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2章。クズと親友
策士クズに溺れる
しおりを挟む「ねぇ、佐藤君、私とセックスしない?」
ある晴れた昼下がり、
俺は彩花の親友の萩原メイにお誘いを受けた。
確かに突然だが、この世界が[あおはるっ]の世界だと言うことに気付いている俺にはこの展開はある種わかっていたことだ。
「ええ、いいですよ、メイ先輩」
「ごめんなさい。突然何を、と思っているかもしれないけど、私は本気よ。私を好きにしてくれていいのよ?本当に断っ....って、えぇ!?いいの!?」
「勿論。先輩が言ってきたんじゃないですか。俺の家でいいですか?いいですね。じゃあ行きましょう。ほら、着いてきてください」
「えっ、えっ、えっ」
自分から誘っておいて狼狽える先輩に構わず、手を引いて俺の家に向かう。
チラッと後ろを見ると、未だ状況に着いていけずパンクしてるメイ先輩がいる。
「はい、つきました。上がってください」
「ほぇぇ...?」
「じゃあ、しましょうか」
サクッと、メイ先輩の唇にキスを落とす。
「んっ!?ふぇぇ??まって、まってちょうだい」
「はいはい」
テンパる先輩をサッサと脱がして行き、愛撫して行く。
「え、や、なに?こわい。こわいよ佐藤君」
キャラが変わってんぞ。
そして俺はメイ先輩と一つになった。
◇◇◇
さて、どうしてメイ先輩がいきなり俺を誘ってきたか。
これは原作[あおはるっ!]であった展開だ。
主人公、春日井朝日
ヒロイン、境彩花
ヒロインの親友、萩原メイ
親友の思い人、新見真
遊嵐学園を舞台とする、この4人の高校生の恋愛模様を描いた大ヒット作。
漫画原作で、アニメ化、実写映画化もした作品であり、前世の俺は実写映画の主演の春日井朝日を演じていた。
物語は俺が演じる春日井朝日が新入生として入学したところから始まる。
そして幼い頃に結婚の約束をしていた彩花と再会するものの、彩花は今をときめくカリスマモデル。
方や、顔だけはイケメンに育ったものの特筆した特技も、肩書きもない普通の男子高校生、朝日。
彩花の方は懐かしさから朝日にぐいぐい絡むものの、朝日は気後れしてしまっていた。
この段階では彩花の方に恋愛感情はなく、
恋愛感情がないが故距離感が昔のままで
朝日が一方的にドギマギしてしまう。
そんな二人を気に食わない男がいた。
それが彩花とメイの同級生、新見真だ。
遊嵐学園のサッカー部は全国大会にも出場するような強豪校であり、そこで主将を務める真は彩花に告白して玉砕した過去があった。
他にも多種多様な男が彩花を狙っていたものの、その全てが玉砕。それどころか、基本男には塩対応で連絡先すら交換しない。そんな彩花が唯一親しくしているのがぽっと出の2学年下の、中々イケメンとは言え何の取り柄もない男。
気に入らない。それが真を筆頭にした彩花に振られた男たちの総意だった。
そして真達は彩花にバレないように朝日を脅すようになる。それを手伝ったのが彩花の親友の萩原メイだった。
なぜそんな事をするか。それはメイが真のことが好きであり、真の頼みに逆らえなかったからだ。
朝日も朝日で、自分と彩花では釣り合わないと感じており、その脅しに屈して彩花を避けるようになる。
勿論たまったもんじゃないのが彩花本人だ。
唯一気を許せる異性であり、弟のように思っていた朝日に避けられるようになり彩花は落ち込む。そこを狙ってつけこもうとしてくるクズ、真。
そしてどんなに尽くしても真に振り向いてもらえないメイは、親友の彩花を逆恨みしてしまう。
そして遂には真から、朝日をホテルに誘ってくれとまで頼まれるんだ。
思い人からそんなことを言われて壊れないわけがない。メイ先輩は自暴自棄になってしまった。そして歪んだ考えを持ってしまったんだ。
─私は彩花に好きな人を奪われている。ならば私も彩花の大切にしているものを奪ってしまおう─
そう考え、それを承諾したメイは朝日に声をかける。
「ねえ、私とセックスしない?」
◇◇◇
そんな流れだったかな。
ちょっと違うかもしれないが大筋は合っていたはずだ。
そこまで振り返り、隣で疲れ切って眠るメイ先輩を見る。
勿論原作と今では全然違う。
彩花は俺のセフレになっているし、
朝日はあっさり玉砕している。
そして真は特段俺に対して何もしてこない。
...まぁ、そもそも彩花と俺が深い仲なことは多分誰にもバレていない。
仲は確かにいいが、それは同じ事務所のモデルであることが周知されており、尚且つ、よく同じ撮影をしていることがあるから当たり前だと思われている。
周りに聞かれてもお互い仕事仲間だと一貫して答えているしな。
...メイ先輩がどういう経緯で俺を誘ったのかはわからない。原作通りなのか、また違った理由なのか。
まぁこの状況を考えるに、親友のメイ先輩は、彩花が俺を好いていることくらいは気付いていたんだと思うが。
...恐らくこの世界でも真は彩花が好きなんだろう。だが唯一仲がいい男が俺だ。
正直俺を脅すのは至難の技だと思う。
何故なら俺自身、朝日どころか真よりスペックが高いし、同じく三年生で同事務所のモデルのカイさんと俺は仲がいい。
カイさんは女癖が悪いことで有名で、それが足を引っ張ってモデル人気で言えば彩花さんや俺より一段劣るが女性人気はそれでもかなり高い。
俺を敵に回すのは、学園の女子の半数以上を敵に回すのと同義だ。
そんなリスクは冒せないだろうな。
だから特に真に警戒はしていなかったが、
動きが読めなかったのがメイ先輩だ。
真が彩花を諦めてメイ先輩に行くのが一番いいのだが、そう上手くはいかないだろう。
原作では二人は結局付き合わなかったしな。
まぁなにかあるとしたら、やっぱり俺に接触してくるとは思っていた。
メイ先輩に誤算があったとすれば一つだけ。俺が既に彩花と割り切った関係を築いていて、今更メイ先輩とセックスしたところで大したダメージは与えられないことだ。
俺が経験少なく、メイ先輩が豊富なんだとしたらもしかしたら奪えたかもしれないけどな。
...しかし、原作は全年齢だったのでぼかされていたが、描写から考えて既にメイ先輩は真とセフレくらいにはなっていたと思っていたんだがな...
まさか処女だったとは...。
少しだけ、真を見直した。
ちなみに原作では結局朝日に逃げられて、
先輩と真の企みは失敗に終わっていた。
なぜ俺がそこまで知っていてメイ先輩に手を出したか。
それは純粋に、メイ先輩を懲らしめるためだ。
みんな忘れているかもしれないが、俺は彩花のことを付き合っている時の美愛と同じくらい好いている。
その気持ちに変わりはない。
...まぁそれでも付き合おうとしない俺自身に罪悪感はちゃんと感じているので、彩花に対して独占欲は持たないようにしているし、彩花にちゃんと自分だけを見てくれる彼氏ができそうなら応援しようと思っている。
で、だ。
そんな彩花の親友でありながら、くだらない逆恨みで行動している女。
少しくらい痛い目に合わせてもいいだろう?
...まぁ真がまだ手を出していなかったのは本当に誤算だったが。
え?もしかして俺って真よりクズなの?
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