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第一章
ロイの困惑 63
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フィリアは怒っていた。
昨日、グリードがやっと帰ってきた。それはもうとてもとてもボロボロな姿で。
どこに行っていたのかと尋ねると、精霊王の所に話をしに行っていたと。
何故黙って行ったのかと問えば、危ないからと。
えぇ。そうですか。
危ないから、黙って行ったと。
へぇ。そうですか。そうですか。
それで、数ヶ月も音信不通ですか。
へぇ。そうですか。
はい。もう知りません。もう怒りました。
なので、一言も口を聞いてやりません。
一緒に図書室で勉強をしていたロイは、グリードに遠目で睨まれいたたまれない。
「フィリア嬢、グリードさんどうした?」
フィリアはため息をつくと、ロイの唇に人差し指を当てた。
「こら。勉強中ですよ。集中して。」
こてんと首を傾げて上目遣いで見ると、一瞬にしてロイの顔が赤く染まった。
「フ、、フィリア嬢。そんなに簡単に異性に触れるものではない。」
ロイの言葉に、フィリアは少し悲しげに目を伏せながら言った。
「誰にでもするわけじゃないです。ロイ様だから、、、ですよ。」
「ぅぐ、、、。」
ロイは胸を抑えてぜーはーぜーはーとすると、もう、勉強する時間も終わりの時間が来たな!と慌てて出ていってしまった。
図書室から逃げたロイは、三人が待ち構えるいつもの会議室に入なり、机に突っ伏した。
「無理だ!私には、、、私には耐えられない。」
「ロイ!ファイトたよ!」
「諦めるな!俺だって堪えられたんだから!」
「ロイ!僕も今からヘコみそうになるから頑張ってよ!」
「くそ、、、明らかにフィリア嬢のやつ、グリードさんが帰ってきたからって、当て付けだ!」
「確かに、、なんか、、三割増くらいになってるよね。」
「スキンシップも過多だな。」
「逆を言えばラッキーと思ってみれば?」
「思えるか!?マリアに、、幻滅されたくない。」
『あー。』
三人は声を合わせて、頷いた。
四人は今後の対策をあーでもない、こーでもないと話し合った。
その頃、フィリアは荷物を片付けるとカフェへ向かって歩いていた。
後からグリードが付いてくるが無視した。
カフェにはハロルドがおり、こちらを見ると苦笑を浮かべた。
「フィリア。どうしたんだ?」
「なんでもありません。ハロルド、ケーキ食べたいです。」
「はいはい。一緒に食べようね。」
そういうとハロルドはメニューをフィリアの前に広げた。
メニューを見るうちに、フィリアの表情は明るくなっていく。
グリードは木の影から悲しげにこちらを見つめ続けていた。
店員を鈴で呼び、注文をする。
「えっと、ガトーショコラを一つ、飲み物はアイスラテで、ハロルドは?」
「私はこのいちごのタルトと、コーヒーを。」
「かしこまりました。」
ハロルドはにっこりと笑みを浮かべると、フィリアの頭を撫でた。
「今日も頑張ったね。フィリア、いちごのタルトとガトーショコラを迷っていたでしょ。よかったら半分にする?」
「する!ハロルド大好き!」
「ふふ。フィリアは可愛いなぁ。」
グリードが隠れていた木がバキバキと音を立てて折れた。
ここ最近、親友という位置に収まったハロルドとフィリアは恋人かと言われるくらいに仲がすこぶる良かった。
これはハロルドが自ら親友と線引きしたのと、頑張っているフィリアを親友くらいは甘やかしてもいいだろうという配慮のもとだったのだが、グリードにしてみれば納得がいくわけもない。
ハロルドはくすくすと笑い声をあげると、フィリアに言った。
「そろそろ許してあげては?あれでは可愛そうだ。」
「あら、ハロルド。女は恐ろしい生き物だと知らなかったの?」
「あまり知りたくなかったなぁ。」
「ふふ。なら黙っていなさいな。私、怒ってますの。あ、ケーキ来ましたよ!」
ケーキに釘付けなったフィリアは可愛らしかったが、その後の木の影では、折れた木が黒い炎で焼かれていた。
