白い瞳の猫

木芙蓉

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1章:出会い

⑤友情の芽生え

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あくる朝、差し込む朝日の眩しさで目を覚ました。

久しぶりの晴れ、。昨日までの雨が雫となって木の葉の上にたまっている。
雫にに写りこんで反射する太陽の光がとても綺麗だった。

見とれているうちに、足の上の重たさに気付く。
ゆうべの「あいつ」だ。
体育座りを崩して、僕の足の上で丸くなって眠っている。

明るい場所で見る「あいつ」は
昨夜見たよりも毛並みが汚れ、
更にやつれて見える。

「お前は何しに来たんだ」と不思議に思い「あいつ」を眺める。
起きる気配はない。


やがて太陽は高く上がり、気温が上がってきた。
梅雨に入り雨が続き、肌寒い日が続いていたが、今日は暑くなりそうだ。

というか、暑い。

思わず僕は「あいつ」を手で足の上から退け払った。
あいつは僕から飛び降りたがそこから逃げ出す様子はない。

前足の伸び、をした後後ろの足の伸びをしてリラックスしているようだ。
一通り伸びをした後、「あいつ」は僕の周りをぐるぐる周りながら背中を押し付けてきた。
暑苦しいんだからやめてくれ。
座ったまま手で更に遠くへ追い払おうかと思ったが、寸前で辞めた。


何故かそれはしてはいけないような気がした。
「あいつ」を自分の近くに招き入れ枕代わりにして再び眠り込んだ。

まだ体力が回復してなかった。
もう一休みしてから出発しよう。家に帰るんだ。

一休み、のつもりが気付いた時には東ではなく、西の空が赤く染まり始めていた。
寝過ごした。自分で思っている以上に疲労が溜まりこんでいるようだ。

それでももう帰らなくちゃ。
いつまでも此処にいるわけにはいかない。

今日はずっと座り込んだままだった。前日に痛めた足が思った以上に痛みが引かなかったからだ。
でももうそうも言っていられない。
近くにある木の枝を支えにぐっと力を入れて立ち上がる。
微かに痛みは残るが、大丈夫歩けそうだ。


僕の足の周りをまた「あいつ」がぐるぐる回りながら背中をこすりつける。

おまえ・・・。

僕は言葉を失った。
あいつの眼が、左目が、瞳が・・・ふつう黒い部分が真っ白なのだ。
幸い右目は正常で、ちゃんと見えているようだ。
行動に不審なところはない。

もう行かなくちゃ。
今まで一緒にいてくれてありがとう。

-孤独、というかこんな森に一人きり夜を乗り越えるなんて
どんなに怖かっただろう、どんなに心細かっただろう。
お前が寄り添ってくれて助かった。


今度こそいかなくちゃ

ただひとつ、僕はひとつ大きな問題を忘れていた。


此処は何処だ?
たしか展望台から数百メートル歩いた斜面が緩やかになったところの草の茂みに隠れた。
そしてそこから足を踏み外して落ちた。

この上に道があるのだろうか。
だがこの足では上がっていける気がしなかった。

とりあえず降りてみよう。あの道も右へ左へ蛇行しながら上ったり下りたりする道だった筈だ。
この下降りて行ってもどこかで道に出るはずだ。

そうと決めたら出発・・・しようとするのだが
「あいつ」が僕の足にしがみつく。
冷静に考えて、こんなガリガリの猫此処に置いていったら死んでしまうな。
一晩一緒にいてくれてもらった恩を返さないと。

少し考えて
「あいつ」に聴いてみた。

「一緒に来るか?」

あいつはニャーと大きく鳴いて
僕の首の後ろに飛び乗った。

思ったより元気あるじゃん。置いていっても大丈夫なんじゃない?

言っても伝わらない冗談を口に一緒に山を下りることにした。











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