見える僕のこの世界の話 ~人に見えないモノが見える少年のお話~

かのん

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第八話

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 しばらく待っていると、健太と竜也が荷物を置いてから現れた。

「おまたせ。壱はここに荷物置いとけよ。」

「え?うん。でもいいの?」

 思わず僕がそう尋ねると、健太は首を傾げてうなずいた。

「もちろん。ほら、あっちの境内の裏の森で遊ぼうぜ。」

「ほら、行くぞ。」

 健太と竜也にせかされて僕は走った。

 境内の裏には、立派な木々がたくさん空に向かって伸びていて、そしてそこにはきらきらと光る何かがところどころにいた。

 それらは健太と竜也がくると嬉しそうに飛び跳ねている。

「俺達の秘密基地なんだ。」

「特別だからな?他の奴は連れてくるなよ。」

 二人にそう言われて、何だか、胸がいっぱいになった。

 少しだけ泣いてしまいそうな気持になったけれど、泣くわけにはいかないからぐっと堪えた。

 それから僕達は日が暮れるまで、おにごっこをしたり、かくれんぼをしたりして遊んだ。健太も竜也も足が速くて驚いたけれど、友達と一緒に遊ぶという事がこんなにも楽しいのだと、僕はすごく幸せだった。

「もう暗いなぁ。門限大丈夫?」

「俺達はここが家だもんなぁ。壱?」

 僕は、神社に灯りがともるのを見つめながら慌ててうなずいた。

「大丈夫だよ。門限ないから。」

「え?家族心配しないの?」

「バカ!」

 竜也は知っているのだろう。健太の口を慌てて抑える姿に僕は笑みを浮かべると首を横に振った。

「大丈夫だよ。ありがとう。なんか、気を使ってもらうの久しぶりだから嬉しい。」

「え?・・・どういう意味?」

 健太は首を傾げ、竜太は少し悲しそうに唇を尖らせた。

「悪かったよ。噂だけで判断して。だから、壱、そんな顔するなよ。」

「え?」

 自分が今どんな顔をしているかが分からなくて、どうして竜也がそう言ったのか分からなかった。

 もうすぐ日が完全に落ちるだろう。

 僕は荷物を持つと、健太と竜也にお礼を言った。

「今日はありがとう。」

 決して自分からまたねは言わない。

 出来ない約束はしない。

 すると、健太に腕を掴まれた。

「また、明日も遊べる?」

 それに竜也も同意するように言った。

「遊び足りないもんな。明日は土曜だし、いいだろ?」

 いいのだろうか。

 自分が一緒でも、嫌がったりしないだろうか。

 そろりと二人の顔を伺うと、二人はにっこりと笑っていた。

 それが嬉しくて、小さくうなずいた。

「うん。また・・・明日。」

 その言葉を言ったのは、いつぶりだろうか。

 また明日。

 約束。

 二人と別れた帰り道。僕は空を見上げて小さく息を吐いた。

 空を飛んでいく不思議な色をした鳥たちが、森へと向かって飛んでいく。

 太陽が沈み、薄紫色に雲が陰る。

「また、明日。」

 口にすると、涙がこぼれそうだった。

 明日も遊べるといいな。

 僕は目元を袖で拭って、誰もいない家へと帰った。


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