魔法が使えない魔女は、侯爵令嬢に拾われてメイドになりました ~結婚を嫌がるお嬢様を攫って旅に出ます!~

響城藍

文字の大きさ
4 / 25

【ep.04】私はマリアの騎士になる!

しおりを挟む
 ルイ様がとどめの一撃を放ち、私はそれを寸前の所でかわす。
 そのまま私は勢いよく駆けて行く。お城の方へ一直線に。

 その一瞬の出来事は誰にも捉えられなかったでしょう。
 久しぶりに本気を出したのだから当然です。
 
「きゃあ!?」

 駆けた先にいたマリア様を腕に抱きかかえると、マリア様は驚いて声を上げる。
 その声に振り向いたルイ様は剣を構えたまま私を睨んでいます。

「ルイ様、あなたではマリア様を幸せにはできません」
「……ッ、貴様にマリアの何が分かる……!」
「……私には分かりません」

 ルイ様は唖然として私を見続けている。何を言っているのか、というその視線を私は受け止める。
 マリア様と共に過ごしてきた時間はルイ様の方が多い事実は変えられません。

「でも私は、あなたよりマリア様を幸せにできる自信があります!」

 力強く放った言葉と同時に、私の背中から光が放たれる。光の中心にあるのは白い翼。
 誰もが私の事を驚きながら見ていて、私が地面を蹴ろうとしたのを感じたルイ様は駆けだす。
 
 あなたの1歩では私には届きません。

 そんな視線をルイ様に向けた後、私は思い切り地面を蹴る。
 届かない程高く、空へ飛び出した。

「きゃああああああああああああああああ」

 マリア様の絶叫がお城に届かなくなる位に高く、遠くまで飛んでいく。
 私の胸元を強く握りしめながら目をつむっているマリア様を落とさない様に、しっかりと抱きかかえる。

「安心してください。絶対に離しませんから」
「……わぁ」

 私が安心させる様にそう呟けば、目を開けて映った光景に感動した様な声が聞こえた。
 空から見える景色に夢中な表情は私には見えない位にその景色に向いていて、気付かれない様に小さく笑う。

「ねえマリア、どこに行こうか?」

 私の言葉に振り向いて驚いた様な表情かおで見つめられた。少し嬉しそうに見えるその表情かおは私の大好きな太陽の様な笑顔に変わっていく。
 嬉しくなって私は翼を大きく広げて飛んで行った。

 マリアと一緒に、幸せに過ごせる場所を探しに。

 *

 遠くまで飛んで行って、草原の中にある家の前で私たちは降りた。
 ポツンと建っている家は人が住める位に綺麗な外観をしています。

「ごめんください、誰かいますか?」
 
 ドアをノックしてみても返事がなくて、私は困った様にマリアに視線を向けた。マリアも困った顔をしていて、もう一度ノックしてもやはり返事がない。
 なんとなくドアを押してみて、動いた事に慌てて手を離す。

「あわっ開いちゃった……!」
 
 ドアには鍵がかかっていなくて、開いてしまった事に驚きつつも、ゆっくりとドアを開けて家主を探す。
 広い部屋には人が住んでいた形跡はあるけど、もうずいぶん放置された様な形跡もあった。

「エマ……どうしましょう……?」
「誰も住んでなさそうだし、水道も通っているし、今日の所はここで過ごそう」

 私は家の中を探索してみて問題ないのを確認すると、中央にあるソファに座る。少しほこりは被っているけど、ふかふかしたソファの座り心地は悪くない。

 ドアの前で不安そうにするマリアを手招きすると、ゆっくりと私の隣に座って不安そうに私を見つめた。

「マリア……その、勝手にごめんなさい」
「……どうして謝るのですか?」
「私はいけない事をしてしまいました。私の気持ちだけで動いてしまった……」

 私は不安になってマリアと視線を合わせられなかった。
 今更怖くなってしまって、不安で瞳が揺れてしまう。見られたくなくて俯いて膝に置いた手をぼんやりと眺める。

「……わたくしはルイの気持ちには応えられませんでした。あの方の想いは大きすぎて……苦しい事ばかりでした。それでも婚約相手を決める権利はわたくしにはありません。だからこれからも苦しいのだと思っていました」

 ゆっくりと顔を上げてマリアを見つめる。嬉しそうな顔はどこか安心した様に感じられて、私の中から恐怖が消えて行く。

「わ、私……マリアを守る騎士ナイトになります!」

 立ち上がってマリアの手を握る。
 
「エマ……?」

 不思議そうに私を見上げる顔をしっかりと見つめて、私は想いを言葉にしていく。
 
「どんな事があっても、マリアを守れるように強くなるから……だから……」

 一直線にマリアを見つめたまま、緊張して上手く言葉にできない。手が震えてしまって、手の握り方が合っているのかも分からなくなってしまう。
 それでも、初めて会った時から、私にとってマリアは大切な人だから。

「はい、よろしくおねがいしますわ」

 マリアは私と視線を合わせる様に立ち上がって、私の手を握り返してくれた。
 身体が震えてしまいそうな位に嬉しくて、マリアの緩んだ笑顔を見つめていると頬が熱くなっていく。
 見つめ合った視線の先から幸福が感じられて、マリアの澄んだピンク色の瞳が綺麗だと見つめ続けて。

 ――バン

 勢いよく開いた家のドアに私は慌ててマリアの手を離してドアを見る。

「あ、ごめんね。邪魔しちゃった」

 ドアを開けた女の子は私たちを見て呟いた後、堂々と家に入って来て、私たちの向かいのソファに座った。

「どうぞ続けて」

 驚いたまま固まる私たちを気にせずに、女の子はソファでくつろぎ始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ
ファンタジー
 一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。 小説家になろう様でも投稿をしております。

処理中です...