神様ごっこ

木芙蓉

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2:高校生デビュー

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 辺り一面真っ暗闇の中、秀太のいる場所だけが光輝いていた。彼がしがみついた手の先にはもう息をしていない祖父がベットの上に横たわっていた。

「これで僕はもう独り、どう生きていけばいいのだろう?」

 哀しい筈なのに絶望している筈なのに秀太は不思議と冷静で、そんな自分に彼自身が戸惑っていた。その時は頬を伝った生暖かいものに気付くことは無かった。


「泣いているの?」

 女の声がした。耳と通じて聞いたというより、秀太の頭の中に直接語り掛けているような、響いているような感覚だった。秀太は辺りを見渡してみたが、人の姿は見当たらなかった。

「何故泣いているの?」


「泣いていないよ!」


 秀太は自分でもびっくりするほど声を荒げて叫んだ。叫ぶと同時に再び頬を伝わる生暖かいもの、涙が溢れ出ていることに気付き、自分が泣いてるのだとその時初めて知った。秀太は声を荒げた恥ずかしさも混じらせながら、声のトーンを落とし、話を続けた。


「おじいちゃんが亡くなって、僕は、いや俺はこれで独りになったんだ。だから...。」


秀太の話を遮るように女が話し始めた。


「篠木秀太、君は独りではないよ。私がそう決めたのだから。君は独りじゃない。」


秀太はまともに反応することを辞めた。


-なんだこいつは。姿も見せず、好き勝手言いやがって。意味が分からない。あ、そうだ。これはきっと夢だ。夢なんだ。なんでこんな変な夢を見るんだ。早く目を覚まさなきゃ。



「これは夢じゃないよ。いや、夢だけど、現実だよ。」



秀太が声には出さず、頭の中の考えていることに対し反応し、女の声が響いた。




-僕の心が読めるのか?


秀太の頭の中で考えた疑問に女は答えた。



「そりゃそうだよ。私は神様だからね。」



「は?神様ふざけるな!神様なんていないんだよ!神様なんていないんだよ!ふざけたこというな!」



女の神様という言葉に秀太は過剰に反応した。彼自身その言葉に過剰に反応する自分に戸惑っていて、戸惑う事が多い自分に更に戸惑いパニックに陥りそうになっていた。秀太に女は優しいような、皮肉を込めたような言葉を投げかけた。


「うん、わかるよ。何故君がそこまで過敏に反応するのか戸惑う気持ちも。それにその理由も。」


「な、何故だ!」


怒気のこもった秀太の声にも女は動じる様子は無かった。捨て台詞を残して消えていったようだった。


「わかるよ。だって私は神様だからね。だけど人としても君の気持ちはわかるんだ。」

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