【完結】玩具の青い鳥

かのん

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第十五話

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「あら!あなた達。」
 
 早朝、広間に来て欲しいといわれたフェイナは、扉を開け眼に入った人物達を見つめて少し驚いていた。
 
 眼を真っ赤に晴らした背の高い痩せた男と、同じように目を晴らした背の低い太った男。

「あの時の侵入者さんじゃない。」

「うぉぉぉぉおよがだだぁっぁ・・・よがっだぁ・・・人形から戻ってるうぅ。」

「おぉぉぉぉぉおよがっだなぁ・・よがっだぁ。」

 二人はワンワンと声を上げながら泣いている。

 そんな二人には縄がかけられており、そんな二人の前にはトイが疲れた表情で座っていた。

「おはよう・・フェイナ。」

「おはよう・・・あの、どうかしたの?」

 トイは額に手を当てると言った。

「昨日の真夜中にこの人たちが不法侵入してきてね。キミを誘拐しようとしてたものだから捕まえたんだけど・・昨日からこの状況で参っちゃうよ。」
 
「あらぁ。お気の毒。それで・・あのどうして泣いてるの?」

 トイは昨日のことをフェイナに話すと、今度は二人に言った。

「もう泣くのはやめて!フェイナは無事だから!」

 フライ兄弟は鼻をすすり上げながら、どうにか涙を止めた様子であった。

 トイはそんな二人名前や、どこから来たのか、どんな目的を持っているのか尋ねていった。

 その様子をフェイナは興味なさげに見つめていたのだが、フライ兄弟が空を飛ぶ道具を作ったという話をしたときには眼を輝かした。

「それはどういったものなの?」

「翼とプロペラで飛ぶ物で、人が乗り、動力を動かすことによって飛ぶんです。」

「すごい!それわたしくしも現物を見てみたいわ!」

 そういったときであった。

 昨日とはうって変わって、正装姿のアーロが突然部屋に入ってきたのである。そしてその後ろには兵士らが待機しているのが見えた。

 フェイナはそれに不安げに顔を曇らせた。

「アーロ。一体何事ですか?」

 そういうとアーロは、フェイナの前で膝を突いた。

「ご心配には及びません。なんでもございません。フェイティリア様。申し訳ありませんが部屋を移動していただきます。」

 アーロは後ろにいた女中を呼んだ。

「さあ、フェイティリア様参りましょう。」

「え?ちょっと待って、それならトイも一緒に!」

「なりませぬ!」

 そう厳しい口調で言ったのはアーロであった。けれど一瞬にして声を和らげるとフェイナに笑みを向けた。

「先日のお話、お受けいたします。誠心誠意、貴方様のために頑張りたいと思っております。それにはトイの力も必要なのでございます。男同士、いや親子の話をせねばならないので申し訳ありませんが席をはずしていただきたいのです。・・・・さあ、お連れしろ。」

「はい。さぁ、参りましょう。」

「ちょっと・・・・・・・・わかったわ。・・・じゃあまた後でね、トイ。」

「うん。また・・・後で。」

 女中らに促され、フェイナは困惑した表情を見せながらも部屋を後にした。

 アーロはジッとトイを見つめ、兵士らに言った。

「その誘拐犯を牢へと連れて行け。」

 兵士らは鉄柱の鎧をカチャかチャと鳴らしながら、フライ兄弟を立ち上がらせ、牢へと連れて行ってしまった。

 部屋に残されたトイは、アーロと対面していた。

「どういうこと?」

「お前を幽閉する事が決定した。」

 その言葉に、トイは自分の耳を疑った。

「なん・・・だって?」

「お前は多くのことを知りすぎた。フェイティリア様のためを思えば・・致し方ない。そもそもお前のその人を凌駕しすぎる才能も、国にとっては脅威なのだ。」

 そうだ。この人はそういう人であった。

 自分の息子ことなんて、どうでもいいのである。大切なのは、国と国を守る神である王家の人々だけ。

 国を守る為ならば、自分の息子すら差し出す人間なのだ。

「嫌だ。僕はこの国を出る。」

「そんな勝手が許されるわけがない。お前は、俺の息子だ。つまりは長の息子だ。長の息子が自分の意見を通せると思うな。」

「僕は僕だ。僕に自由はないというの?」

「自由という言葉が自分勝手な行為を示すならば、そんなものはない。」

 こんな人間を自分は・・・少しでも尊敬していたのか。そう考えると、トイは全てが馬鹿らしくなり不思議と笑みが浮かんだ。

「結局貴方は僕のことをなんとも思ってはいないんですね。息子と呼びながら、息子だなんて・・思っていない。」

 アーロは言った。

「国を守る為だ。」

 トイは、おもちゃの国を出て行こうと決心した日のことを思い出していた。
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