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前日譚
新しい朝。そして健やかに人間として育つ
しおりを挟む突如殺された俺に待っていたものは、
別人としての新しい人生だった。
佐藤 優 (さとう ゆう)
それが新たにもらった俺の名前だった。
前世の記憶は産まれたその瞬間からあった。
身体はバッチリ赤ん坊だったので何もできやしなく、泣いてばかりだったが。
本当に意味がわからなすぎて戸惑ったが、確かに
生まれ変わったとしか思えない状況で、
新しい母親の乳を吸って、泣いて、漏らして、寝る。
そんな赤ん坊ライフを過ごしている中で
最初の数ヶ月は何もできないことがとても歯痒かったが、いっそ開き直ることにして有り余る時間を使って気持ちの整理をつけることにした。
自分でも、前世の自分は人生から性格まで全てが歪んでいたことくらいは自覚していた。
でももう後戻りなんかできなかったし、セックスに溺れて現実逃避をしていた日々。
心の片隅では やり直したい なんて正直思っていたと気付かされた。
だったらやり直そう。
この非現実的な今なら。
今ならできるかもしれない。
俺は変われる。また一からやり直すんだ。
そしてこの佐藤家。
父も母もとんでもない美男美女だ。
ぶっちゃけ前世の芸能界のタレント達より上だ。これで一般人なのだから、想像を絶する美男美女ってのは在野にいるところにはいるもんなんだな。
見たところ俺が死んだ年齢くらいの若夫婦であり、どうやら小さい頃から共に過ごした幼馴染らしい。
まるで漫画のような両親。そう思った。
そして何より俺にとって重大な事実。
この両親は信じられないくらいに優しい。
本当に優しいんだ。
物語の中にしかいないような、絵に描いたような理想の夫婦であり、親だった。
そして俺はクソみたいな価値観を持ったクズだが、現在は性欲も皆無の汚れを知らない赤ん坊。
性がない、見返がない。
俺から渡せるものなんか一つもないのに、全てを俺優先にしてくれている。
そんな無償の優しさに初めて触れ、過ごすことでどんどん自分が浄化されていった気がした。
そして幼稚園に入園する頃には
すっかりパパママが大好きなショタに育っていた。
ちなみに自画自賛だが我ながらめちゃくちゃ可愛い。将来が楽しみな美少年だ。
前世は前世と割り切り、嵐とは違う、佐藤優として、この両親のように綺麗に生きようと、そう決意した。俺の目標であり、憧れの両親だ。
人生2回目の俺だが、まともな子供時代なんか送ったことのない俺には今の生活全てが新鮮で、楽しく、そしてわからないことばかりだった。
最初は、子供らしくしなきゃなんて思ったがその心配は無用だった。
気づけば同年代の友達と砂場で綺麗な泥団子を作ったり、お城を作ったりして泥まみれになったり、ちんこと叫んだり、うんこで笑ったり、謎のオリジナルゲームで遊んだり心から楽しい輝く毎日を過ごしていた。
...あぁでも、流石にスカートめくりは躊躇したな。
それは流石にだめだろう...。
まぁ結局同調圧力に屈したがな。
民主主義め。
幼馴染の子には犠牲になってもらった。
俺のほっぺに紅葉ができたよ。
しかし、精神年齢は身体に引っ張られると言うが、俺の場合は元が空っぽだった分、がっつり子供に戻ったみたいだった。
正直言って、本気で助かった。
もし嵐のままの精神年齢だったらと思うとゾッとする。
そんなキラキラした幼稚園児時代を過ごし、
俺は小学生に上がった。
精神年齢が幼児化したとは言え、そこは前世でひたすら頑張ったアドバンテージがある。
勉強なんかしなくてもテストは100点以外取るのが難しいくらいだし、運動も、身体の最適な動かし方を習っていた経験で人並み以上にできた。と言うか佐藤優の肉体のスペックが多分高い。
前世の俺は仕事で休みがちで、まともな小学生ではなかったからより一層感じたが頭がいい、足が早い。たかがそんなことでチヤホヤされるのは不思議だった。
だけどそのおかげで沢山の友達に囲まれて過ごすことができた。正直少しずるい気がしなくもないが、仕方ない。楽しいからいいや。
あぁ、そう言えばさっきちょろっと話題に出したが、幼馴染。
そんな子も俺にはいるんだ。
前世の両親はろくな人間じゃなかったので親同士の付き合いなんか無縁だったから幼馴染なんてものはいなく、俺にとって初めての幼馴染だ。特に仲良くなったよ。
優しい両親、優しい幼馴染、優しい友達、働かなくていい、勉強もしなくていい、遊ぶのが仕事で、好きなだけ食べて、寝れる。そんな当たり前の子供。
とにかく幸せだった。
なんて贅沢な日々なんだって、毎日を大事に過ごした。
まぁ、両親からたまにはワガママ言っていいのよ、なんてたまに言われてしまうが、俺にとってはこの生活自体がワガママだ。
そこだけは両親の希望に応えられなくて少し申し訳なかったな。
小学校は2年毎にクラス替えがあったが、不思議と幼馴染の子とは毎回同じクラスだったのでどんどん仲良くなっていった。
将来は両親みたいにこの子と付き合って、結婚するのもいいかな、なんて思った。
そして小学4年生のある日、
俺に転機が訪れた。 訪れてしまった。
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