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始まりの夏
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朝、陽の光が窓から入って来て自然と目が覚めた。
外からなにやら音が聞こえてきて窓の外を見ると、すでにカイさんは作業をしていた。
その姿を見て、急いで服を着替えて外に行く。
「カイさん、おはようございます」
「おう、早いな。まだ慣れないだろうし、もっと寝てていいんだぞ?」
カイさんはそんな優しい言葉をくれるけれど、お世話になっているのにそんなに甘えられる身分じゃない。
「いえ、お手伝いできることがあればお手伝いするのでしますっ」
「それじゃあ、ここからここまでの野菜を収穫してくれないか?」
「はいっ、分かりました」
真っ赤に輝くトマトや濃い緑色をしたきゅうり、艶々に光っているナスや大きなズッキーニがなっている。
どの野菜も、当たり前に新鮮できっとすごく美味しいんだろうなと予想が付く。なんとなく、野菜からも生き生きとしたものを感じる。それはきっと、カイさんの育て方がいいからだと思う。
「ここのお野菜で、カフェの料理を作るんですか?」
「ああ、そうだ。ハーブティーのハーブもここで育ててる」
「すごいですね。私のお婆ちゃんもハーブ育ててて、バジルの匂いが好きでした」
あの時初めて嗅いだバジルの香り、今でも忘れていない。
「あ、あの……前にお婆さんがここの世界に来たことはありませんか?」
「俺も人間全員に会っているわけじゃないからな……それに、……いや、なんでもない」
カイさんは何かを言いかけて、口をキュッと紡ぐ。なんだろう、私には言い難いことなのかな?
「すまんな……役に立てなくて。あ、毎朝俺が作るハーブティー、飲むの忘れるなよ?」
「はいっ、分かりました」
1つずつ、カイさんが育てた野菜を丁寧に、傷が付かないように採っていく。
野菜やハーブを育てて、あんなに美味しい料理も作れて、カイさんはすごい。
私なんか、サボテンすら枯らしてしまった過去があって、いつもちゃんとやろうやろうと思っているのに失敗してしまうから、時々自分が嫌になってしまう。
「あっ」
小さく咲く花を踏みそうになってしまう。
「どうした?」
「あ、いえ、なんでも」
「なんかあったら言えよ?」
「ありがとうございます」
「よし、そろそろ朝ご飯にするか」
「はいっ」
籠一杯に取れた野菜は重くて、だけどこれを自分で収穫したことが嬉しくて、ここに来て初めて何も考えることなく自然と笑顔を浮かべることが出来た。
「お前は、なんか好きな野菜あるのか?」
「そうですね……、夏だったらトマトが好きです」
「なるほどな、じゃあトマトメインの朝ごはんにするか」
「はいっ」
カイさんは手際良く料理をしていて、私の入る隙はない。無駄な作業が一切なくて、見惚れてしまう。
その代わり、朝食ができるまでの間に簡単に部屋の掃除をすることに。
とは言っても、ぱっと見て汚れた箇所はなく、カイさんの性格がこの家からもなんとなく分かるような気がした。
「おーい、出来たぞ」
「はいっ、今行きます」
部屋に戻ると、さっきまでは何も無かったテーブルの上に、彩りの鮮やかな料理が並べられていた。
「朝だから簡単なものばかりだけど」
「どれも美味しそうです」
採れたての生トマト、トマトとブロッコリーの炒め物、トマトソースのかかったオムレツ、和のカフェとは違って洋テイストの料理はまた違った良さがある。
「私、カイさんのカフェのお手伝いしたいです」
「うーん…………まあ、いいぞ。別に野菜の手伝いだけでもいいんだけどな」
「ありがとうございます」
お礼を言うと、カイさんは不思議そうな顔を浮かべて私を見た。
「お前って、変なやつだな」
外からなにやら音が聞こえてきて窓の外を見ると、すでにカイさんは作業をしていた。
その姿を見て、急いで服を着替えて外に行く。
「カイさん、おはようございます」
「おう、早いな。まだ慣れないだろうし、もっと寝てていいんだぞ?」
カイさんはそんな優しい言葉をくれるけれど、お世話になっているのにそんなに甘えられる身分じゃない。
「いえ、お手伝いできることがあればお手伝いするのでしますっ」
「それじゃあ、ここからここまでの野菜を収穫してくれないか?」
「はいっ、分かりました」
真っ赤に輝くトマトや濃い緑色をしたきゅうり、艶々に光っているナスや大きなズッキーニがなっている。
どの野菜も、当たり前に新鮮できっとすごく美味しいんだろうなと予想が付く。なんとなく、野菜からも生き生きとしたものを感じる。それはきっと、カイさんの育て方がいいからだと思う。
「ここのお野菜で、カフェの料理を作るんですか?」
「ああ、そうだ。ハーブティーのハーブもここで育ててる」
「すごいですね。私のお婆ちゃんもハーブ育ててて、バジルの匂いが好きでした」
あの時初めて嗅いだバジルの香り、今でも忘れていない。
「あ、あの……前にお婆さんがここの世界に来たことはありませんか?」
「俺も人間全員に会っているわけじゃないからな……それに、……いや、なんでもない」
カイさんは何かを言いかけて、口をキュッと紡ぐ。なんだろう、私には言い難いことなのかな?
「すまんな……役に立てなくて。あ、毎朝俺が作るハーブティー、飲むの忘れるなよ?」
「はいっ、分かりました」
1つずつ、カイさんが育てた野菜を丁寧に、傷が付かないように採っていく。
野菜やハーブを育てて、あんなに美味しい料理も作れて、カイさんはすごい。
私なんか、サボテンすら枯らしてしまった過去があって、いつもちゃんとやろうやろうと思っているのに失敗してしまうから、時々自分が嫌になってしまう。
「あっ」
小さく咲く花を踏みそうになってしまう。
「どうした?」
「あ、いえ、なんでも」
「なんかあったら言えよ?」
「ありがとうございます」
「よし、そろそろ朝ご飯にするか」
「はいっ」
籠一杯に取れた野菜は重くて、だけどこれを自分で収穫したことが嬉しくて、ここに来て初めて何も考えることなく自然と笑顔を浮かべることが出来た。
「お前は、なんか好きな野菜あるのか?」
「そうですね……、夏だったらトマトが好きです」
「なるほどな、じゃあトマトメインの朝ごはんにするか」
「はいっ」
カイさんは手際良く料理をしていて、私の入る隙はない。無駄な作業が一切なくて、見惚れてしまう。
その代わり、朝食ができるまでの間に簡単に部屋の掃除をすることに。
とは言っても、ぱっと見て汚れた箇所はなく、カイさんの性格がこの家からもなんとなく分かるような気がした。
「おーい、出来たぞ」
「はいっ、今行きます」
部屋に戻ると、さっきまでは何も無かったテーブルの上に、彩りの鮮やかな料理が並べられていた。
「朝だから簡単なものばかりだけど」
「どれも美味しそうです」
採れたての生トマト、トマトとブロッコリーの炒め物、トマトソースのかかったオムレツ、和のカフェとは違って洋テイストの料理はまた違った良さがある。
「私、カイさんのカフェのお手伝いしたいです」
「うーん…………まあ、いいぞ。別に野菜の手伝いだけでもいいんだけどな」
「ありがとうございます」
お礼を言うと、カイさんは不思議そうな顔を浮かべて私を見た。
「お前って、変なやつだな」
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