「あぁ、(木が)可愛そうに。」
ハロルドはそう呟くと、フィリアとケーキを半分にした。
昨日、グリードがやっと帰ってきた。それはもうとてもとてもボロボロな姿で。
どこに行っていたのかと尋ねると、精霊王の所に話をしに行っていたと。
何故黙って行ったのかと問えば、危ないからと。
えぇ。そうですか。
危ないから、黙って行ったと。
へぇ。そうですか。そうですか。
それで、数ヶ月も音信不通ですか。
へぇ。そうですか。
はい。もう知りません。もう怒りました。
なので、一言も口を聞いてやりません。
一緒に図書室で勉強をしていたロイは、グリードに遠目で睨まれいたたまれない。
「フィリア嬢、グリードさんどうした?」
フィリアはため息をつくと、ロイの唇に人差し指を当てた。
「こら。勉強中ですよ。集中して。」
こてんと首を傾げて上目遣いで見ると、一瞬にしてロイの顔が赤く染まった。
「フ、、フィリア嬢。そんなに簡単に異性に触れるものではない。」
ロイの言葉に、フィリアは少し悲しげに目を伏せながら言った。
「誰にでもするわけじゃないです。ロイ様だから、、、ですよ。」
「ぅぐ、、、。」
ロイは胸を抑えてぜーはーぜーはーとすると、もう、勉強する時間も終わりの時間が来たな!と慌てて出ていってしまった。
図書室から逃げたロイは、三人が待ち構えるいつもの会議室に入なり、机に突っ伏した。
「無理だ!私には、、、私には耐えられない。」
「ロイ!ファイトたよ!」
「諦めるな!俺だって堪えられたんだから!」
「ロイ!僕も今からヘコみそうになるから頑張ってよ!」
「くそ、、、明らかにフィリア嬢のやつ、グリードさんが帰ってきたからって、当て付けだ!」
「確かに、、なんか、、三割増くらいになってるよね。」
「スキンシップも過多だな。」
「逆を言えばラッキーと思ってみれば?」
「思えるか!?マリアに、、幻滅されたくない。」
『あー。』
三人は声を合わせて、頷いた。
四人は今後の対策をあーでもない、こーでもないと話し合った。
その頃、フィリアは荷物を片付けるとカフェへ向かって歩いていた。
後からグリードが付いてくるが無視した。
カフェにはハロルドがおり、こちらを見ると苦笑を浮かべた。
「フィリア。どうしたんだ?」
「なんでもありません。ハロルド、ケーキ食べたいです。」
「はいはい。一緒に食べようね。」
そういうとハロルドはメニューをフィリアの前に広げた。
メニューを見るうちに、フィリアの表情は明るくなっていく。
グリードは木の影から悲しげにこちらを見つめ続けていた。
店員を鈴で呼び、注文をする。
「えっと、ガトーショコラを一つ、飲み物はアイスラテで、ハロルドは?」
「私はこのいちごのタルトと、コーヒーを。」
「かしこまりました。」
ハロルドはにっこりと笑みを浮かべると、フィリアの頭を撫でた。
「今日も頑張ったね。フィリア、いちごのタルトとガトーショコラを迷っていたでしょ。よかったら半分にする?」
「する!ハロルド大好き!」
「ふふ。フィリアは可愛いなぁ。」
グリードが隠れていた木がバキバキと音を立てて折れた。
ここ最近、親友という位置に収まったハロルドとフィリアは恋人かと言われるくらいに仲がすこぶる良かった。
これはハロルドが自ら親友と線引きしたのと、頑張っているフィリアを親友くらいは甘やかしてもいいだろうという配慮のもとだったのだが、グリードにしてみれば納得がいくわけもない。
ハロルドはくすくすと笑い声をあげると、フィリアに言った。
「そろそろ許してあげては?あれでは可愛そうだ。」
「あら、ハロルド。女は恐ろしい生き物だと知らなかったの?」
「あまり知りたくなかったなぁ。」
「ふふ。なら黙っていなさいな。私、怒ってますの。あ、ケーキ来ましたよ!」
ケーキに釘付けなったフィリアは可愛らしかったが、その後の木の影では、折れた木が黒い炎で焼かれていた。
「あぁ、(木が)可愛そうに。」
ハロルドはそう呟くと、フィリアとケーキを半分にした。
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