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20話
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「ここは?」
「え? どういうこと?」
本当にここは地中なのだろうか。
「アルル、すごく大きな木がある」
「うん……」
巨大な木が生えており、その木の枝は天井に向かって広がっている。
「もしかして、あれが、ツルの正体?」
「そうかも」
そう考えていた時、窓にレレナが張り付きながら言った。
「マリア……あぁ、マリアだわ」
「「え?」」
私たちはその言葉にレレナの見ていた方に目をこらす。
「どこに? レオわかる?」
「いや、眩しくってわかんないや」
レレナは唇をぐっと噛み、眩しく光る木の中央を指さしながら言った。
「あの光の中だわ」
それを聞き、私は驚く。
「あそこ……あんなに眩しいところに?」
「アルル! ということは、あの光が太陽の花の力なんじゃない?」
「そっか……よし、行こう。ここからは歩いて近寄ってみよう」
「うん」
レレナは何も言わなかった。
私たちは乗って来た船から下りると、緑の大地を歩き始める。
ここは氷の大地ではないようだ。土があり、その上に植物が生えている。
緑の大地を踏みしめながら、レレナは呟いた。
「不思議……ここが、氷の王国の地下だなんて、信じられないわ」
たしかに、温かで、過ごしやすい気温は氷の王国とはまるで違う。
レレナの額からは汗が流れ落ちていく。
「暑い……」
私は空間を見回しながらつぶやいた。
「元々はここも氷だったのかも。天井は氷で出来ているし。だけど太陽の花の温かさによって、氷が解けて水は流れていき、緑の大地となったのかな」
植物は生き生きとしており、私はしゃがむと葉に触れてみる。
地上の植物と同じように、しっかりと根を張り生きている。
レレナも私と同じように草に触れた。
「ふふ。ふふふふ。昔誓ったのよ。私とマリアを捨てた氷の国への復讐のために、緑がたくさん生える大地になればいいって……」
「レレナ……」
「マリアはね。とても優しい子だったわ。だけど寒さに弱い体質だった。だからあまり外に出歩くということも出来なかったの。そんなマリアが憧れていたのが、緑の大地だったの。いつも緑の森で生きたいって言っていたわ……そしてある日、マリアが旅の商人から緑の植物をもらったと、喜んで持って帰って来たのよ……それが、あんなことにつながるなんて思ってもみなかったわ」
過去を思い出しながらそう語るレレナ。
立ち上がると深呼吸をしてから言った。
「私はもう、戦う気はないわ。あとは見届けて、そして、魔法協会に身を任せるわ。もう、疲れてしまったっていうのもあるわね」
仄暗い瞳が、揺らいでいた。
私はうなずくと言った。
「マリアさんのところにいってみよう」
「……えぇ」
私たち三人は、緑の草原を歩いていく。
不思議な感じがした。
普通の草原のように感じられるのに、ここは地下なのだから。
見上げるほど巨大な太陽の花の木がそこにはあった。
そしてその中腹に、眩しい光を放つ、マリアさんの姿がある。
「マリア……」
私の後ろにレレナを乗せて、ほうきで飛び上がる。
眩しい光を遮るために、私たちは魔法で目を保護した。
「マリアさん……眠っているみたいだね」
「……えぇ」
「アルル、見て」
レオはマリアさんの体を指さした。
その体は、太陽の花の木と同化しているようだった。
体を、太陽の木から引き離すことはできるだろうか。
マリアさんの頬に、レレナがゆっくりと触れ、それからつぶやく。
「ごめんね……私のせいで。でもちゃんと、復讐は果たしたよ。お母様はきっとたくさん困っただろうし、貴方を拒絶したこの国も……」
力なく微笑むレレナに、私は言った。
「レレナは、本当はこうしたかったわけじゃないでしょう」
「え?」
「本当は、どうしたかったの?」
「本当は……」
レレナの瞳の仄暗い闇が揺らぎ、光が見える。
「本当は……妹と……どんなに大変でも、一緒に、一緒に、生きて、いきたかった」
暗い闇が涙となってぽたぽたと零れ落ちていく。
レオは、その姿を見つめながら言った。
「そうだよね。家族とは……一緒が、いいもんな」
暗闇の中にいたことのあるレオだからこそ、レレナの気持ちが痛いほどに分かるのだろう。
