妖の木漏れ日カフェ

みー

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始まりの夏

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 皆の花火の色が、お庭に色を添える。
 
 花火が終わったら夏は終わり秋が来る。そんな当たり前のことに、何故だか胸がじいんとして涙が出てきそうになる。

「奇麗ですね、花火」

「そうだねえ。真由ちゃんはなんの季節が好き?」

「ええと…………秋です。美味しいものもたくさんあるし、紅葉も奇麗だし。でも、夏も好きだし冬も好き。春も桜が奇麗で」

「ふふっ。1年中好きなんだね。そういえば、ここの土地にも紅葉の美しいところがあるんだよ。連れて行ってあげるね」  

 花火でハトリさんの顔が光る。

 とても優しい顔をしていて、その顔を見ると胸が痛んだ。

 ああ、早くどうにかして事実を突き止めないとって。



 
「じゃあ、そろそろ帰るね」

「今日はありがとうな」

「また、皆で集まりたいわ。紅葉狩り、なんてどうかしら、秋は楽しみが多いわよね」

「はいっ、ぜひ行きましょう」

 夏の余韻を残す夜。

 皆の笑顔が夜の空間に浮かんで、その顔を見ると心が豊かになる。

 ここに来た時はどうしようかと思って不安に押しつぶされそうだったけど、今は全然違う。その正反対の気持ちで今こうして生活することが出来るのは、目の前にいる人たちの優しい表情のおかげ。

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

 カイさんと共に3人を見送ってから私たちも家の中に入った。

 しいんと、静寂の音が聞こえる。

 さっきまで賑やかだった空間からいきなり音が消えたから、一瞬もの淋しく感じるも、すぐに日常に戻ることが出来た。

「明日は遅くまで寝ててもいいぞ。今日疲れただろ?」

「でも……」

「まあ、ゆっくり休め」

「ありがとうございますっ」

 カイさんは欠伸をしながら「先にシャワー浴びな」と言ってくれた。

 その言葉に甘えて、すぐに用意をしてお風呂場に行く。

 お湯に浸かると、全身がお湯に包まれてその温かさでほっと一息つく。

「花火、奇麗だったなあ」

 さっきの色とりどりの花火を思い出しながら、お風呂場から見える星空を眺めるこの瞬間が何よりも幸せな時間に感じる。

 明日からまたカフェのお仕事も頑張ろうと思えるこの夜に、感謝しないと。

 私は目を瞑りながら至福のお風呂タイムを過ごした。
 
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