黒い天使と白い悪魔

ショウ

１

　少年が目を覚ますと太陽は東の空を既に高くまで昇っていた。
「夜にちゃんと眠れない生活が続くと昼の生活にも支障が出るな。優の奴、完全なところで目を覚ましやがって。」
　少年は悪態をついたが自分勝手な言い分だったなと自分で気付き直ぐに軽く反省した。
「優はちゃんと職場に行けたのかな？」
　少年自身と同じ時間まで寝ていたとしたら普通の生活を送っていたとしたら完全な寝坊だ。悪いことをしたかな？と少年は思った。
「ショウタ～ごはんの準備できたよ。朝ごはんさっさと食べちゃいなさい！」
　1階から声がした。
少年は「は～い」といかにも怠そうな、半分あくびのような声で返事をし、1階へと降りていった。そこには少年の母親があわただしく動いていた。少年を見つけるとその慌ただしさのまま、話しかけた。
「ショウタ、ようやく起きたのね。ご飯は其処へ置いておくから、ちゃんと食べなさいね。じゃあ私行ってくるから。」
　伝える事だけ伝えると母親はそのまま慌ただしく出掛けて行った。そこには少年だけが残された。キッチンの机に目をやるとそこにはパンと納豆とみそ汁が置かれていた。
「相変わらずとんでもない組み合わせだな。」
少年は呆れたようなうんざりするような感情になったが母親の事情も分かっている。とんでもなく忙しいのだ。用意してくれているだけでも感謝すべきなのだと少年は改めて思った。ただ・・・。
「感謝はしているんだ、そう心の底から感謝している・・・でも・・・。」
その後に続く想いを言葉にしたらその後に激しい自己嫌悪に襲われることはわかっていた。だから少年はそこで考えることを辞めた。

「優にまたちゃんと説明しないとな。今夜は何処まで話そうか。起きてから会う約束は取りつけてないし、また夢枕に立たないといけないな・・・。」

「あーかったるい！」
少年は笑っているような泣いているような複雑な表情で叫んだ