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14章 狂った歯車
14話 狂った歯車
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『カイル・レッドフォード君。君はね、歯車ですよ。この歴史の中心になる、大きな歯車です』
信じられない話だが、俺という"歯車"の影響は家族だけではなく、もっと広い範囲にまで及んでいるらしい――。
こちらの世界のリタは聖女になっていない。
なぜそうなるのか分からない。イリアスの言うようにリタの現在が俺の影響であるなら、彼女は今どうしているのだろう?
今も病弱なまま、ユング侯爵の屋敷で静かに暮らしているのだろうか?
確認しようがない。死んでなんかいなかったらいいが……。
一方、目に見える範囲で大きく変わっているのは兄のジャミルだ。
俺が消えていないから兄は暗い気持ちを抱えない。
家族仲は良好、元々戦いが好きではないから剣を振るわないし、"逃げ"や"代償"としての勉強に没頭することもない。
当然、闇の剣も拾わない。
酒場の仕事もしていないからグレンやルカとも出会わないし、出会ったとしても闇の剣を持っていないから仲間として繋がることはない。
つまり、あの砦の集まりがない。
俺に隣接している"ジャミル・レッドフォード"という歯車は、仲間の人生を全くちがう方向に回すものであったようだ。
例えば、ルカだ。
兄の人生が変わったことによって、彼女の行く末も大きく変わる。
彼女の兄であるアルノーは、俺の兄の「ロイエンタール高等学院」時代の友人だ。
在学中に紋章に目覚めて魔術学院に行ったが全くなじめずに苦しんでいたところ、兄からもらった手紙がきっかけでそこを辞める決意をしたと聞いた。
だが、こちらの兄はロイエンタール高等学院へは行っていないから、アルノーと出会っていない。
それならアルノーは闇堕ちをしているか、今も心を病んで療養中である可能性が高い。
彼がそんな状態だとしたら、ルカの「アリシア・ワイアット」という真名を呼ぶ人間がいない。
彼女は自分を取り戻さず、「お兄ちゃま」のアルノーとの再会は叶わないまま。
ルカといえば、こちらとあちらで決定的にちがっていることがあった。
こちらの世界では"光の塾"が5年前に検挙され、完全に壊滅している。
5年前……時間を越えたイリアスが仕向けたのだろうか?
ともかく、光の塾が壊滅しているなら、両親亡き後にそこに押し込められたフランツの行く末も変わっているはず――。
そして兄の恋人であったベルナデッタは、こちらの世界では聖女になっている。
兄とベルナデッタとの出会いはあの砦……5年前から聖女として眠っている彼女とは、出会う機会すらない。
(そんなに変わるものなのか……?)
俺という歯車が抜けたあと、そこに隣接していた兄の歯車の配置が狂い、それが他の仲間の歯車と噛み合い、廻る。
しかし歯車の配置が狂っていないこちらの世界では、俺と兄の歯車は仲間の誰のものとも噛み合わない。
各々が元ある位置、知らないどこかで正確に廻り続ける……。
「……グレンは……?」
もう1人……おそらく遠くの方で密かに廻っているであろう「大きな歴史の歯車」のことを考えて、身震いしてしまう。
グレン・マクロード――あいつは、どこでどうしているんだろう。
兄から借りたスクラップブックに、恐ろしい記事が貼ってあった。
ディオールの最北端イルムガルト辺境伯領の2割が魔物に占拠され、国境のラインが下がってきているというものだ。
魔物の発生源となったのは、西の辺境「リューベ村」――グレンがかつて住んでいたところだ。
2年前リューベ村を強大な魔物が襲い、村は1日とかからずに全滅。そこを根城にして魔物が繁殖しはじめたらしい。
黒天騎士団がリューベ村の魔物のことを知ったのは、村が壊滅してから2週間後……。
『もし彼がいないなら別の者がその地位に就いていたでしょうが、助からない命がたくさんあったでしょうね。どこか小さい村を助けたという話もありますし』――。
イリアスの言葉の通りだ。
こちらの世界のグレンはおそらく、いや、間違いなく黒天騎士にはなっていない。
あの村を救ったのは、黒天騎士、そして北軍将のグレンだ。
かつて奴をいじめ抜いた孤児院の副院長が「助けろ、恩返ししろ」などと偉そうな手紙を送りつけてきたことがきっかけで、奴は単身村へ向かった。
そして偶然件の魔物の襲撃に出くわし、奴が全ての魔物を倒した。
しかしグレンが騎士になっていないなら、副院長は救援要請の手紙を送る相手がいない。
結果騎士団はリューベ村のことを把握できずに初動が遅れ、辺境伯領の2割が魔物の巣窟に……。
『お前がいなかったなら、俺の人生はもっと破滅的な方向へ行っていた』
『お前の存在は救いだった』
「……グレン」
みんな人生がガラリと変わっている。
兄をはじめとする仲間達は、幸不幸はあれど破滅的な人生とまではいかないだろう。
だがグレンは……あいつは一体、どこで何をしている?
