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第一章 冒険の始まり
2日目 ダンドス (午後)
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「ここよ。入って。」
案内された部屋の壁には、絵が何枚もかけられていて、いろんな場所の風景が描かれていた。
「すごい素敵な絵ですね…絵を集めるのが趣味なんですか?」
「んー、趣味ってほどでもないけど、コレクションしてるのよ。」
「さあ、座って。今お茶を入れてくるから。」
「ありがとうございます。」
この部屋のソファはなかなか座り心地が良くて、いくらでも座っていられそうだった。
「今持ってきたわよ。」
2、3分すると急須と、コップを2つ持ってきた。
「このお茶、南の方でしか、採れない茶葉を使っててね、なかなか美味しいらしいわよ。」
「ありがとうございます。親切にしてもらって。」
「いいわよ。そういえば名前言ってなかったわね。私はアロマよ。よろしくね。」
「それで、どうして迷子になったのか聞きたいわ。」
「実はですね…」
僕はここに来た経緯をありのままに話した。
こうして話すのも2回目なので、スラスラと話せた。
「ふーん、それは大変だったわねぇ。私はちょっと面白いと思うわ。なんというかロマンチックで。」
「そうですかね。」
「いいわ。準備が整うまでうちで面倒見てあげる。」
「あ、ありがとうございます!」
その後しばらく、アロマさんと話をした。
あそこのパン屋さんが美味しいだとか、あの通りは夜暗くて怖いだとか、街のいろんなことを教えてもらった。
「よし、それじゃあ部屋、案内するわね。」
僕とアロマさんのお茶がちょうどなくなったとき、アロマさんがソファを立ち、部屋を出た。ちょうどその時、外で、鐘のゴーンゴーンという音がした。
12時の知らせというやつだろうか。
「はい。」
アロマさんに続き、部屋を出る。
しばらく歩いて階段を、登る。二階の廊下をしばらく歩いてある部屋の前で止まった。
「こことかどう?一階はあいにく開いてなくてね。この部屋は好きに使っていいわよ。なにかあったら呼んでね。」
「ありがとうございます!」
【2007室】とかかれた木の札がついた鍵を渡され、アロマさんが去っていった。
中はシンプルで、玄関の奥にはベットと机と椅子、物置が置いてあるだけだった。
泊まるだけなら充分な設備でさらに自分はタダで泊まらせてもらっているので、十分すぎるほどだ。
鍵を閉め、ベットに横になった。朝から歩いていたのでまあまあ疲れていた。
どんどん目が閉じていき、ぐっすり眠っていく…と思いきや、目はしっかりと開いている。
そうだ、ゴントさんの家を出てから、ご飯を食べてない。時計がないのでわからないが時間的には、正午は過ぎているだろう。
部屋を出て、一階の受付に行く。
「アロマさん呼んでもらえますか…」
しばらくすると、受付の人がアロマさんを連れてきた。
「あら、早いわね。どうしたの?」
「ちょっとお腹空いてしまって。」
「あぁ、そういうことね。」
「それなら街のお店で食べてきたら?」
と言って、ポケットから硬貨を取り出した。
50Vと描かれている硬貨を2枚渡された。
「これは?」
「これはバリュっていうお金でね、たいていのものだったらそれで買えるわ。」
「ここの街の地図を貸してあげるから、探検を兼ねて、どこかで食べておいで。」
「はい、ありがとうございます!」
地図と硬貨をもって、宿屋をあとにした。
それから10分ほど歩き、アロマさんが言っていた、パン屋さんを見つけた。外からでもパンのいいにおいがして、 そのにおいにつられるようにして、中に入っていった。 たなに、ペンが並べられていて、奥で窯でパンを 焼いているのが見えた。
「いらっしゃいませ。ご注文はいかが なさいますか?」
「えーと、おすすめのパンはどれですか?」
「こちらの‘’うずまきパン‘’がおすすめです。開店当時からありまして、とても 人気があるんですよ。」
店員さんが紹介してくれたのは、片手でなんとかつかめそうな大きさのおいしそうなパンだった。
