8 / 23
7
しおりを挟む
「ブラックを平仮名表記にするとどうでしょうか。ぶらっくコーヒー。うんうん。コーヒーも平仮名にすると、ぶらっくこーひー。あ、ダサくないですか?」
目を閉じ、想像し終えた彼女は満足げに笑った。
笑うと少し、綾姉に似ているな。
「くろまめ、でもいいかもしれません」
「それは最早コーヒーかどうか分からないよ」
「確かに‥。私が頼んだカプチーノは、平仮名表記にすると‥かぷちーの。あぁ、可愛くなりました」
「素敵な妄想力を持ってるね」
「カンジョーくんには負けます」
「どういう意味かな?」
「綾姉と‥」
楽しそうだねぇ。とマスターがコーヒーとカプチーノ、そしてサンドイッチを持ってきてくれた。
「これはサービスね。みっちゃんが初めてお友達を連れてきてくれたから」
「友達ではありません。‥初対面です」
「へぇ。でも、友達ってさ、定義が無いじゃない。そこまで楽しそうに話していると、僕には仲の良い友達に見えるけどな」
ごゆっくり、と爽やかにマスターは去っていく。
「さぁ、本題に入りましょう」
「いやまてまて。綾姉、の続きは」
「取るに足らないことです。そんな事はさておき、飲み物も来たので本題に」
「君、友達いないだろ」
「カンジョーくんには負けますよ」
はい、本日二度目。日本語は不思議だ。あなたには勝てません、という言葉も、少し前提が変わるとここまで不快に変わるとは。
「まぁいいや。それで?相談って何」
カプチーノの一口含んだ日高さんは、少し苦い表情をした。
ざまーみろ。背伸びした結果だ。
俺もブラックコーヒーを一口含む。
うん‥苦い。
「カンジョーくん。一つ提案があります」
「なにかな」
「マスターから友達認定をされた事ですし、私たちはこれから友達ということでいいですか?」
「うーん。それはどうだろう。友達って俺にはよく分からないんだよね。それをする事で何かいいことが?」
「カンジョーくん。友達とは素晴らしいものです。その関係性は、自分を少し、楽にしてくれます」
「と、いうと?」
「友達とは、お互い見栄を張らずにすむ関係性です。その上位互換に、隠し事が何一つない親友、という関係性もあります」
「ほう。それでいくと、今、俺たちは前段階の初対面だが‥見栄を張らずにすむ友達という関係性にもなれるかもしれないと」
「そうです。私から歩み寄ります。マスター」
マスターは「はいはい」と笑顔でこちらに来た。
「このカプチーノは苦いです。甘くしてほしい」
「あははっ。ごめんね。意地悪してしまって。それで、君は?」
見透かされたように俺も、気恥ずかし気にこう言った。
「俺も、砂糖とミルク貰えますか?出来れば、二つ」
俺も優男と言われて見栄を張ってしまったのだ。
「これでお互い、見栄を張る事はなくなりました」
晴れて友達となったわけだ。
目を閉じ、想像し終えた彼女は満足げに笑った。
笑うと少し、綾姉に似ているな。
「くろまめ、でもいいかもしれません」
「それは最早コーヒーかどうか分からないよ」
「確かに‥。私が頼んだカプチーノは、平仮名表記にすると‥かぷちーの。あぁ、可愛くなりました」
「素敵な妄想力を持ってるね」
「カンジョーくんには負けます」
「どういう意味かな?」
「綾姉と‥」
楽しそうだねぇ。とマスターがコーヒーとカプチーノ、そしてサンドイッチを持ってきてくれた。
「これはサービスね。みっちゃんが初めてお友達を連れてきてくれたから」
「友達ではありません。‥初対面です」
「へぇ。でも、友達ってさ、定義が無いじゃない。そこまで楽しそうに話していると、僕には仲の良い友達に見えるけどな」
ごゆっくり、と爽やかにマスターは去っていく。
「さぁ、本題に入りましょう」
「いやまてまて。綾姉、の続きは」
「取るに足らないことです。そんな事はさておき、飲み物も来たので本題に」
「君、友達いないだろ」
「カンジョーくんには負けますよ」
はい、本日二度目。日本語は不思議だ。あなたには勝てません、という言葉も、少し前提が変わるとここまで不快に変わるとは。
「まぁいいや。それで?相談って何」
カプチーノの一口含んだ日高さんは、少し苦い表情をした。
ざまーみろ。背伸びした結果だ。
俺もブラックコーヒーを一口含む。
うん‥苦い。
「カンジョーくん。一つ提案があります」
「なにかな」
「マスターから友達認定をされた事ですし、私たちはこれから友達ということでいいですか?」
「うーん。それはどうだろう。友達って俺にはよく分からないんだよね。それをする事で何かいいことが?」
「カンジョーくん。友達とは素晴らしいものです。その関係性は、自分を少し、楽にしてくれます」
「と、いうと?」
「友達とは、お互い見栄を張らずにすむ関係性です。その上位互換に、隠し事が何一つない親友、という関係性もあります」
「ほう。それでいくと、今、俺たちは前段階の初対面だが‥見栄を張らずにすむ友達という関係性にもなれるかもしれないと」
「そうです。私から歩み寄ります。マスター」
マスターは「はいはい」と笑顔でこちらに来た。
「このカプチーノは苦いです。甘くしてほしい」
「あははっ。ごめんね。意地悪してしまって。それで、君は?」
見透かされたように俺も、気恥ずかし気にこう言った。
「俺も、砂糖とミルク貰えますか?出来れば、二つ」
俺も優男と言われて見栄を張ってしまったのだ。
「これでお互い、見栄を張る事はなくなりました」
晴れて友達となったわけだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる