妖の木漏れ日カフェ

みー

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進みゆく秋

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 カフェが休みの今日、朝からハーブティーを淹れる練習をカイさんと2人でしている。

 部屋の中に充満するカモミールの香りは精神を落ち着かせてくれるにはぴったりで、その香りを楽しみながら、気合を入れて練習をする。

「……うん、まあまあだな」

 私の淹れたハーブティーを飲んで、カイさんが感想をくれる。

「頑張りますっ」

 



 1時間ほど経った時、カイさんは「そろそろ休憩するか」という言葉を掛けてくれた。

 ほぼずっと同じ姿勢だったから、腕を伸ばして体をほぐす。

 軽くストレッチをしていると、カイさんが何かを冷蔵庫から取り出しているのが見えた。

 その手には、艶やかに光る大きな粒のマロングラッセがあった。

「これ、試作なんだが食べるか?」

「はいっぜひ」

 自分で淹れたハーブティーと、カイさんの手作りのマロングラッセを前に、昼までまだ1時間以上あるにも関わらずお腹がぐうっと鳴る。

「早く食べるか」

「は、はい」

 恥ずかしさを飲み込むようにマロングラッセを口の中に入れると、甘さがほわんと口の中に広まって、噛むとさらに深い甘さが味わえる。

 うん、美味しい。

「そういえば、カイさんの家族はどちらに住んでるんですか?」

「…………多分、屋敷にいる」

「屋敷って、あの……?」

「ああ。真由にはあまりいい話じゃないから言わなかったが……。俺が幼い頃、両親が今のように人間を世話していたんだ。しかしそれが地主にばれて、それだけなら良かったんだが……その人は犬が大の苦手でな。地主に向かって「こっちに来るな」と。地主の妖は犬で、それが原因で大激怒。その人間はどこかへ消え、俺の両親はそのまま屋敷に連れて行かれた。俺はその時からハトリのところに世話になった」

「……そんな、それなら私のことがバレたらカイさんも」

 そんなリスクを負ってまで私をここに留まらせる理由なんてない。

 せっかくのこの街の人に愛されるカフェを経営しているカイさんがもし捕えられてしまったら……。

「両親は心が優しい人で、俺きもその血を少しくらい流れてるんだろうな。お前を見た時放って置けないって思ったんだよ」

「カイさん……」

「それより、真由なんか隠してるだろ? キセキバナ、だっけ。あれって災いを鎮めるための花だろ? 噂で聞いたことがある。まさかそれを1人で探すつもりじゃないだろうな?」

「それは……」

「真由がそこまでする必要は」

「あるんです。最近起こる地震、大雨。災いの内容にぴったりなんです。もしこのまま放置したら、最後は皆が灰に埋もれてしまう……。そんなのは嫌なんです。私は、皆さんが好きです。カイさんのカフェが大好きです。だから、絶対に災いを止めたいんです」

「真由……」

 自分の言っていることがどれだけ無謀で、危険な事なのかは十分理解している。でもそれでも私にも守りたいものがあって、それは自分以上に大切なもの。

「協力する。だから、無理はするな」

「はい……。ありがとう、ございます」
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