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第八章 消えていく人たち
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「何で背景かっていうと、あの人たちが話していることは自分に関することだけで、この国とか社会とかみんなに共通の情報を提供できないからよ。企業や国や学校、みんなに共通の世の中のしくみの一部でしょ。あの人たちはそれを口に出せないの。」
「口に出せないって・・・ なんで? あの人たちはそういうしくみことが何もわからないっていうこと?」
「あの人たちには、わからないっていうより、そういう社会のしくみそのもの存在しないっていうことだと思う。あの人たちを中心とした背景は、私たちが日頃接する必要のない社会のしくみまで完璧に構築された背景じゃないっていうことじゃないかしら。クレープ屋さんもなくなっちゃったんでしょ。あの人たちだけが背景っていうわけじゃなくて、あの人たちが存在する街の風景っていうのか、あの人たちを含むここのほんの小さなこの町が社会がすべてで、それが背景っていうことなんでしょうね。」
「そのほんの小さな社会を取り巻くずっと大きな社会については、背景が用意されていないということね。本当に存在する現実の社会っていうものは、ほんの小さな町の出来事でもその背後には大きな国や世界や悠久の歴史も背景にあるからね。フィクションの世界のように、その出来事の周囲はきちんと背景として描くけど、そのまたずっと背後の世界や歴史まで完璧に構築することなんてできないからね。」
「そう、だから構築されている背景以上の世の中のことなんて話せないのよ。それにアドリブで答えることもできない。ここはどこ?って聞けば、誰もが同じ答えをしなきゃならないのにアドリブではそれができない。適当に答えたら背景同士が矛盾してしまう。だから答えられなくて、それをしつこく問われると消滅せざるを得ないっていうことかしら。」
「服のサイズとかは、自分だけのことだから背景同士の口裏合わせはいらないっていうことか。だから、背景は平気で好きなように言える。だから消滅しない。」
「プライベートなことをしつこく聞いて消滅したのではなくて、背景の背後にある社会のしくみにまで踏み込んで聞いたので消滅してしまったっていうことよ。」
「あの人たちに触れることができなかったっていうことは、彼女たちが単なる背景であって実態のある人間じゃないから触れることができなかったっていうことかしら。でも、そうしたらこのコーヒーショップだって背景でしょ? でもちゃんとテーブルは触れるしコーヒーも飲めるし・・・」
「ということは、この世界はフィクションていうこと? じゃあ、私たちは一体何なの? 何で私たちのような具体的な生身の人間がここにいるの? それがわからない。」
「そうなの。この世界のしくみはだんだんわかってきたんだけど、何で私たちがいるのかっていうことが疑問。でも、自分が実態だということは真実だし、周囲がフィクションということは、私たちがフィクションの世界の主人公ということになるんじゃないかと。」
「どういう世界の主人公なの? 私たちだけが実態ということは、私たちの想像の世界ということ?」
「そう、何となくそう感じる。自分たちの想念が実態化したんじゃないかと。でも、何で自分以外にあなたを認識できるの? なんで私たち二人っきりなの? 」
「いや二人だけじゃない。もう一人・・・」
「その人が鍵をにぎっているんじゃないの?」
「あのリーダーね。」
「リーダーを調べてみない?」
「何を?」
「とりあえず、あのリーダーが働いている場所やどこに住んでいるのか調べるのよ。」
「どうやって?」
「私たちリーダーに会うでしょ。しょっちゅうじゃないけど思わぬ時に突然。」
「そうね、だけど長いこと会わないってこともない。でも私たちが二人でいるときには絶対現われない・・・」
「そうよ、私たち、ちょっと離れていかにも一人ですって感じで町の中を歩いてみたらどうかしら。そして、私たちのどちらかにリーダーが接触してくるんじゃないかしら。それを見ていたほうがリーダーを追いかけるの。そしてどこにいるのか突き止める。」
「そんなにうまくいくのかしら。」
「まあ、とにかくやってみましょう。」
「口に出せないって・・・ なんで? あの人たちはそういうしくみことが何もわからないっていうこと?」
「あの人たちには、わからないっていうより、そういう社会のしくみそのもの存在しないっていうことだと思う。あの人たちを中心とした背景は、私たちが日頃接する必要のない社会のしくみまで完璧に構築された背景じゃないっていうことじゃないかしら。クレープ屋さんもなくなっちゃったんでしょ。あの人たちだけが背景っていうわけじゃなくて、あの人たちが存在する街の風景っていうのか、あの人たちを含むここのほんの小さなこの町が社会がすべてで、それが背景っていうことなんでしょうね。」
「そのほんの小さな社会を取り巻くずっと大きな社会については、背景が用意されていないということね。本当に存在する現実の社会っていうものは、ほんの小さな町の出来事でもその背後には大きな国や世界や悠久の歴史も背景にあるからね。フィクションの世界のように、その出来事の周囲はきちんと背景として描くけど、そのまたずっと背後の世界や歴史まで完璧に構築することなんてできないからね。」
「そう、だから構築されている背景以上の世の中のことなんて話せないのよ。それにアドリブで答えることもできない。ここはどこ?って聞けば、誰もが同じ答えをしなきゃならないのにアドリブではそれができない。適当に答えたら背景同士が矛盾してしまう。だから答えられなくて、それをしつこく問われると消滅せざるを得ないっていうことかしら。」
「服のサイズとかは、自分だけのことだから背景同士の口裏合わせはいらないっていうことか。だから、背景は平気で好きなように言える。だから消滅しない。」
「プライベートなことをしつこく聞いて消滅したのではなくて、背景の背後にある社会のしくみにまで踏み込んで聞いたので消滅してしまったっていうことよ。」
「あの人たちに触れることができなかったっていうことは、彼女たちが単なる背景であって実態のある人間じゃないから触れることができなかったっていうことかしら。でも、そうしたらこのコーヒーショップだって背景でしょ? でもちゃんとテーブルは触れるしコーヒーも飲めるし・・・」
「ということは、この世界はフィクションていうこと? じゃあ、私たちは一体何なの? 何で私たちのような具体的な生身の人間がここにいるの? それがわからない。」
「そうなの。この世界のしくみはだんだんわかってきたんだけど、何で私たちがいるのかっていうことが疑問。でも、自分が実態だということは真実だし、周囲がフィクションということは、私たちがフィクションの世界の主人公ということになるんじゃないかと。」
「どういう世界の主人公なの? 私たちだけが実態ということは、私たちの想像の世界ということ?」
「そう、何となくそう感じる。自分たちの想念が実態化したんじゃないかと。でも、何で自分以外にあなたを認識できるの? なんで私たち二人っきりなの? 」
「いや二人だけじゃない。もう一人・・・」
「その人が鍵をにぎっているんじゃないの?」
「あのリーダーね。」
「リーダーを調べてみない?」
「何を?」
「とりあえず、あのリーダーが働いている場所やどこに住んでいるのか調べるのよ。」
「どうやって?」
「私たちリーダーに会うでしょ。しょっちゅうじゃないけど思わぬ時に突然。」
「そうね、だけど長いこと会わないってこともない。でも私たちが二人でいるときには絶対現われない・・・」
「そうよ、私たち、ちょっと離れていかにも一人ですって感じで町の中を歩いてみたらどうかしら。そして、私たちのどちらかにリーダーが接触してくるんじゃないかしら。それを見ていたほうがリーダーを追いかけるの。そしてどこにいるのか突き止める。」
「そんなにうまくいくのかしら。」
「まあ、とにかくやってみましょう。」
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