魔法使いアルル

かのん

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21話

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「レオ、絶対に、マリアさんを助けよう」

「もちろん。その前に、ノアをどうにかしないとだね!」

「うん!」

「あはは! さぁ、そう、うまくいきますかね! 豪華の竜よ! すべてを呑み込め!」

「何ものも通さぬ盾と成れ!」

 ノアが巨大な炎の竜を生み出すと、こちらに向かって放ってきた。

 レオがせを防御壁で防ぎ、私はレレナに守護魔法と防御壁、結界魔法の三重掛けをほどこす。

「レレナはそこから出ないでね。レオ、準備は出来た! 行くよ!」

「了解!」

 私たちはほうきにまたがると、左右に分かれて宙を飛ぶ。

「捕縛せよ!」

「杖よ消しとべ!」

 魔法を連続で次々と放っていくけれど、ノアの豪華の炎がそれらの魔法をすべて吞み込んでいく。

 その間に、地面に生えていた植物が次々に枯れていく。

 私はせっかくこんなに綺麗なのにと思っていると、ノアが笑い声をあげながら言った。

「そうだ。レレナ。さらなる闇へ落ちましょうか」

「え?」

 レレナが顔をあげると、ノアが太陽の花の木にに炎の竜を向けた。

「やめてっ! お願いノア! ノア!」

 叫ぶレレナに、ノアが冷ややかな視線で言った。

「裏切るからですよ。はぁぁぁぁ。黒い魔法使いともあろうものが、光を求めようとするなど言語道断。私が、分からせてあげますね。光なんて……ないってことを」

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 レレナの悲痛な声が響き渡る中、私とレオはほうきで風のように早く飛び、ノアの炎の竜に向かって魔法をかけた。

「凍り付け!」

「吹き飛べ!」

 炎の竜はそれらの魔法をよけると、太陽の花の木に体を巻き付けた。

 ノアが笑い声をあげて言った。

「燃えろ」

「いやぁぁぁぁ!」

 レレナの悲鳴が響き渡る中、ノアはさらに魔法をかけていく。

「もっともっと盛大に! 業火の炎よ! 竜となりて燃やしつくせ!」

 炎の竜がほかにも現れ、美しかった緑も、太陽の花の木もどんどん燃やしていく。

 レレナの瞳はまた仄暗く染まり始める。

 このままじゃだめだ。

「レオ!」

「アルル! 分かっているよ!」

 私たちは杖を振り、炎を消そうとするけれど、ノアの炎の威力に上手く魔法が追い付かない。

 どうしたらいい!?

 頭の中で必死に考えるけれど、どんどんと植物たちは燃えていく。

「これじゃだめだ」

 私はそうつぶやくと、方法を考える。

 どんなに追いつめられていてもどこかに抜け道があるはずだ。

「そうだ!」

 私は集中すると、杖を振る。

「しゃぼんの泡よ、炎の竜を包み込め!」

 打ち消そうとしてもだめだった、なら、包み込んでしまえばいい。

 私は次々に泡をたくさん生み出していく。

「さすがアルル!」

 レオは私が炎の竜の打開策を見つけると、ノアの方へと集中して攻撃を仕掛けていく。

 動き回る竜の炎をしゃぼんの泡は次々に包み込み、そしてしゃぼんの泡に包まれた炎は、勢いが弱くなって、最後には消えていった。

 ノアは舌打ちをすると、レオの攻撃をはじき返しながら声を荒げた。

「邪魔しないでください! レレナに暗い闇を思い出させてあげなければいけないんですよ!」

「そうさせないために、僕らがいるんだ!」

 ノアはレオの言葉にイラついたように声をあらげた。

「殿下だって本当は闇の素晴らしさがわかるはずです! 現に、貴方の心の中にはまだ闇が潜んでいるはずだ!」

 レオは攻撃魔法を途切れさせることなく言葉を返す。

「人は誰しも闇はもっているさ! 光だけの人なんていない!」

 魔法をはじき、レオは魔法の杖をノアの方へと向ける。

「ノアだってそれは分かっているんだろう。そして分かっていながらも、自分一人じゃ怖いから、だから! 仲間を増やしているんだろう!」

「……殿下」

 低い、ノアの声が響いた。

「あまり、怒らせないでください。言っておきますが、漆黒の王座には必ず、黒い魔法使いを束ねる王が座るのです。そのために、私は準備しているにすぎないのですよ」

 ノアの後ろに業火の炎が立ち上り、レオはその熱風に、後ろへと下がった。

 私はしゃぼん玉を放つと、ノアの後ろに立ち上る炎がしゃぼんの泡で包まれて消えていく。

「お遊びにみえて、よくできた魔法ですねぇ。でも、まだまだ」

 次の瞬間ノアが杖を振った。

 何本もの業火の炎が立ち上り、私たちは怯みそうになりながらも杖をかまえる。

「さぁ、行きますよ」

 熱風によって、息がしずらい。

 周囲を見回せば、あれほど美しかった緑の草原が、今では焼け野原になっている。

 そして、まばゆく輝いていたはずの太陽の花の木の光も弱まっている。

「このままじゃだめだ! レオ! 一気にいこう!」

「了解! 距離を詰めよう! 接近戦だ!」

 私とレオはほうきに乗って宙を飛ぶと、ノアに向かって攻撃を連続で仕掛ける。

 その間にも炎の竜に襲われるが、それらはシャボン玉で包み込んでいった。

 私たちが狙うのは、ノアの杖だ。

「杖よ! 吹き飛べ!」

「吹き飛べ!」

 次々に魔法を放つけれど、ノアはそれをひらりと交わす。

 強い。

 けれど負けるわけにはいかない。

 遠距離じゃだめだ。

 私たちはノアの近くへと降り立ち、距離を詰めながら魔法を仕掛けていく。そして、私はノアの懐へと入ると、その喉元に魔法の杖を突き立てた。

 その瞬間、ノアが息を呑むのが分かった。

「ふふふ。お二人の無尽蔵の魔法を連続で受けながしながら距離を取るのは至難の業。さすがですね」

 レオがノアの魔法の杖を吹き飛ばした。

 やった!

 そう思った瞬間、ノアはもう片方の手に別の魔法の杖を出すと、魔法を放ち、一瞬で私たちから距離を取った。

「ははははは! ざ~んねんでした」

 あともう一歩だったのに!

 私とレオは構え直した時、レレナの悲鳴がその場に響き渡った。

「マリア! マリアぁぁぁ!」

 そちらへと視線を向ければ、先ほどノアが放った魔法が、太陽の花に当たってしまったのだ。

「しまった!」

「アルル! 花が!」

 太陽の花の光がゆらぎ、次第に弱まっていく。
 
 先ほどまでは眩しいほどに輝いていたのに、今では、わずかに輝くばかり。

「ふはははは! レレナ。残念でしたね。ほら、ちゃんともう一度闇へと落ちましょう!」

 黒い闇がレレナからあふれ出す。

 私とレオは慌てて杖を振る。

「「光よ! 闇を打ち消せ!」」

 黒い闇はきえていくが、レレナの悲鳴は止まらない。


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