名前を名乗らず"カラス"を続けているのか、それとも……。
◇
「はぁ……」
兄のスクラップブックを漁り続けていたら、あっという間に朝になってしまった。
眠りたいが……眠ったら俺の意識が消えてしまいそうな気がする。
こちらの世界の俺は自警団の仕事があるようだが、正直それどころではないので「具合が悪い」と言って休ませてもらった。
兄は朝から仕事へ出かけた。
町役場の職員なので、スーツ着てネクタイ締めての出勤だ。働き始めて2年らしいが、違和感がすごい。
出かけている間、スクラップブックやノートを見せてくれと頼んだら快諾してくれた。
俺が研究資料に興味を持ったことが嬉しかったようだ。
「はぁ……」
またため息が出る。
兄が出かけたあと朝食を食べて兄の部屋のノートを物色して、今は家の庭にあるテーブルで一休みしている。
今の気分とは裏腹に、良い天気だ。
戻るヒントを見つけられないまま、昼になろうとしている。
「どうすりゃいいのか……」
ぼやーっと、手元にある赤い布を見つめる。
あの竜騎士スカーフのレプリカだ。自室のクローゼットを物色していたら出てきた。
これが出てきて喜んだのは一瞬のことだった。
俺が持っていたものとちがって、何も縫い付けられていなかったからだ。
――そう、何も。
幼い俺は旅行から帰ってきてすぐ、このスカーフに習いたての古代文字で自分の名前を縫い付けた。だがこのスカーフには、それすらもない。
俺が時間を飛んでいないから、おそらく「竜騎士のお兄さん」との出会いはない。だからこっちの俺は竜騎士に憧れていない。
その証拠というかなんというか、タンスの奥に押し込まれてくしゃくしゃになってはいるが、スカーフは新品同様だ。
早々に飽きてしまったのか、忘れてしまったのか……。
兄や仲間と同様、こちらの俺も全くちがう人生を送っているようだ。
竜騎士も冒険者もやっていない自分って、それは俺なのかな。
……なんか寂しいな。何があっても竜騎士になるってわけじゃないんだな。
「いらないんだったら、これもらっていいかなあ……」
セルジュが渡してきたあの紙くず、そして、俺が最初に時間を飛んだときに持っていた新聞紙。
どちらも血がついていた。だからたぶん、これも血をつければ持って行けるはず……憶測だけど。
汚れるのは嫌だし、あのスカーフとはもう全くの別物……でも、なくなっちゃったの耐えられないんだよな。
お土産屋で新しいの買うよりはまだつながりがあっていいかも……。
「持って帰ることより、帰り方考えろって話だよな……」
ため息交じりに、またでかい独り言。
暗闇に長いこと監禁されてからというもの、独り言がとんでもなく増えた。
しかも、もはや誰かに語りかけてるだろというレベルの音量だ。
さっきまで考えていたことも実は全部口から垂れ流してました とかだったらどうしよう……。
「あれ~、カイルー?」
「!!」
机に突っ伏していたら、聞き覚えのある声が耳に届いた。
顔を上げると、そこには……。
「あっ、レ……レイチェル……」
「やっほー」
幼なじみのレイチェルだ。
そうだ、そういえば彼女もこの街に住んでいるんだった……。
「どしたの? 今日。自警団はお休み~?」
兄やベルナデッタとちがい、あっちの世界と同じ制服、同じ髪型。
さらに同じ声のトーン、同じ笑顔――あちらと寸分の違いもない彼女が、庭の柵の向こうから声をかけてきていた。
信じられない話だが、俺という"歯車"の影響は家族だけではなく、もっと広い範囲にまで及んでいるらしい――。
こちらの世界のリタは聖女になっていない。
なぜそうなるのか分からない。イリアスの言うようにリタの現在が俺の影響であるなら、彼女は今どうしているのだろう?
