見える僕のこの世界の話 ~人に見えないモノが見える少年のお話~

かのん

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第七話

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 壱は学校からの帰り道歩いていると、同じ小学校の二人の男の子が橋の縁に腰掛けているのが見えた。

 嫌だな。

 一人で歩いている時に、他の子とすれ違うのは少し嫌だ。

 自分だけが友達がいないって突きつけられている気分になる。

 急いで橋を抜けようとしたけれど、そこで僕は足を止める。

 二人の男の子がこちらを不思議そうに見るのがわかった。

 けど、橋は渡れない。

 何故なら、橋に突然霧がかかり中が見えなくなったから。

「お前、どうかした?」

「おい、やめろって。こいつ春先だよ。ほら、あの。」

「え?こいつが?」

「そうだよ。ほら行こう。」

「え、でもさ何か困ってるみたいだけど。」

 短い髪の男の子が、僕の方を心配そうに見るともう一人の色素の薄い髪色の男の子は僕を見て首をかしげる。

「何か困ってるの?」

 僕は何と言っていいのかわからなくて、首を横に振るときびすを変えそうとした。

 それを腕を捕まれて止められる。

「橋渡んないの?」

「えっと。」

「もしかして橋渡るのが怖い?なら一緒に来いよ。ほら。」

「わぁ!」

 力一杯手を引かれて橋の上を進む。

 霧の中に入ると小さな光る何かが揺れ、男の子を避けるように散り散りに逃げていく。

 橋を抜けると、男の子が白い歯を見せてにかっと笑った。

「ほーら。大丈夫だったろー?」

「あのさ、急に走るなよ。春先も怖がってるじゃん。顔真っ青だし。」

 後ろからついてきていた子はため息をついた。

「え?!えー。ごめんなぁ。大丈夫?」

「あ、いや。大丈夫。急にでびっくりしただけだから。」

「ならよかった。俺は林健太。こっちは佐藤竜也。よろしくな。」

「よろしく。」

 二人に自己紹介され、戸惑いながらもうなずく。

「よろしく。僕は春先壱。」

 久しぶりに普通の子と言葉を交わすなと思っていると、健太が僕の顔をのぞきこんだ。

「何?」

「お前さ、その前髪邪魔じゃねーの?ほら、これ貸してやる。」

「え?」

 頭にパッチンと髪止めで前髪をとめられて、視界が広くなって見えた。

 二人が少し驚いた顔をしている。

「前髪長くて邪魔だと思ったけど、お前可愛い顔してるなぁ。」

「何か女子がキャーキャー言いそう。ってかそのパッチン止めどうしたんだよ。」

「え?妹のやつ。朝つけてやろうと思って忘れて持ってた。ちょうど良かったな。」

 にかっと健太は笑い、それにつられるように竜也も笑った。

「確かに似合ってるけど。おい、壱はいいわけ?」

「え?」

 名前で呼ばれて驚くと、健太と竜也は首をかしげた。

「え、きょとんってしてるのも可愛いな。」

「何かお前噂と全然違うなぁ。いや、ごめんなぁ。俺はお前がヤバいやつだと勘違いしてたよ。」

「俺たちのことも名前で呼べよ?」

「あぁ。なぁ、お前がいいなら一緒に遊ぼうぜ?」

 何だろう。

 いいのかな?

 僕はドキドキしながらうなずく。

「なら俺んちいこう。ほら、行こう。」

 健太は僕の手を引いて走り出した。

 道を通り抜け、そしてついたのはこの近所にある中でも一番大きな神社であった。

「俺んちここ。竜也も従兄弟で家は同じなんだ。ちょっと待ってて。荷物置いてくるから。」

「ここにいろよ。」

 二人はバタバタと走り、僕は神社を見上げた。

 ひんやりとした気持ちのいい空気を感じる。

 大きな御神木を見上げると、そこに暁がちょこんと座っていた。

「暁。」

「壱。ここの小童と知り合いになったのか。」

「うん。」

「良かったな。あいつらと一緒なら、変なものはよってこないだろうよ。」

「え?どういうこと?」

「ん?あいつらにはそうそう悪いやからは近づけないんだよ。俺は昼寝してるから、仲良くなー。」 

 御神木の上でいいのだろうかと思っていると、そんな暁の回りを小さな光が慕わしそうに飛び交った。

「仲が良いんだなぁ。」

 その様子を見ながら、少しだけ期待をしてしまう。

 僕も仲良く出来るだろうか。

 



 
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