9 / 31
新八話
しおりを挟む
二人の兄弟がいた。
兄は背が高く痩せこけた、クラット=フライ。
弟は背が低く太っている。アラット=フライ。
この兄弟、外見は地味だが夢は壮大であり、大空に憧れていた。
空を飛びたい。けれど空は王と獣の領域。飛ぶ事は許されない。
けれど、兄弟は飛びたかった。
それが彼らの願いだった。
空を飛びたいのかい。
そこへ黒き仮面の者から声がかかったのだ。
飛びたいんだ。
なら翼を持つものを捉えなくてはいけないよ。
翼を持つもの?
そうさ。その名はフェイナ。彼女を捕らえてごらん。
そしたら空を飛べるのかい?
そうさ。きっと飛べる術が手にはいるであろうよ。
兄弟は、バカだった。
ただ、頭はよかった。
兄弟は立ち上がり、そして計画を立て始めた。
これが、この兄弟の間違いの始まり。けれど、バカな兄弟は気付かない。
ただただ空に憧れるのみであった。
そして、彼らはすぐにフェイナを見つけた。
「こんばんはお嬢さん。」
厳重な警備も、この二人には通用しない。バカなのに頭はいい二人である。いとも簡単にエデンへの侵入経路を見つけ、そしてフェイナの寝室に忍び込んだのである。
フェイナは驚いたが、それ以上に気になった。
「どうやってここへ?」
「古代の地下迷宮を通ってまいりました。」
そこへ迷い込んだら一生出てこられないというところを、通ってきたのならばなんというものたちであろうか。
「本当に?どうして迷わなかったの?」
「これは僕らが発見した鉱石です。これを上手く使えば、迷ったりはしません。」
「どうやって使うの?」
「フリュンゲル国の水にはこの鉱石を水面に浮かせる力があります。そして水に浮いた鉱石は必ず細く尖ったほうがエデンの中心を指し示します。その他にもこまごまと僕たちが考えた装置が備え付けられているんですがね。」
「へぇ・・・」
器用に作られた羅針盤状のその装置を、フェイナは手に取ると、この兄弟へ言った。
「これ欲しいわ。」
二人は笑顔で言った。
「いいですよ。けれど僕らもお願いがあるんです。一緒に来てもらえますか?」
「どこへ?」
「え?」
兄弟は顔を見合わせた。
捕らえたらいいといわれたが、どこへ捕らえればいいのであろうか。
とにかく、二人は思った。
「一緒に来てもらえればいいんです。」
フェイナは頷いた。けれど、すぐに立ち上がると、小さな鞄にいろいろなものを詰め込み始め、そして二人に向って言った。
「ちょっと着替えるから後ろを向いていてくださらないかしら?」
兄弟はバカだった。だから後ろを向いていた。
けれどいつまでたってもフェイナから声がかからない。おかしいと思い、振り返るとそこにはもう誰もいなかった。
兄弟は頭がよかった。だが、バカだった。
フェイナが羅針盤状の装置を持ち、一人地下迷宮を行ったなど思いもしなかったのであった。
二人はとりあえず、フェイナが出てくるまで、明るくなってもその場で待ち続け、そして次の日の朝、やっとフェイナが一人で行ってしまったのではないかと思い始めたのであった。
兄は背が高く痩せこけた、クラット=フライ。
弟は背が低く太っている。アラット=フライ。
この兄弟、外見は地味だが夢は壮大であり、大空に憧れていた。
空を飛びたい。けれど空は王と獣の領域。飛ぶ事は許されない。
けれど、兄弟は飛びたかった。
それが彼らの願いだった。
空を飛びたいのかい。
そこへ黒き仮面の者から声がかかったのだ。
飛びたいんだ。
なら翼を持つものを捉えなくてはいけないよ。
翼を持つもの?
そうさ。その名はフェイナ。彼女を捕らえてごらん。
そしたら空を飛べるのかい?
そうさ。きっと飛べる術が手にはいるであろうよ。
兄弟は、バカだった。
ただ、頭はよかった。
兄弟は立ち上がり、そして計画を立て始めた。
これが、この兄弟の間違いの始まり。けれど、バカな兄弟は気付かない。
ただただ空に憧れるのみであった。
そして、彼らはすぐにフェイナを見つけた。
「こんばんはお嬢さん。」
厳重な警備も、この二人には通用しない。バカなのに頭はいい二人である。いとも簡単にエデンへの侵入経路を見つけ、そしてフェイナの寝室に忍び込んだのである。
フェイナは驚いたが、それ以上に気になった。
「どうやってここへ?」
「古代の地下迷宮を通ってまいりました。」
そこへ迷い込んだら一生出てこられないというところを、通ってきたのならばなんというものたちであろうか。
「本当に?どうして迷わなかったの?」
「これは僕らが発見した鉱石です。これを上手く使えば、迷ったりはしません。」
「どうやって使うの?」
「フリュンゲル国の水にはこの鉱石を水面に浮かせる力があります。そして水に浮いた鉱石は必ず細く尖ったほうがエデンの中心を指し示します。その他にもこまごまと僕たちが考えた装置が備え付けられているんですがね。」
「へぇ・・・」
器用に作られた羅針盤状のその装置を、フェイナは手に取ると、この兄弟へ言った。
「これ欲しいわ。」
二人は笑顔で言った。
「いいですよ。けれど僕らもお願いがあるんです。一緒に来てもらえますか?」
「どこへ?」
「え?」
兄弟は顔を見合わせた。
捕らえたらいいといわれたが、どこへ捕らえればいいのであろうか。
とにかく、二人は思った。
「一緒に来てもらえればいいんです。」
フェイナは頷いた。けれど、すぐに立ち上がると、小さな鞄にいろいろなものを詰め込み始め、そして二人に向って言った。
「ちょっと着替えるから後ろを向いていてくださらないかしら?」
兄弟はバカだった。だから後ろを向いていた。
けれどいつまでたってもフェイナから声がかからない。おかしいと思い、振り返るとそこにはもう誰もいなかった。
兄弟は頭がよかった。だが、バカだった。
フェイナが羅針盤状の装置を持ち、一人地下迷宮を行ったなど思いもしなかったのであった。
二人はとりあえず、フェイナが出てくるまで、明るくなってもその場で待ち続け、そして次の日の朝、やっとフェイナが一人で行ってしまったのではないかと思い始めたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる