16 / 31
第十五話
しおりを挟む
「あら!あなた達。」
早朝、広間に来て欲しいといわれたフェイナは、扉を開け眼に入った人物達を見つめて少し驚いていた。
眼を真っ赤に晴らした背の高い痩せた男と、同じように目を晴らした背の低い太った男。
「あの時の侵入者さんじゃない。」
「うぉぉぉぉおよがだだぁっぁ・・・よがっだぁ・・・人形から戻ってるうぅ。」
「おぉぉぉぉぉおよがっだなぁ・・よがっだぁ。」
二人はワンワンと声を上げながら泣いている。
そんな二人には縄がかけられており、そんな二人の前にはトイが疲れた表情で座っていた。
「おはよう・・フェイナ。」
「おはよう・・・あの、どうかしたの?」
トイは額に手を当てると言った。
「昨日の真夜中にこの人たちが不法侵入してきてね。キミを誘拐しようとしてたものだから捕まえたんだけど・・昨日からこの状況で参っちゃうよ。」
「あらぁ。お気の毒。それで・・あのどうして泣いてるの?」
トイは昨日のことをフェイナに話すと、今度は二人に言った。
「もう泣くのはやめて!フェイナは無事だから!」
フライ兄弟は鼻をすすり上げながら、どうにか涙を止めた様子であった。
トイはそんな二人名前や、どこから来たのか、どんな目的を持っているのか尋ねていった。
その様子をフェイナは興味なさげに見つめていたのだが、フライ兄弟が空を飛ぶ道具を作ったという話をしたときには眼を輝かした。
「それはどういったものなの?」
「翼とプロペラで飛ぶ物で、人が乗り、動力を動かすことによって飛ぶんです。」
「すごい!それわたしくしも現物を見てみたいわ!」
そういったときであった。
昨日とはうって変わって、正装姿のアーロが突然部屋に入ってきたのである。そしてその後ろには兵士らが待機しているのが見えた。
フェイナはそれに不安げに顔を曇らせた。
「アーロ。一体何事ですか?」
そういうとアーロは、フェイナの前で膝を突いた。
「ご心配には及びません。なんでもございません。フェイティリア様。申し訳ありませんが部屋を移動していただきます。」
アーロは後ろにいた女中を呼んだ。
「さあ、フェイティリア様参りましょう。」
「え?ちょっと待って、それならトイも一緒に!」
「なりませぬ!」
そう厳しい口調で言ったのはアーロであった。けれど一瞬にして声を和らげるとフェイナに笑みを向けた。
「先日のお話、お受けいたします。誠心誠意、貴方様のために頑張りたいと思っております。それにはトイの力も必要なのでございます。男同士、いや親子の話をせねばならないので申し訳ありませんが席をはずしていただきたいのです。・・・・さあ、お連れしろ。」
「はい。さぁ、参りましょう。」
「ちょっと・・・・・・・・わかったわ。・・・じゃあまた後でね、トイ。」
「うん。また・・・後で。」
女中らに促され、フェイナは困惑した表情を見せながらも部屋を後にした。
アーロはジッとトイを見つめ、兵士らに言った。
「その誘拐犯を牢へと連れて行け。」
兵士らは鉄柱の鎧をカチャかチャと鳴らしながら、フライ兄弟を立ち上がらせ、牢へと連れて行ってしまった。
部屋に残されたトイは、アーロと対面していた。
「どういうこと?」
「お前を幽閉する事が決定した。」
その言葉に、トイは自分の耳を疑った。
「なん・・・だって?」
「お前は多くのことを知りすぎた。フェイティリア様のためを思えば・・致し方ない。そもそもお前のその人を凌駕しすぎる才能も、国にとっては脅威なのだ。」
そうだ。この人はそういう人であった。
自分の息子ことなんて、どうでもいいのである。大切なのは、国と国を守る神である王家の人々だけ。
国を守る為ならば、自分の息子すら差し出す人間なのだ。
「嫌だ。僕はこの国を出る。」
「そんな勝手が許されるわけがない。お前は、俺の息子だ。つまりは長の息子だ。長の息子が自分の意見を通せると思うな。」
「僕は僕だ。僕に自由はないというの?」
「自由という言葉が自分勝手な行為を示すならば、そんなものはない。」
こんな人間を自分は・・・少しでも尊敬していたのか。そう考えると、トイは全てが馬鹿らしくなり不思議と笑みが浮かんだ。
「結局貴方は僕のことをなんとも思ってはいないんですね。息子と呼びながら、息子だなんて・・思っていない。」
アーロは言った。
「国を守る為だ。」
トイは、おもちゃの国を出て行こうと決心した日のことを思い出していた。