「じゃあ、それにします。」
お会計は10Vになります、といわれ、50Vと描かれた硬貨を1枚だす。10Vと描かれた硬貨が四枚返ってくる。
パンを受け取り、店の外のテラス席に座る。
他にお客さんがいたが、パンを買ったらそのままでていった。
「いただきます。」
パンを袋から取り出し、かじりつく。
「うまい!」
もっちりとした生地で、小麦の香りがして、とてもいい。
「ごちそうさまでした。」
パンを食べ終わり、店を出て、宿屋に戻ることにした。さっき眠れなかったので今度こそ休息しようと思った。
宿屋に着いて、アロマさんに案内された道をたどって、部屋にいく。ガチャッと鍵を開けて、中に入る。鍵を閉めてからベットに横になる。
今度はスッと、眠りについた。
「ふぁ~~」
けっこう寝た感じがして、窓をのぞくと、夕日が見えていた。もう夕方か。
さっきアロマさんにもらった硬貨が残っていたので、外食することにした。とは言っても、この街のことはよく知らないので、パン屋さんにいくときに見つけた、レストランに行くことにした。
アロマさんにもらった地図を見ながら、なんとか着くことができた。
店に入って奥の席につく。
テーブルに、メニューがあったが何を頼めばいいか、よくわかんなかったので、店員さんを呼んで、メニューの上方にあった、何やらオススメ的なものを指差した。
しばらくして、ハンバーグのようなものを持ってきてくれた。
ナイフをいれると、肉汁がたくさん出てきて、口にいれると、ジュワッと肉汁が広がり、本当に美味しかった。
まさかこんなところで美味しいものが食べれるとは思ってもいなかった。
ハンバーグみたいなのを食べ終わり、50Vと描かれた硬貨と10Vと描かれた硬貨を1枚ずつ、店の人に渡した。
よし、帰ろうと思い、地図を広げたが、今どこにいるのか、わからなくなり、どうやって変えればいいのか分からなくなってしまった。
「やばい…どうしよう…」
ここで一夜過ごすのかと思っていたとき、心配したアロマさんが迎えに来てくれた。こうして無事に宿屋に戻れて、裏世界2日目を終えたのであった。
ひとくちコラム 「V」
Vとは、裏世界で使える通貨で、1V、20円くらいの価値があるぞ!
案内された部屋の壁には、絵が何枚もかけられていて、いろんな場所の風景が描かれていた。
「すごい素敵な絵ですね…絵を集めるのが趣味なんですか?」
「んー、趣味ってほどでもないけど、コレクションしてるのよ。」
「さあ、座って。今お茶を入れてくるから。」
「ありがとうございます。」
この部屋のソファはなかなか座り心地が良くて、いくらでも座っていられそうだった。
「今持ってきたわよ。」
2、3分すると急須と、コップを2つ持ってきた。
「このお茶、南の方でしか、採れない茶葉を使っててね、なかなか美味しいらしいわよ。」
「ありがとうございます。親切にしてもらって。」
「いいわよ。そういえば名前言ってなかったわね。私はアロマよ。よろしくね。」
「それで、どうして迷子になったのか聞きたいわ。」
「実はですね…」
僕はここに来た経緯をありのままに話した。
こうして話すのも2回目なので、スラスラと話せた。
「ふーん、それは大変だったわねぇ。私はちょっと面白いと思うわ。なんというかロマンチックで。」
「そうですかね。」
「いいわ。準備が整うまでうちで面倒見てあげる。」
「あ、ありがとうございます!」
その後しばらく、アロマさんと話をした。
あそこのパン屋さんが美味しいだとか、あの通りは夜暗くて怖いだとか、街のいろんなことを教えてもらった。
「よし、それじゃあ部屋、案内するわね。」
僕とアロマさんのお茶がちょうどなくなったとき、アロマさんがソファを立ち、部屋を出た。ちょうどその時、外で、鐘のゴーンゴーンという音がした。
12時の知らせというやつだろうか。
「はい。」
アロマさんに続き、部屋を出る。
しばらく歩いて階段を、登る。二階の廊下をしばらく歩いてある部屋の前で止まった。
「こことかどう?一階はあいにく開いてなくてね。この部屋は好きに使っていいわよ。なにかあったら呼んでね。」
「ありがとうございます!」
