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第四話
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学園が始まってからしばらくの間は平穏に毎日が過ぎていった。
もちろんエメラルダはビショップを毎日侍女たちから得た情報を使って見つめており、至福の時間を過ごしていた。
「はぁ・・・ビショップ様。今日も素敵です。」
けれど最近気になるのは、ビショップの周りにラシッドが、あとおまけでレオナードが居る事である。
別にいいのだ。
自分はビショップが毎日見つめられればそれでいい。だが、ラシッドがいるという事はレオナードがいるということで、異様にヒロインオレットとの遭遇率が高いのである。
今日もビショップがラシッドとレオナードと共に乗馬部に顔を出しているのを定位置である二階のカフェテラスから眺めていると、同じようにオレットが現れた。
オレットもこちらに気づくと驚き、そして何事もなかったように席に着く。
二人はお互いに意識しながらも、同じように愛しい人を見つめていた。
そしてお互いに、何故であろうか、既視感を覚えるのである。
エメラルダは静かに立ち上がると、オレットに声をかける決意をした。
「あの、ごきげんよう。私は伯爵家令嬢エメラルダ・グリーンと申します。少しお話をしない?」
「あ、ご、ごきげにょう。いえ、ごきげんよう。私はオレットです。あ、えっと。はい。あのここどうぞ。」
目の前の席に促されそこに座ると、エメラルダは静かに呟いた。
「黄昏のキミ・・・・」
その言葉にオレットは目を丸くすると、頷いて言った。
「乙女ゲーム。」
「私は悪役令嬢。」
「私はヒロイン。」
二人の中で既視感が繋がり、そして二人は熱く握手をしていた。
「良かったです。本当に、良かった。悪役令嬢のエメラルダに勝てる気がしなかったから、本当に良かったです。」
「こちらこそ良かったわ。私断罪されるなんて絶対に嫌だもの。」
「いやいや、断罪なんてしませんよ。それに、エメラルダ様を断罪できるのって、もはやこの国の王様くらいしかいませんよ。いや・・・むしろ王様もお妃様を敵に回したくないから出来ないか?」
「ふふふ。私頑張ったの。」
「いや、頑張りすぎじゃないですか?だって、今のままだと、エメラルダ様、ビショップ様との婚約よりもラシッド様との婚約の方が有力じゃないですか。」
「え?」
エメラルダがきょとんと眼を丸くすると、驚いたようにオレットは答えた。
「知らないんですか?じゃあ、噂だけなのかな。皆言っていますよ。ラシッド様の婚約者にはエメラルダ様の方がふさわしいんじゃないかって。」
その言葉にエメラルダは固まった。
ラシッドの婚約者?
私が?
思わず乗馬をしているラシッドに視線を送ると、ビショップがこちらを見た気がした。
「ば・・・馬鹿な事を言わないで。そんなのバカげた噂だわ。私は、ビショップ様の婚約者よ。」
「まぁそうですよね。今更ね。あーでも良かったです。本当に。エメラルダ様これから仲良くしてくれますか?」
「え?えぇ。でも、一目の少ない所限定だけれどいいかしら?私って変に目立つから。」
「あ、それでいいです。ふふ。嬉しいです。」
それからしばらくの間黄昏のキミの物語についてや、好きなキャラクターについてなど話をした。
上下関係のない、他愛ない会話は楽しかったけれど、オレットの言った一言がずっと頭の中を巡り、不安がじわじわと胸の中に広がっていった。
もちろんエメラルダはビショップを毎日侍女たちから得た情報を使って見つめており、至福の時間を過ごしていた。
「はぁ・・・ビショップ様。今日も素敵です。」
けれど最近気になるのは、ビショップの周りにラシッドが、あとおまけでレオナードが居る事である。
別にいいのだ。
自分はビショップが毎日見つめられればそれでいい。だが、ラシッドがいるという事はレオナードがいるということで、異様にヒロインオレットとの遭遇率が高いのである。
今日もビショップがラシッドとレオナードと共に乗馬部に顔を出しているのを定位置である二階のカフェテラスから眺めていると、同じようにオレットが現れた。
オレットもこちらに気づくと驚き、そして何事もなかったように席に着く。
二人はお互いに意識しながらも、同じように愛しい人を見つめていた。
そしてお互いに、何故であろうか、既視感を覚えるのである。
エメラルダは静かに立ち上がると、オレットに声をかける決意をした。
「あの、ごきげんよう。私は伯爵家令嬢エメラルダ・グリーンと申します。少しお話をしない?」
「あ、ご、ごきげにょう。いえ、ごきげんよう。私はオレットです。あ、えっと。はい。あのここどうぞ。」
目の前の席に促されそこに座ると、エメラルダは静かに呟いた。
「黄昏のキミ・・・・」
その言葉にオレットは目を丸くすると、頷いて言った。
「乙女ゲーム。」
「私は悪役令嬢。」
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二人の中で既視感が繋がり、そして二人は熱く握手をしていた。
「良かったです。本当に、良かった。悪役令嬢のエメラルダに勝てる気がしなかったから、本当に良かったです。」
「こちらこそ良かったわ。私断罪されるなんて絶対に嫌だもの。」
「いやいや、断罪なんてしませんよ。それに、エメラルダ様を断罪できるのって、もはやこの国の王様くらいしかいませんよ。いや・・・むしろ王様もお妃様を敵に回したくないから出来ないか?」
「ふふふ。私頑張ったの。」
「いや、頑張りすぎじゃないですか?だって、今のままだと、エメラルダ様、ビショップ様との婚約よりもラシッド様との婚約の方が有力じゃないですか。」
「え?」
エメラルダがきょとんと眼を丸くすると、驚いたようにオレットは答えた。
「知らないんですか?じゃあ、噂だけなのかな。皆言っていますよ。ラシッド様の婚約者にはエメラルダ様の方がふさわしいんじゃないかって。」
その言葉にエメラルダは固まった。
ラシッドの婚約者?
私が?
思わず乗馬をしているラシッドに視線を送ると、ビショップがこちらを見た気がした。
「ば・・・馬鹿な事を言わないで。そんなのバカげた噂だわ。私は、ビショップ様の婚約者よ。」
「まぁそうですよね。今更ね。あーでも良かったです。本当に。エメラルダ様これから仲良くしてくれますか?」
「え?えぇ。でも、一目の少ない所限定だけれどいいかしら?私って変に目立つから。」
「あ、それでいいです。ふふ。嬉しいです。」
それからしばらくの間黄昏のキミの物語についてや、好きなキャラクターについてなど話をした。
上下関係のない、他愛ない会話は楽しかったけれど、オレットの言った一言がずっと頭の中を巡り、不安がじわじわと胸の中に広がっていった。
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