早朝、広間に来て欲しいといわれたフェイナは、扉を開け眼に入った人物達を見つめて少し驚いていた。
眼を真っ赤に晴らした背の高い痩せた男と、同じように目を晴らした背の低い太った男。
「あの時の侵入者さんじゃない。」
「うぉぉぉぉおよがだだぁっぁ・・・よがっだぁ・・・人形から戻ってるうぅ。」
「おぉぉぉぉぉおよがっだなぁ・・よがっだぁ。」
二人はワンワンと声を上げながら泣いている。
そんな二人には縄がかけられており、そんな二人の前にはトイが疲れた表情で座っていた。
「おはよう・・フェイナ。」
「おはよう・・・あの、どうかしたの?」
トイは額に手を当てると言った。
「昨日の真夜中にこの人たちが不法侵入してきてね。キミを誘拐しようとしてたものだから捕まえたんだけど・・昨日からこの状況で参っちゃうよ。」
「あらぁ。お気の毒。それで・・あのどうして泣いてるの?」
トイは昨日のことをフェイナに話すと、今度は二人に言った。
「もう泣くのはやめて!フェイナは無事だから!」
フライ兄弟は鼻をすすり上げながら、どうにか涙を止めた様子であった。
トイはそんな二人名前や、どこから来たのか、どんな目的を持っているのか尋ねていった。
その様子をフェイナは興味なさげに見つめていたのだが、フライ兄弟が空を飛ぶ道具を作ったという話をしたときには眼を輝かした。
「それはどういったものなの?」
「翼とプロペラで飛ぶ物で、人が乗り、動力を動かすことによって飛ぶんです。」
「すごい!それわたしくしも現物を見てみたいわ!」
そういったときであった。
昨日とはうって変わって、正装姿のアーロが突然部屋に入ってきたのである。そしてその後ろには兵士らが待機しているのが見えた。
フェイナはそれに不安げに顔を曇らせた。
「アーロ。一体何事ですか?」
そういうとアーロは、フェイナの前で膝を突いた。
「ご心配には及びません。なんでもございません。フェイティリア様。申し訳ありませんが部屋を移動していただきます。」
アーロは後ろにいた女中を呼んだ。
「さあ、フェイティリア様参りましょう。」
「え?ちょっと待って、それならトイも一緒に!」
「なりませぬ!」
そう厳しい口調で言ったのはアーロであった。けれど一瞬にして声を和らげるとフェイナに笑みを向けた。
「先日のお話、お受けいたします。誠心誠意、貴方様のために頑張りたいと思っております。それにはトイの力も必要なのでございます。男同士、いや親子の話をせねばならないので申し訳ありませんが席をはずしていただきたいのです。・・・・さあ、お連れしろ。」
「はい。さぁ、参りましょう。」
「ちょっと・・・・・・・・わかったわ。・・・じゃあまた後でね、トイ。」
「うん。また・・・後で。」
女中らに促され、フェイナは困惑した表情を見せながらも部屋を後にした。
アーロはジッとトイを見つめ、兵士らに言った。
「その誘拐犯を牢へと連れて行け。」
兵士らは鉄柱の鎧をカチャかチャと鳴らしながら、フライ兄弟を立ち上がらせ、牢へと連れて行ってしまった。
部屋に残されたトイは、アーロと対面していた。
「どういうこと?」
「お前を幽閉する事が決定した。」
その言葉に、トイは自分の耳を疑った。
「なん・・・だって?」
「お前は多くのことを知りすぎた。フェイティリア様のためを思えば・・致し方ない。そもそもお前のその人を凌駕しすぎる才能も、国にとっては脅威なのだ。」
そうだ。この人はそういう人であった。
自分の息子ことなんて、どうでもいいのである。大切なのは、国と国を守る神である王家の人々だけ。
国を守る為ならば、自分の息子すら差し出す人間なのだ。
「嫌だ。僕はこの国を出る。」
「そんな勝手が許されるわけがない。お前は、俺の息子だ。つまりは長の息子だ。長の息子が自分の意見を通せると思うな。」
「僕は僕だ。僕に自由はないというの?」
「自由という言葉が自分勝手な行為を示すならば、そんなものはない。」
こんな人間を自分は・・・少しでも尊敬していたのか。そう考えると、トイは全てが馬鹿らしくなり不思議と笑みが浮かんだ。
「結局貴方は僕のことをなんとも思ってはいないんですね。息子と呼びながら、息子だなんて・・思っていない。」
アーロは言った。
「国を守る為だ。」
トイは、おもちゃの国を出て行こうと決心した日のことを思い出していた。
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる