妖の木漏れ日カフェ

みー

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始まりの夏

12

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「戻りました」

「おう。じゃあ、とりあえずそこの洗い物頼む」

「任せてくださいっ」

 ハトリさんはお店には入らずに帰ってしまった。

 よしっ、まずはこのお皿たちを洗ってっと。

 お洒落な和風のお皿を割ってしまわないように、1つ1つ丁寧に磨いていく。

 ふとカイさんを見ると、和のデザートを作っている。透明のぷるんぷるんとしたゼリーのようなものに、黒蜜を掛ける。

 そのデザートは透明すぎて、ゼリーを通して向こうの景色まで見えた。

 なんていうか、儚いという言葉の似合うデザート。

 カイさんがそれをお客様のところまで持っていくと、「まあ、透き通っていて綺麗だわ」という声が聞こえてきる。

 一体、どんな味がしてどんな食感なのだろう。

 プリンのようにぷるぷる? それとも、意外と固め?

 初めて見る分想像が広がって余計に食べたくなってしまう。

「どうした? 手、止まってるぞ」

「あ、はい。あの、さっきのデザート美味しそうだなと思って」

「ああ、じゃあ夕食に出してやるよ」

「嬉しいですっ」

 



 楽しみにしていた夕食の時間、いつも通りカイさんのお店の一席でお魚の料理を食べる。

 料理に使われている野菜を見て、『私が収穫したものかな?』なんて思うと、いつも以上に料理が美味しく感じる。

 赤、黄色、緑とバランスの良い食事をし終えて、いよいよデザートの時間になった。

「はい、これ」

「ありがとうございますっ」

 目の前に、まるで宝石のようなデザートが姿を表す。

 スプーンで掬おうとすると、見た目通りプルンプルンと動いて、口の中に入れるとつるんとした触りが舌の上で感じられる。

 すごく柔らかくて、このまま噛まずに飲めてしまう。

 甘さも優しくて、バタフライピーのぜりーとはまた違った美味しさが楽しめる。

 1日で2つも美味しいデザートを楽しむことが出来るなんて、今日はなんていい日なんだろう。

「すごく美味しかったです」
 
「そうか、よかった」

 美味しい料理の食事は、あっという間に終わってしまい名残惜しさを感じる。

 もっと味わって食べればよかったな、なんて思うも、すでに明日の朝ごはんのことが頭の中に浮かんできた。

 もっと慣れてきたら、私の世界の朝ごはんを振る舞いたいな、なんて思う。



 
 









「じゃあ、まずは基本のハーブから覚えていくか」

 夜、お店も閉まってほっと一息つく時間にハーブ勉強会の始まり。

「まあ、まずはこの5種類だな。ミント、カモミール、ローズマリー、ラベンダー、グラスレモン。実際に飲んでみるか」

「はいっ」

 慣れた手つきでカイさんはハーブを淹れていく。

 匂いが混ざってしまわないように、1種類を飲んではまた次を淹れ、を繰り返す。

 飲んだことのある味から、初めて飲む味まで様々なハーブを味わう。

 ハーブの香りは、精神的にも落ち着かせてくれて今日はいい夢が見られそうな気がした。

「どれが1番美味しいとかあったか?」

「そうですね……どれも美味しいですけど、カモミールがほんのり甘くて美味しいなあと思いました」

「そうだな……。まあ、覚えるのは少しずつでいいから、無理するなよ?」

「はい、ありがとうございます」
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