怪獣は馬鹿でかい何かではない

横山剛衛門

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怪物は囁く

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ふと目覚めると私は怪獣になっていた。
到底ありえないような出来事だが、実際そうなっているのだから仕方ない。いや、仕方なくはないので、元に戻るのを諦めることはできない。少なくとも原因が分かるまでは。
近づいていった街から重爆撃で徹底的に拒否された私は、不意に聞こえた気がした私を呼ぶ何かに誘われて、そちらを目指すことにした。

果たしてそこで見つけたのは、救いに繋がりそうなものだった。具体的に言えば、もう一匹の怪獣だった。私とは全く違う姿の。
座り込んでいたその怪獣に、やあ、と私は声をかけた。おそらくそれは、私自身の耳に聞こえたように、言葉にならない吠え声でしかなかったはずだ。しかし、相手にはしっかりと意図が伝わり、あまつさえ答えすら返ってきた。
「やあ、ご同輩。お互いとんだ目に遭ったな」
実はこれも私の耳には恐ろしい吠え声、しかも私のものとは全く違うタイプの音として聞こえたのだが、やはりその意味は分かった。相手が間違いなく男である、または男であったことも。

何を言うか色々悩んだが、ずばり、一体どうしてこんなことになってしまったんだろう、というような意味のことを私は言った。すると、彼は変な顔をしたーーように思われた。なんせ人間の顔と違って表情というものが読み取りにくいのだ。
「こうなるとは思わなんだが、原因は察しがついているよ。あんたもそうなんじゃないかと思ったんだが」
意外な返事だった。こちらには何も思い当たることがない。
そのように伝えると、彼はかぶりを振って呟くように言った。
「お気の毒に。いや、しかしもしかしたら違う理由なのかもしれない。そうであったらいいのにな」

要領を得ないのだが、いくら訊いても彼はそれ以上自らの考えを教えてくれなかった。
だが、私がどうにか元に戻りたいと思っていると知ると、多少の変化があった。はっきりと、しかしそれを隠したいかのような奇妙な調子で、悲しそうな顔をしたのだ。
「少なくともワシはそうは思えない。それは間違ったことだ。こうなったのは自然なことなのだ。少なくともワシの場合はね」
そしてやおら彼は立ち上がった。
「ワシとあんたではこれからやるべきことが違うようだ。ワシは腹が減った。あっちに何かありそうな気がするから、行ってみることにするよ。あんたはあんたのしたいようにしたらいい」
私には、彼が何かあると言った方向に何も感じられなかった。確かに我々は違うようだ。
彼には彼の、私には私の物語がある。
去っていく彼の尾びれを見ながら、私は途方にくれた。
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