解できないのだが・・・・・・
「私は今僚太くんに対して何でもお願いできる権利を持ってるんだよ?」
・・・・・・つまり、着るようにお願いできるとそう言っているのか。
「明日までデートを延長してくれるよね?」
何でもお願いできる権利があるお陰かはいとしか言えない質問をしてきた。
これはしてやられたな。
今後、そういう権利を与えないように心がけよう。
「分かったよ。でも、家には帰るよね?」
「それはもちろん。明日は勉強しないといけないからね」
勉強・・・・・・・・・・・・
今その言葉を聞きたくなかった。
まあ、良いや切り替えて良さげな服を探そう。



結果として同じ模様の色違いの服を買うことになった。
なお、女性の下着のコーナーには入らずに済んだ。
流石に下着は分かれて買うことになったのだ。
正直助かったが、最近本当に凛花の僕の中でのイメージがヤバイ方向にいっている気がするのは僕が悪いのだろうか。それとも凛花の普段の行動からそういうイメージになるのは妥当なのだろうか。
その事は置いておいて服屋から出るとき凛花は満足げな顔をしていた。
なんというか初めから終わりまでずっと彼女の計算通りになっているような気がして怖い。
「それじゃあ、今日泊まる宿に行こっか」
「・・・うん」
「ちょっと距離あるみたいだけど、せっかくだし歩いて行こ」
そう言いながら歩きだした凛花を追いかけるように僕も歩き出す。
しかし、僕はあることが気になった。
「そういえば宿にお風呂はあるの?」
「ないけど近くに銭湯があるみたいだよ」
なるほど、宿としてはお風呂がないことで整備の費用などが浮く。しかし、近くに銭湯があることでお風呂がないという欠点を失くすことが出来る。
銭湯側としても宿のからも客が来るようになる。
綺麗なほどのWin-Winな関係だろう。



道中は今日の思出話をすることになった。
ジェットコースター、足ブラ観覧車の途中で目があった理由について再度聞かれたが、本当のことは伝えなかった。

不意に上を見上げた凛花がわあという声をあげたため僕も上を見上げる。
そこには綺麗な星空が広がっていた。それはまるであの日の星空のようで・・・・・・
なんとも言えない気持ちになって上を見上げたまま固まっている僚太を凛花は微笑みながら見た後、
「宿まであと少しだよ」
そう声をかけた。それにより僚太は宿に向かっての道を再度進み始めた。



そうして宿に着いた。木製で落ち着いた感じの建物に入ると中も和風で明かり色も落ち着く色が使われていた。
「いらっしゃいませ。ご予約はされてますか?」
女将さんというのがふさわしいと本気で思える女性にから予約はと聞かれ僚太は内心焦る。
予約をしているという話は聞いていなかったためだ。
「はい。予約の立花です」
隣からその声が聞こえ安心する。
「二人部屋をご予約の立花様ですね。お待ちしておりました。お部屋にご案内します」
・・・・・・え?二人部屋?
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