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進みゆく秋
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そういえば、と思い出す。
「あの、スミレさんはヤクモさんの家知ってますか?」
「ええ、知ってるわよ」
「私……ヤクモさんに会いたくて」
「そうなのね、分かったわ。今から会いに行く?」
「はい」
神社を出る時も一礼をして、この場を後にした。
神社から歩くこと数分、スミレさんはある家の前で歩みを止める。
カイさんの家とは違って洋風の可愛らしい家が建っている。
お庭には花が咲き誇り、その空間を鮮やかに染めていた。
「ここよ」
インターホンを押そうとした時、ちょうど中から音がして人が出てくる。
その人物は、知っている顔で。
「あれ、真由?」
「こ、こんにちは」
「私は近くを散歩してくるわね」
「すみません」
スミレさんに要らぬ気を遣わせてしまった。
「どうしたんだ?」
「あの、この前話してたヤクモさんの友達のことなんですけど……ぜひ会いたいなあと思って」
「ああ、あの屋敷のな。多分いいと思うけど、一応聞いてみるからちょっと待っててくれ」
「はい、ありがとうございます」
会いたい、って言ったら何か聞かれるかもしれないと思ったけれど、特にそんなこともなく話は川が流れるが如くスムーズに進んだ。
返事を待っているこの時間、妙に緊張して自分の心臓の音が大きく耳に入ってくる。
もし断られたらどうしよう。
それに、実はものすごく恐ろしくて人間を殺したいほどに恨んでいる人だったら……。でも、今更後戻りはできない。それに、前に進む以外の選択肢は私にはない。
5分ほどが経過しただろうか。
再びヤクモさんが姿を見せる。
「いいって。それで、いつがいい? 俺もついてった方がいいか?」
「あ、えっと……」
「僕がついて行くから大丈夫だよ。キキョウくんだろ?」
「兄さん」
「ハトリさん」
いつからここにいたのだろう、空気のようにこの場に同化していたのだろうか、全然その気配に気が付かなかった。
「まさにキキョウだよ。兄さんがついていくなら大丈夫だね」
「じゃあ、今度の土曜日の午後にしようか。僕も仕事休みだし」
「はい、お願いします」
「じゃあ、キキョウにそう伝えておくよ」
「ありがとうございます」
ヤクモさんは再び家の中に戻って行く。そういえば、何処かに行く途中だったような? 邪魔、しちゃったかな。
「カイから話は聞いてるよ。災いについて調べているんだよね?」
「……はい。災いを終息させたくて……」
「そう。……そうだね。多分、最近起きている大雨や地震も災いが原因だ。僕は災いについてはほとんど知らないけど……僕に出来ることがあればなんでもするから言ってね」
「本当に、いつもありがとうございます」
カイさん、ハトリさん、スミレさん、ヤクモさん、本当に本当に感謝しかない。
「あの、スミレさんはヤクモさんの家知ってますか?」
「ええ、知ってるわよ」
「私……ヤクモさんに会いたくて」
「そうなのね、分かったわ。今から会いに行く?」
「はい」
神社を出る時も一礼をして、この場を後にした。
神社から歩くこと数分、スミレさんはある家の前で歩みを止める。
カイさんの家とは違って洋風の可愛らしい家が建っている。
お庭には花が咲き誇り、その空間を鮮やかに染めていた。
「ここよ」
インターホンを押そうとした時、ちょうど中から音がして人が出てくる。
その人物は、知っている顔で。
「あれ、真由?」
「こ、こんにちは」
「私は近くを散歩してくるわね」
「すみません」
スミレさんに要らぬ気を遣わせてしまった。
「どうしたんだ?」
「あの、この前話してたヤクモさんの友達のことなんですけど……ぜひ会いたいなあと思って」
「ああ、あの屋敷のな。多分いいと思うけど、一応聞いてみるからちょっと待っててくれ」
「はい、ありがとうございます」
会いたい、って言ったら何か聞かれるかもしれないと思ったけれど、特にそんなこともなく話は川が流れるが如くスムーズに進んだ。
返事を待っているこの時間、妙に緊張して自分の心臓の音が大きく耳に入ってくる。
もし断られたらどうしよう。
それに、実はものすごく恐ろしくて人間を殺したいほどに恨んでいる人だったら……。でも、今更後戻りはできない。それに、前に進む以外の選択肢は私にはない。
5分ほどが経過しただろうか。
再びヤクモさんが姿を見せる。
「いいって。それで、いつがいい? 俺もついてった方がいいか?」
「あ、えっと……」
「僕がついて行くから大丈夫だよ。キキョウくんだろ?」
「兄さん」
「ハトリさん」
いつからここにいたのだろう、空気のようにこの場に同化していたのだろうか、全然その気配に気が付かなかった。
「まさにキキョウだよ。兄さんがついていくなら大丈夫だね」
「じゃあ、今度の土曜日の午後にしようか。僕も仕事休みだし」
「はい、お願いします」
「じゃあ、キキョウにそう伝えておくよ」
「ありがとうございます」
ヤクモさんは再び家の中に戻って行く。そういえば、何処かに行く途中だったような? 邪魔、しちゃったかな。
「カイから話は聞いてるよ。災いについて調べているんだよね?」
「……はい。災いを終息させたくて……」
「そう。……そうだね。多分、最近起きている大雨や地震も災いが原因だ。僕は災いについてはほとんど知らないけど……僕に出来ることがあればなんでもするから言ってね」
「本当に、いつもありがとうございます」
カイさん、ハトリさん、スミレさん、ヤクモさん、本当に本当に感謝しかない。
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