今も病弱なまま、ユング侯爵の屋敷で静かに暮らしているのだろうか?
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一方、目に見える範囲で大きく変わっているのは兄のジャミルだ。
俺が消えていないから兄は暗い気持ちを抱えない。
家族仲は良好、元々戦いが好きではないから剣を振るわないし、"逃げ"や"代償"としての勉強に没頭することもない。
当然、闇の剣も拾わない。
酒場の仕事もしていないからグレンやルカとも出会わないし、出会ったとしても闇の剣を持っていないから仲間として繋がることはない。
つまり、あの砦の集まりがない。
俺に隣接している"ジャミル・レッドフォード"という歯車は、仲間の人生を全くちがう方向に回すものであったようだ。
例えば、ルカだ。
兄の人生が変わったことによって、彼女の行く末も大きく変わる。
彼女の兄であるアルノーは、俺の兄の「ロイエンタール高等学院」時代の友人だ。
在学中に紋章に目覚めて魔術学院に行ったが全くなじめずに苦しんでいたところ、兄からもらった手紙がきっかけでそこを辞める決意をしたと聞いた。
だが、こちらの兄はロイエンタール高等学院へは行っていないから、アルノーと出会っていない。
それならアルノーは闇堕ちをしているか、今も心を病んで療養中である可能性が高い。
彼がそんな状態だとしたら、ルカの「アリシア・ワイアット」という真名を呼ぶ人間がいない。
彼女は自分を取り戻さず、「お兄ちゃま」のアルノーとの再会は叶わないまま。
ルカといえば、こちらとあちらで決定的にちがっていることがあった。
こちらの世界では"光の塾"が5年前に検挙され、完全に壊滅している。
5年前……時間を越えたイリアスが仕向けたのだろうか?
ともかく、光の塾が壊滅しているなら、両親亡き後にそこに押し込められたフランツの行く末も変わっているはず――。
そして兄の恋人であったベルナデッタは、こちらの世界では聖女になっている。
兄とベルナデッタとの出会いはあの砦……5年前から聖女として眠っている彼女とは、出会う機会すらない。
(そんなに変わるものなのか……?)
俺という歯車が抜けたあと、そこに隣接していた兄の歯車の配置が狂い、それが他の仲間の歯車と噛み合い、廻る。
しかし歯車の配置が狂っていないこちらの世界では、俺と兄の歯車は仲間の誰のものとも噛み合わない。
各々が元ある位置、知らないどこかで正確に廻り続ける……。
「……グレンは……?」
もう1人……おそらく遠くの方で密かに廻っているであろう「大きな歴史の歯車」のことを考えて、身震いしてしまう。
グレン・マクロード――あいつは、どこでどうしているんだろう。
兄から借りたスクラップブックに、恐ろしい記事が貼ってあった。
ディオールの最北端イルムガルト辺境伯領の2割が魔物に占拠され、国境のラインが下がってきているというものだ。
魔物の発生源となったのは、西の辺境「リューベ村」――グレンがかつて住んでいたところだ。
2年前リューベ村を強大な魔物が襲い、村は1日とかからずに全滅。そこを根城にして魔物が繁殖しはじめたらしい。
黒天騎士団がリューベ村の魔物のことを知ったのは、村が壊滅してから2週間後……。
『もし彼がいないなら別の者がその地位に就いていたでしょうが、助からない命がたくさんあったでしょうね。どこか小さい村を助けたという話もありますし』――。
イリアスの言葉の通りだ。
こちらの世界のグレンはおそらく、いや、間違いなく黒天騎士にはなっていない。
あの村を救ったのは、黒天騎士、そして北軍将のグレンだ。
かつて奴をいじめ抜いた孤児院の副院長が「助けろ、恩返ししろ」などと偉そうな手紙を送りつけてきたことがきっかけで、奴は単身村へ向かった。
そして偶然件の魔物の襲撃に出くわし、奴が全ての魔物を倒した。
しかしグレンが騎士になっていないなら、副院長は救援要請の手紙を送る相手がいない。
結果騎士団はリューベ村のことを把握できずに初動が遅れ、辺境伯領の2割が魔物の巣窟に……。
『お前がいなかったなら、俺の人生はもっと破滅的な方向へ行っていた』
『お前の存在は救いだった』
「……グレン」
みんな人生がガラリと変わっている。
兄をはじめとする仲間達は、幸不幸はあれど破滅的な人生とまではいかないだろう。
だがグレンは……あいつは一体、どこで何をしている?
