妖の木漏れ日カフェ

みー

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終わらない冬

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「それじゃあ、行ってきます」

「おう、ヤクモによろしくな」

「はい」
  
 今日はヤクモさんとクリスマスパーティー関係のものを買いに行く日で、外に出ると街全体が白く染まっていた。まだ12月も前半なのに、こんなに雪が降るだと自分の住んでいた地域との差を感じる。

 息を吐くと白くなって、手袋をしているにも関わらず指先まで寒さが伝わってくる。

 街はクリスマス仕様になっていて、見ているだけで心が躍る。

 もう少しで待ち合わせの場所に着くと思ったその時、背中に衝撃が走った。

 すぐになんのことかは理解できずに、違和感のある部分に手を置く。

「え……?」

「人間なんて、死んでしまえっ」

 誰かが走り去る音が耳に響く。

 何……? 何が起こったの……?

 手はヌルっとしていて、見ると真っ赤に染まっている。

「なに、これ……」

 体から一気に力が抜けて、立てなくなる。私の周囲の人間が真っ青な顔をして私を見て、誰かが「おいっ」と話し掛けてくる。

 人だかりの中からヤクモさんが現れて、必死に私の名前を読んだ。

「真由……? 真由!」

 霞む目から微かに見えるヤクモさんの表情は険しく目から涙を流していた。









「んっ……」

 目が覚めると背中に強烈な痛みが走って、顔が歪む。

 体が張り裂けそうな痛みに、声すら出ない。

「真由ちゃん……よかった、本当によかった。目覚めなかったらどうしようかと……。さあ、これを飲んで。痛みが治るから」

 白衣を着たハトリさんがいて、その隣には目を腫らしたヤクモさんがいる。

 ハトリさんから渡されたそれからはハーブのような匂いが漂ってくる。

 飲むと、本当にすうっと痛みが引く。

「私……」

「人間を嫌う奴に刺されたんだ。酷い、酷すぎる。真由がこの街を救ったのに」

『仕方がない』

 私の頭の中に浮かんだ文字はそれだった。人間の残酷さは人間である私が1番知っているから。誰だってきっと、目の前に憎むものがあれば衝動的に体が動いてしまうかもしれない。

 自分が受けた傷の分を、相手にも負わせたくなるかもしれない。

 それくらい、きっと動物に対して冷酷なことをした。

 私……無謀なことをしているのかな? 少しでも分かってもらえたと思っていた自分が恥ずかしい。シドウさんだって本当は、何1つ人間のことを許していないのかもしれない……。

「真由さんっ」

 大好きな人の声。

「キキョウ、さん」

「よかった。もし、目が覚めなかったらどうしようかと」

 自分のために涙を流してくれる人がこんなにいる。それは決して当たり前じゃない。

「シドウさんが、真由さんを刺した人を今探してる」

「その人は、どうなるんですか?」

「分からないけど、ただでは済まないと思うよ」

「私……シドウさんの所に行かないと」

 その人がもし傷を負うことになったら、より人間を憎む気持ちが膨れ上がる。それは絶対にあってはいけない。
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