【2007室】とかかれた木の札がついた鍵を渡され、アロマさんが去っていった。
中はシンプルで、玄関の奥にはベットと机と椅子、物置が置いてあるだけだった。
泊まるだけなら充分な設備でさらに自分はタダで泊まらせてもらっているので、十分すぎるほどだ。
鍵を閉め、ベットに横になった。朝から歩いていたのでまあまあ疲れていた。
どんどん目が閉じていき、ぐっすり眠っていく…と思いきや、目はしっかりと開いている。
そうだ、ゴントさんの家を出てから、ご飯を食べてない。時計がないのでわからないが時間的には、正午は過ぎているだろう。
部屋を出て、一階の受付に行く。
「アロマさん呼んでもらえますか…」
しばらくすると、受付の人がアロマさんを連れてきた。
「あら、早いわね。どうしたの?」
「ちょっとお腹空いてしまって。」
「あぁ、そういうことね。」
「それなら街のお店で食べてきたら?」
と言って、ポケットから硬貨を取り出した。
50Vと描かれている硬貨を2枚渡された。
「これは?」
「これはバリュっていうお金でね、たいていのものだったらそれで買えるわ。」
「ここの街の地図を貸してあげるから、探検を兼ねて、どこかで食べておいで。」
「はい、ありがとうございます!」
地図と硬貨をもって、宿屋をあとにした。
それから10分ほど歩き、アロマさんが言っていた、パン屋さんを見つけた。外からでもパンのいいにおいがして、 そのにおいにつられるようにして、中に入っていった。 たなに、ペンが並べられていて、奥で窯でパンを 焼いているのが見えた。
「いらっしゃいませ。ご注文はいかが なさいますか?」
「えーと、おすすめのパンはどれですか?」
「こちらの‘’うずまきパン‘’がおすすめです。開店当時からありまして、とても 人気があるんですよ。」
店員さんが紹介してくれたのは、片手でなんとかつかめそうな大きさのおいしそうなパンだった。
「じゃあ、それにします。」
お会計は10Vになります、といわれ、50Vと描かれた硬貨を1枚だす。10Vと描かれた硬貨が四枚返ってくる。
パンを受け取り、店の外のテラス席に座る。
他にお客さんがいたが、パンを買ったらそのままでていった。
「いただきます。」
パンを袋から取り出し、かじりつく。
「うまい!」
もっちりとした生地で、小麦の香りがして、とてもいい。
「ごちそうさまでした。」
パンを食べ終わり、店を出て、宿屋に戻ることにした。さっき眠れなかったので今度こそ休息しようと思った。
宿屋に着いて、アロマさんに案内された道をたどって、部屋にいく。ガチャッと鍵を開けて、中に入る。鍵を閉めてからベットに横になる。
今度はスッと、眠りについた。
「ふぁ~~」
けっこう寝た感じがして、窓をのぞくと、夕日が見えていた。もう夕方か。
さっきアロマさんにもらった硬貨が残っていたので、外食することにした。とは言っても、この街のことはよく知らないので、パン屋さんにいくときに見つけた、レストランに行くことにした。
アロマさんにもらった地図を見ながら、なんとか着くことができた。
店に入って奥の席につく。
テーブルに、メニューがあったが何を頼めばいいか、よくわかんなかったので、店員さんを呼んで、メニューの上方にあった、何やらオススメ的なものを指差した。
しばらくして、ハンバーグのようなものを持ってきてくれた。
ナイフをいれると、肉汁がたくさん出てきて、口にいれると、ジュワッと肉汁が広がり、本当に美味しかった。
まさかこんなところで美味しいものが食べれるとは思ってもいなかった。
ハンバーグみたいなのを食べ終わり、50Vと描かれた硬貨と10Vと描かれた硬貨を1枚ずつ、店の人に渡した。
よし、帰ろうと思い、地図を広げたが、今どこにいるのか、わからなくなり、どうやって変えればいいのか分からなくなってしまった。
「やばい…どうしよう…」
ここで一夜過ごすのかと思っていたとき、心配したアロマさんが迎えに来てくれた。こうして無事に宿屋に戻れて、裏世界2日目を終えたのであった。
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