名前を名乗らず"カラス"を続けているのか、それとも……。
◇
「はぁ……」
兄のスクラップブックを漁り続けていたら、あっという間に朝になってしまった。
眠りたいが……眠ったら俺の意識が消えてしまいそうな気がする。
こちらの世界の俺は自警団の仕事があるようだが、正直それどころではないので「具合が悪い」と言って休ませてもらった。
兄は朝から仕事へ出かけた。
町役場の職員なので、スーツ着てネクタイ締めての出勤だ。働き始めて2年らしいが、違和感がすごい。
出かけている間、スクラップブックやノートを見せてくれと頼んだら快諾してくれた。
俺が研究資料に興味を持ったことが嬉しかったようだ。
「はぁ……」
またため息が出る。
兄が出かけたあと朝食を食べて兄の部屋のノートを物色して、今は家の庭にあるテーブルで一休みしている。
今の気分とは裏腹に、良い天気だ。
戻るヒントを見つけられないまま、昼になろうとしている。
「どうすりゃいいのか……」
ぼやーっと、手元にある赤い布を見つめる。
あの竜騎士スカーフのレプリカだ。自室のクローゼットを物色していたら出てきた。
これが出てきて喜んだのは一瞬のことだった。
俺が持っていたものとちがって、何も縫い付けられていなかったからだ。
――そう、何も。
幼い俺は旅行から帰ってきてすぐ、このスカーフに習いたての古代文字で自分の名前を縫い付けた。だがこのスカーフには、それすらもない。
俺が時間を飛んでいないから、おそらく「竜騎士のお兄さん」との出会いはない。だからこっちの俺は竜騎士に憧れていない。
その証拠というかなんというか、タンスの奥に押し込まれてくしゃくしゃになってはいるが、スカーフは新品同様だ。
早々に飽きてしまったのか、忘れてしまったのか……。
兄や仲間と同様、こちらの俺も全くちがう人生を送っているようだ。
竜騎士も冒険者もやっていない自分って、それは俺なのかな。
……なんか寂しいな。何があっても竜騎士になるってわけじゃないんだな。
「いらないんだったら、これもらっていいかなあ……」
セルジュが渡してきたあの紙くず、そして、俺が最初に時間を飛んだときに持っていた新聞紙。
どちらも血がついていた。だからたぶん、これも血をつければ持って行けるはず……憶測だけど。
汚れるのは嫌だし、あのスカーフとはもう全くの別物……でも、なくなっちゃったの耐えられないんだよな。
お土産屋で新しいの買うよりはまだつながりがあっていいかも……。
「持って帰ることより、帰り方考えろって話だよな……」
ため息交じりに、またでかい独り言。
暗闇に長いこと監禁されてからというもの、独り言がとんでもなく増えた。
しかも、もはや誰かに語りかけてるだろというレベルの音量だ。
さっきまで考えていたことも実は全部口から垂れ流してました とかだったらどうしよう……。
「あれ~、カイルー?」
「!!」
机に突っ伏していたら、聞き覚えのある声が耳に届いた。
顔を上げると、そこには……。
「あっ、レ……レイチェル……」
「やっほー」
幼なじみのレイチェルだ。
そうだ、そういえば彼女もこの街に住んでいるんだった……。
「どしたの? 今日。自警団はお休み~?」
兄やベルナデッタとちがい、あっちの世界と同じ制服、同じ髪型。
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