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第五話
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エメラルダはオレットと仲が良くなり、よくカフェにてビショップとレオナードを観察するようになった。
オレットから聞いた噂はどうやらまだ広がっているようであり、エメラルダは仲の良い令嬢らには違うとはっきりと伝え、それを他の者達にも伝えてほしいと話してある。
二人きりの時には気が抜けるから助かると思いながらも、最近はよくビショップの婚約者でいつづける為には他に何をすればいいのだろうと考えるようになった。
そしてその日は王城に王妃様に誘われてお茶会に向かった時であった。
途中で国王陛下とラシッド殿下、それにビショップ様が現れて大切な話があると執務室に案内をされた。
嫌な予感が胸をよぎり、心臓がバクバクと鳴るのを必死で抑えていると、国王陛下が静かに口を開いた。
「エメラルダよ。今日は妃との茶会だったのにすまんの。」
「いえ。国王陛下。お気遣いありがとうございます。」
ラシッドがこちらを見て先ほどから楽しそうににこにことしているのが気になる。それに比べてビショップが無表情なのも気になる。
嫌な予感しかしない。
「そのな、ラシッドから学園内ではエメラルダをラシッドの妃にした方が良いのではないかという話題が上がっているそうなのだが、知っているかの?」
「・・・はい。存じてはいます。」
やはりその話だったかと、エメラルダは早々に手を打てなかったことを後悔した。自分の事だけに、オレットに聞くまで噂がある事自体知らなかったのだ。
「それで、エメラルダはそれについてどう考える?」
「は?・・いえ、ただの噂にすぎないかと。」
そこでラシッドが楽しそうに口を開いた。
「そうかな?私は事実にしてもいいのではないかと思っているんだけれど?」
その言葉にエメラルダは固まった。
何を言っているのであろうか。
「殿下、お戯れはおやめくださいませ。」
「そう?案外エメラルダ嬢もそれを狙っているのではないの?文武両道、傾国の乙女のエメラルダ・グリーン。第二王子の婚約者が何故そんなにも高みを目指すのか。国母を狙っているからではないのかな?」
「兄上。言葉が過ぎます。」
ビショップが厳しい表情でラシッドに反論するがそれをすぐさまラシッドは押さえつけるように言った。
「ビショップ。黙っていろ。私は父上や母上のようにキミと仲が良すぎるわけではないからね。公平な目で見ているつもりだ。それであっても、キミの行動は不可思議だ。オレット嬢と最近仲がいいみたいだし、彼女を使ってその噂を流し、自分が私の婚約者になり替わろうとしているのではないのか?」
あまりにも冷たい良いように国王は慌ててそれを諫めにかかった。
「これこれラシッド。エメラルダをいじめるでない。それに、エメラルダがお前の婚約者になりたいと言うならば、それも良いではないか。まぁ後ろ盾も考えるとフィリアナ嬢が正妃、エメラルダ嬢が側妃という形になるであろうが・・・え?」
「え?」
「え?」
国王、ラシッド、ビショップが硬直した。
「わ・・・・わたしは・・・・。」
大粒の涙が、エメラルダの瞳からポタポタと零れ落ちており、その様子に男三人、この国のトップ達は驚きのあまり硬直して動けない。
あまりに美しい泣き顔だった。
エメラルドの瞳から、流れる落ちる涙はきらきらと輝き、まるで真珠のようであった。
侍女らは静かに行動し、エメラルダの元へとさっとハンカチを持って行ったのだが、エメラルダは動揺のあまり声を上げて泣き始めた。
「わ、私は・・・私は・・・ビショップ様が好きなのです。愛しているのです。嫌です。私は・・・ビショップ様のお嫁さんになりたいのです・・・ふぇ・・・ふ・・・えぇ・・。」
ビショップはその言葉に衝撃を受け、そしてエメラルダを食い入るように見つめた。
オレットから聞いた噂はどうやらまだ広がっているようであり、エメラルダは仲の良い令嬢らには違うとはっきりと伝え、それを他の者達にも伝えてほしいと話してある。
二人きりの時には気が抜けるから助かると思いながらも、最近はよくビショップの婚約者でいつづける為には他に何をすればいいのだろうと考えるようになった。
そしてその日は王城に王妃様に誘われてお茶会に向かった時であった。
途中で国王陛下とラシッド殿下、それにビショップ様が現れて大切な話があると執務室に案内をされた。
嫌な予感が胸をよぎり、心臓がバクバクと鳴るのを必死で抑えていると、国王陛下が静かに口を開いた。
「エメラルダよ。今日は妃との茶会だったのにすまんの。」
「いえ。国王陛下。お気遣いありがとうございます。」
ラシッドがこちらを見て先ほどから楽しそうににこにことしているのが気になる。それに比べてビショップが無表情なのも気になる。
嫌な予感しかしない。
「そのな、ラシッドから学園内ではエメラルダをラシッドの妃にした方が良いのではないかという話題が上がっているそうなのだが、知っているかの?」
「・・・はい。存じてはいます。」
やはりその話だったかと、エメラルダは早々に手を打てなかったことを後悔した。自分の事だけに、オレットに聞くまで噂がある事自体知らなかったのだ。
「それで、エメラルダはそれについてどう考える?」
「は?・・いえ、ただの噂にすぎないかと。」
そこでラシッドが楽しそうに口を開いた。
「そうかな?私は事実にしてもいいのではないかと思っているんだけれど?」
その言葉にエメラルダは固まった。
何を言っているのであろうか。
「殿下、お戯れはおやめくださいませ。」
「そう?案外エメラルダ嬢もそれを狙っているのではないの?文武両道、傾国の乙女のエメラルダ・グリーン。第二王子の婚約者が何故そんなにも高みを目指すのか。国母を狙っているからではないのかな?」
「兄上。言葉が過ぎます。」
ビショップが厳しい表情でラシッドに反論するがそれをすぐさまラシッドは押さえつけるように言った。
「ビショップ。黙っていろ。私は父上や母上のようにキミと仲が良すぎるわけではないからね。公平な目で見ているつもりだ。それであっても、キミの行動は不可思議だ。オレット嬢と最近仲がいいみたいだし、彼女を使ってその噂を流し、自分が私の婚約者になり替わろうとしているのではないのか?」
あまりにも冷たい良いように国王は慌ててそれを諫めにかかった。
「これこれラシッド。エメラルダをいじめるでない。それに、エメラルダがお前の婚約者になりたいと言うならば、それも良いではないか。まぁ後ろ盾も考えるとフィリアナ嬢が正妃、エメラルダ嬢が側妃という形になるであろうが・・・え?」
「え?」
「え?」
国王、ラシッド、ビショップが硬直した。
「わ・・・・わたしは・・・・。」
大粒の涙が、エメラルダの瞳からポタポタと零れ落ちており、その様子に男三人、この国のトップ達は驚きのあまり硬直して動けない。
あまりに美しい泣き顔だった。
エメラルドの瞳から、流れる落ちる涙はきらきらと輝き、まるで真珠のようであった。
侍女らは静かに行動し、エメラルダの元へとさっとハンカチを持って行ったのだが、エメラルダは動揺のあまり声を上げて泣き始めた。
「わ、私は・・・私は・・・ビショップ様が好きなのです。愛しているのです。嫌です。私は・・・ビショップ様のお嫁さんになりたいのです・・・ふぇ・・・ふ・・・えぇ・・。」
ビショップはその言葉に衝撃を受け、そしてエメラルダを食い入るように見つめた。
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