私はうなずくと言った。
「よし、じゃあ、木とマリアさんを引き離す方法を考えよう」
「そうだね」
レレナさんもうなずき、どうしようかと考えはじめた時であった。
空気がぞわりとするものにかわった。
私たちが周囲を警戒するように杖をかまえると、ため息交じりの声が聞こえてきた。
「はぁぁぁぁ。レレナ。何やっているんですか」
それはノアの声であり、私たちは一度地上へと降りると、周囲を警戒する。
どこから聞こえてきているのか、ノアの声が響く。
「まさか、今更闇から自分が救われるとでも思っているんですか」
その言葉に、レレナは両耳を手でふさぐ。
「今まで、散々……人を闇の中へ落として来たのに?」
空気がどんどんと重たくなっていくような気がした。
私はその空気に負けないように声をあげる。
「ノア! 姿を現しなさい!」
レオも声をあげた。
「そうだよ! 姿を見せないなんて卑怯者め!」
次の瞬間、炎の柱が立つと、その中からノアが姿を現した。
「酷い言われ方ですねぇ」
クスクスと笑ったノアは冷ややかな暗い瞳でレレナのことを見つめた。
「なんていう憐れな。闇から救われたいなどと思ってしまうとはね。だがよくよく考えてみたらどうですか? マリアはすでにヤドリギとして体は呑み込まれている。切り離せるような状態ではないでしょう?」
レレナはその言葉にうつむく。
私はノアの方を見てはっきりと言った。
「ねぇ、ノア。もしそうなら、邪魔しにこなくてもいいんじゃないの?」
ピクリと、ノアの眉が動く。
レオもにっと歯を見せ笑って言った。
「そうだよね。本当にどうにもならないならさ、今ここに出てくる必要はないはずさ。だから、何か、あるんでしょう?」
レレナがぱっと顔をあげると、ノアは笑みを消す。
「本当に、姫君も殿下も、感が鋭いから大好きですよ。でも、そうさせないために、ここにきたので」
ノアがこちらに向かって杖をかまえ、私たちは身構える。
今回、助けに来てくれる人はいない。つまり、私とレオでノアとどうにか戦わなければならないのだ。
けど大丈夫。
私はちらりとレオを見ると、レオがこちらに向かって力強くうなずいた。
私もうなずき返す。
レオが一緒にいてくれるだけで、不安はなくなった。
「え? どういうこと?」
本当にここは地中なのだろうか。
「アルル、すごく大きな木がある」
「うん……」
巨大な木が生えており、その木の枝は天井に向かって広がっている。
「もしかして、あれが、ツルの正体?」
「そうかも」
そう考えていた時、窓にレレナが張り付きながら言った。
「マリア……あぁ、マリアだわ」
「「え?」」
私たちはその言葉にレレナの見ていた方に目をこらす。
「どこに? レオわかる?」
「いや、眩しくってわかんないや」
レレナは唇をぐっと噛み、眩しく光る木の中央を指さしながら言った。
「あの光の中だわ」
それを聞き、私は驚く。
「あそこ……あんなに眩しいところに?」
「アルル! ということは、あの光が太陽の花の力なんじゃない?」
「そっか……よし、行こう。ここからは歩いて近寄ってみよう」
「うん」
レレナは何も言わなかった。
私たちは乗って来た船から下りると、緑の大地を歩き始める。
ここは氷の大地ではないようだ。土があり、その上に植物が生えている。
緑の大地を踏みしめながら、レレナは呟いた。
「不思議……ここが、氷の王国の地下だなんて、信じられないわ」
たしかに、温かで、過ごしやすい気温は氷の王国とはまるで違う。
レレナの額からは汗が流れ落ちていく。
「暑い……」
私は空間を見回しながらつぶやいた。
「元々はここも氷だったのかも。天井は氷で出来ているし。だけど太陽の花の温かさによって、氷が解けて水は流れていき、緑の大地となったのかな」
植物は生き生きとしており、私はしゃがむと葉に触れてみる。
地上の植物と同じように、しっかりと根を張り生きている。
レレナも私と同じように草に触れた。
「ふふ。ふふふふ。昔誓ったのよ。私とマリアを捨てた氷の国への復讐のために、緑がたくさん生える大地になればいいって……」
「レレナ……」
