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七話 聖女の微笑
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「こん・・やく・・しゃ・・・」
レナの言葉に、エミリアは呆然とダレンを見上げていた。
ダレンは眉間にしわを寄せると、レナを睨みつけて言った。
「聖女殿。それは・・」
だが次の瞬間国王がその言葉をさえぎって声を上げた。
「沈まれ。聖女レナよ。邪悪な気配とはどういう事だ?」
レナはにっこりとほほ笑みを浮かべると、国王の前に堂々と立ちはっきりとした声で言った。
「闇の魔力はしっかりと封印したわ。けれど、あの女から邪悪な気配がするの。聖女だからきっと分かるのね。あの女はきっとこの国に悪い事を呼び寄せるわ。邪悪な存在なのよ。」
その言葉に、ダレンと同行していた護衛騎士らが驚いたように顔を上げるが、国王の前で発言に異を唱えるわけにもいかずに唇をかみしめている。
国王は驚いたようにエミリアに視線を向けた。
レナはその様子にくすりと笑うと言った。
「国王陛下は、闇を封印した聖女を疑うの?誰のおかげで、国が救われたと思っているのかしら?」
その言いように家臣らは眉を顰め、これが本当に聖女かと驚いたように顔を歪める。
「それ・・は・・」
「異世界から突然呼び出されたけれど、ちゃんと闇は封印してあげたわ。ちゃんとご褒美はもらわないとね。私疲れたわ。ゆっくりお風呂に入って、ご馳走を食べて、これからはダレンのお嫁さんとして、のんびりお姫様として過ごさせてもらうわね。あぁ、ちゃんとその邪悪な女、どうにかしてね。さぁ話はおしまい。そこの人。私を部屋に案内して頂戴。」
そういうとレナは楽しげににっこりと笑みを浮かべると、近くにいた騎士にそう声を掛けた。
騎士は驚いたが、国王と視線で頷き合うと、レナを別室へと案内していくのであった。
レナが去った後、その場はしんと静まり返り、国王の深いため息が聞こえた。
ダレンはエミリアを助け起こそうと手を差し伸べようとしたが、それを、エミリアの父が制し、首を横に振った。
「殿下・・・今、我が娘に触れるべきではございません。」
「何を?」
ダレンの困惑する様子に、ウォルターは首を横に振ると視線を巡らせ、そしてエミリアを助け起こすと国王へと頭を下げた。
その様子を見たダレンは慌てて国王へと声を上げた。
「国王陛下!聖女レナはきっと何か勘違いをしたのです!エミリアから邪悪な気配がするなど・・・そんなわけがございません!」
皆が、国王の言葉を待つ。
異世界から来た聖女。
その力を示し、闇を封印した。
それは事実。
今まで聖女が問題を起こした前例などなく、だからこそ国王は苦々しげに顔を歪めると、立ち上がり、声を上げた。
「エミリア嬢を牢へと入れよ。」
「父上!!!!」
ダレンの悲痛な声が響き、騎士らはエミリアの前に立つが、ウォルターがそれを制し、震えて青ざめる娘を抱き上げると言った。
「私が連れて行く。牢へ案内してくれ。」
「ロラン公爵!エミリアを連れていく必要はない!」
ダレンが声を上げるが、ウォルターは首を横に振り、騎士らに先導されて歩いていく。
エミリアは、がたがたと震えながら父にしがみつき、そしてダレンに視線を向けた。
ダレンは顔を青ざめさせ、エミリアを見つめていた。
エミリアは、突然訪れた別れに、震えながらも唇を動かした。
『おかえりなさい。』
声は出なかった。けれど、その唇の動きを見て、ダレンははっとしたように頷き、そして唇を噛むとまっすぐにエミリアを見つめた。
エミリアは、震えながらも、ダレンや騎士らが無事に帰ってきてくれたことを感謝し、そして父の胸に今後の事を思い、しがみつくしかなかった。
レナの言葉に、エミリアは呆然とダレンを見上げていた。
ダレンは眉間にしわを寄せると、レナを睨みつけて言った。
「聖女殿。それは・・」
だが次の瞬間国王がその言葉をさえぎって声を上げた。
「沈まれ。聖女レナよ。邪悪な気配とはどういう事だ?」
レナはにっこりとほほ笑みを浮かべると、国王の前に堂々と立ちはっきりとした声で言った。
「闇の魔力はしっかりと封印したわ。けれど、あの女から邪悪な気配がするの。聖女だからきっと分かるのね。あの女はきっとこの国に悪い事を呼び寄せるわ。邪悪な存在なのよ。」
その言葉に、ダレンと同行していた護衛騎士らが驚いたように顔を上げるが、国王の前で発言に異を唱えるわけにもいかずに唇をかみしめている。
国王は驚いたようにエミリアに視線を向けた。
レナはその様子にくすりと笑うと言った。
「国王陛下は、闇を封印した聖女を疑うの?誰のおかげで、国が救われたと思っているのかしら?」
その言いように家臣らは眉を顰め、これが本当に聖女かと驚いたように顔を歪める。
「それ・・は・・」
「異世界から突然呼び出されたけれど、ちゃんと闇は封印してあげたわ。ちゃんとご褒美はもらわないとね。私疲れたわ。ゆっくりお風呂に入って、ご馳走を食べて、これからはダレンのお嫁さんとして、のんびりお姫様として過ごさせてもらうわね。あぁ、ちゃんとその邪悪な女、どうにかしてね。さぁ話はおしまい。そこの人。私を部屋に案内して頂戴。」
そういうとレナは楽しげににっこりと笑みを浮かべると、近くにいた騎士にそう声を掛けた。
騎士は驚いたが、国王と視線で頷き合うと、レナを別室へと案内していくのであった。
レナが去った後、その場はしんと静まり返り、国王の深いため息が聞こえた。
ダレンはエミリアを助け起こそうと手を差し伸べようとしたが、それを、エミリアの父が制し、首を横に振った。
「殿下・・・今、我が娘に触れるべきではございません。」
「何を?」
ダレンの困惑する様子に、ウォルターは首を横に振ると視線を巡らせ、そしてエミリアを助け起こすと国王へと頭を下げた。
その様子を見たダレンは慌てて国王へと声を上げた。
「国王陛下!聖女レナはきっと何か勘違いをしたのです!エミリアから邪悪な気配がするなど・・・そんなわけがございません!」
皆が、国王の言葉を待つ。
異世界から来た聖女。
その力を示し、闇を封印した。
それは事実。
今まで聖女が問題を起こした前例などなく、だからこそ国王は苦々しげに顔を歪めると、立ち上がり、声を上げた。
「エミリア嬢を牢へと入れよ。」
「父上!!!!」
ダレンの悲痛な声が響き、騎士らはエミリアの前に立つが、ウォルターがそれを制し、震えて青ざめる娘を抱き上げると言った。
「私が連れて行く。牢へ案内してくれ。」
「ロラン公爵!エミリアを連れていく必要はない!」
ダレンが声を上げるが、ウォルターは首を横に振り、騎士らに先導されて歩いていく。
エミリアは、がたがたと震えながら父にしがみつき、そしてダレンに視線を向けた。
ダレンは顔を青ざめさせ、エミリアを見つめていた。
エミリアは、突然訪れた別れに、震えながらも唇を動かした。
『おかえりなさい。』
声は出なかった。けれど、その唇の動きを見て、ダレンははっとしたように頷き、そして唇を噛むとまっすぐにエミリアを見つめた。
エミリアは、震えながらも、ダレンや騎士らが無事に帰ってきてくれたことを感謝し、そして父の胸に今後の事を思い、しがみつくしかなかった。
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