妖の木漏れ日カフェ

みー

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進みゆく秋

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「真由ー、晩ご飯出来たぞ」

「は、はい。今行きますっ」

 隠し事をするわけでは無いけれど、なんとなくその本の存在を隠しておきたくて、布団の中に潜らせてから私は1階に下りた。

 キセキバナ、その種がどこにあるのか、あてもなくこの街をふらついて探せるものではないというのは分かっているからこそ、何か確かな情報が欲しい。

 でも、カイさんにそのことを尋ねたら絶対に「何故?」となるし、本当のことを言えば言ったで要らぬ心配をさせてしまうのは私のしたいことじゃない。

 でも……私のことを人間だと知っているカイさん、ハトリさん、スミレさんから聞くのが多分1番安全な方法で、私の頭の中はたくさんの選択肢で埋まっている。

「真由、今日ハーブの本買ったんだってな」
 
「はい、もっとハーブのことについて知りたいと思って。そしたら、カフェの仕事、もっと役立てると思うし」

 話していると、先ほどから降っている雨音がやけに大きくなっていくのが聞こえてくる。

 それはまるで滝のような音で、窓を見ると打ち付ける雨の滴が普段よりも大粒で、ガラスを破ってしまわないか心配になる。

「すごい雨ですね……」

「ああ、確かにすごいな」

 こんなのが続いて最後には火山噴火……。そしたらきっと、誰も助からない。

 もちろん私自身も、家族や友人に会うことが出来ずに灰に埋れてしまう。

 自分自身のためにも、この街の人のためにも、本気で『キセキバナ』を探さないと。

「あの、カイさん」

「ん?」

「『キセキバナ』って聞いたことありますか?」

「ああ……ハーブの一種と言われている幻の花のことか。でも、実物を見たやつはいないと聞くし……。それがどうかしたか?」

 簡単に情報を得られるとは思っていなかったけれど、その話を聞いて落胆せずにはいられなかった。

 やっぱり、易々と手に入るものではないということで、この情報の詳細を手に入れるにはヤクモさんが言っていた友達に話を聞くしかないのかも……。

「いえ、今日街でたまたまそんな話を聞いて」

「そうか。そうだ、真由、今度ハーブティー淹れてみるか?」

「え、いいんですか?」

「まずは家で練習してから、だけどな」

「はいっ、もちろんやりたいです」

 心を曇らせる出来事があれば、その逆もあって、カイさんからのその提案に私は少しだけ心が晴れたような気がした。

 自分の淹れたハーブティーをお客様に提供できる。自分の淹れたハーブティーで、人々に笑顔を与えることができる。

 あの爽やかなハーブティーの香りが、脳内に充満する。

 早く、カイさんに認められたい。
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