「マリアはね。とても優しい子だったわ。だけど寒さに弱い体質だった。だからあまり外に出歩くということも出来なかったの。そんなマリアが憧れていたのが、緑の大地だったの。いつも緑の森で生きたいって言っていたわ……そしてある日、マリアが旅の商人から緑の植物をもらったと、喜んで持って帰って来たのよ……それが、あんなことにつながるなんて思ってもみなかったわ」
過去を思い出しながらそう語るレレナ。
立ち上がると深呼吸をしてから言った。
「私はもう、戦う気はないわ。あとは見届けて、そして、魔法協会に身を任せるわ。もう、疲れてしまったっていうのもあるわね」
仄暗い瞳が、揺らいでいた。
私はうなずくと言った。
「マリアさんのところにいってみよう」
「……えぇ」
私たち三人は、緑の草原を歩いていく。
不思議な感じがした。
普通の草原のように感じられるのに、ここは地下なのだから。
見上げるほど巨大な太陽の花の木がそこにはあった。
そしてその中腹に、眩しい光を放つ、マリアさんの姿がある。
「マリア……」
私の後ろにレレナを乗せて、ほうきで飛び上がる。
眩しい光を遮るために、私たちは魔法で目を保護した。
「マリアさん……眠っているみたいだね」
「……えぇ」
「アルル、見て」
レオはマリアさんの体を指さした。
その体は、太陽の花の木と同化しているようだった。
体を、太陽の木から引き離すことはできるだろうか。
マリアさんの頬に、レレナがゆっくりと触れ、それからつぶやく。
「ごめんね……私のせいで。でもちゃんと、復讐は果たしたよ。お母様はきっとたくさん困っただろうし、貴方を拒絶したこの国も……」
力なく微笑むレレナに、私は言った。
「レレナは、本当はこうしたかったわけじゃないでしょう」
「え?」
「本当は、どうしたかったの?」
「本当は……」
レレナの瞳の仄暗い闇が揺らぎ、光が見える。
「本当は……妹と……どんなに大変でも、一緒に、一緒に、生きて、いきたかった」
暗い闇が涙となってぽたぽたと零れ落ちていく。
レオは、その姿を見つめながら言った。
「そうだよね。家族とは……一緒が、いいもんな」
暗闇の中にいたことのあるレオだからこそ、レレナの気持ちが痛いほどに分かるのだろう。
私はうなずくと言った。
「よし、じゃあ、木とマリアさんを引き離す方法を考えよう」
「そうだね」
レレナさんもうなずき、どうしようかと考えはじめた時であった。
空気がぞわりとするものにかわった。
私たちが周囲を警戒するように杖をかまえると、ため息交じりの声が聞こえてきた。
「はぁぁぁぁ。レレナ。何やっているんですか」
それはノアの声であり、私たちは一度地上へと降りると、周囲を警戒する。
どこから聞こえてきているのか、ノアの声が響く。
「まさか、今更闇から自分が救われるとでも思っているんですか」
その言葉に、レレナは両耳を手でふさぐ。
「今まで、散々……人を闇の中へ落として来たのに?」
空気がどんどんと重たくなっていくような気がした。
私はその空気に負けないように声をあげる。
「ノア! 姿を現しなさい!」
レオも声をあげた。
「そうだよ! 姿を見せないなんて卑怯者め!」
次の瞬間、炎の柱が立つと、その中からノアが姿を現した。
「酷い言われ方ですねぇ」
クスクスと笑ったノアは冷ややかな暗い瞳でレレナのことを見つめた。
「なんていう憐れな。闇から救われたいなどと思ってしまうとはね。だがよくよく考えてみたらどうですか? マリアはすでにヤドリギとして体は呑み込まれている。切り離せるような状態ではないでしょう?」
レレナはその言葉にうつむく。
私はノアの方を見てはっきりと言った。
「ねぇ、ノア。もしそうなら、邪魔しにこなくてもいいんじゃないの?」
ピクリと、ノアの眉が動く。
レオもにっと歯を見せ笑って言った。
「そうだよね。本当にどうにもならないならさ、今ここに出てくる必要はないはずさ。だから、何か、あるんでしょう?」
レレナがぱっと顔をあげると、ノアは笑みを消す。
「本当に、姫君も殿下も、感が鋭いから大好きですよ。でも、そうさせないために、ここにきたので」
ノアがこちらに向かって杖をかまえ、私たちは身構える。
今回、助けに来てくれる人はいない。つまり、私とレオでノアとどうにか戦わなければならないのだ。
けど大丈夫。
私はちらりとレオを見ると、レオがこちらに向かって力強くうなずいた。
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