7 / 14
7 王としての資質
しおりを挟む
「どうしてですか!父上!」
王座に君臨する国王に向かって、王子ダニエルはまるで子どもの駄々のように声をあらげた。
王の横に控えている王妃も国王に渋い顔を向けて言った。
「陛下。ダニエルの気持ちを組んでくださいませ。コーデリアの言葉はあまりに過ぎます。」
国王はそんな言葉を口にする王妃とダニエルを一瞥すると小さくため息をついた。
二人の考えなど全くない言葉には頭が痛くなる。
そんないつもとは違ったその様子に二人は顔を歪めて訝しげに国王を見る。
「父上?」
「陛下?」
「チャンスをやろう。」
「え?」
国王は静かに、最後の通告とばかりに重々しい口調で言った。
「3ヶ月やる。3ヶ月で次期王として自らが相応しいと証明して見せよ。コーデリアにも同じ通達をする。」
その言葉に二人の顔色が変わった。
ダニエルは顔面を蒼白にして声をあげた。
「お、お待ちください!どういうことですか父上!?時期国王は私のはずです!」
「そうです!この子が第一王子!コーデリアは側妃の子ですよ!!」
国王は立ち上がると言った。
「王としての資質を見せてみよ。話はこれまでだ。下がれ。」
「父上!」
「陛下!」
二人は無理矢理に控えていた騎士らにつれていかれる。
その様子を見ながら、国王は漏らしたくなる溜め息を堪える。
王の資質のない者を王位につけるわけにはいかない。
3ヶ月は短い。
恐らくは、コーデリアは今日の一日も無駄にはしないだろう。
現時点ですでにどちらが王位に相応しいかは見えている。
だが、必要なのは第一王子という肩書を凌駕する王の資質である。
それを示せなければ、コーデリアに王座までの道はない。
「宰相を呼べ。隣国とのことで話がある。」
現段階の問題も過酷である。
問題は山のようにあると、国王は眉間にシワを寄せる。
だが、ふと、今日のコーデリアの様子を思い出す。
愛した女性に似た凛とした真っ直ぐな瞳。そして、彼女にはなかった己の道を切り開こうとする強さを感じた。
「美しく、育ったな。」
国王が何を思うのか、その当時に何があったのかを説明できるものはいない。
だが、王のコーデリアを思う目は優しい。そして王として次期王を見定める目は厳しい。
王は国民の命を背負うもの。
だからこそ、自分の子であろうとその見極めは厳しくなくてはならないと王は宰相との話し合いに移るのであった。
王座に君臨する国王に向かって、王子ダニエルはまるで子どもの駄々のように声をあらげた。
王の横に控えている王妃も国王に渋い顔を向けて言った。
「陛下。ダニエルの気持ちを組んでくださいませ。コーデリアの言葉はあまりに過ぎます。」
国王はそんな言葉を口にする王妃とダニエルを一瞥すると小さくため息をついた。
二人の考えなど全くない言葉には頭が痛くなる。
そんないつもとは違ったその様子に二人は顔を歪めて訝しげに国王を見る。
「父上?」
「陛下?」
「チャンスをやろう。」
「え?」
国王は静かに、最後の通告とばかりに重々しい口調で言った。
「3ヶ月やる。3ヶ月で次期王として自らが相応しいと証明して見せよ。コーデリアにも同じ通達をする。」
その言葉に二人の顔色が変わった。
ダニエルは顔面を蒼白にして声をあげた。
「お、お待ちください!どういうことですか父上!?時期国王は私のはずです!」
「そうです!この子が第一王子!コーデリアは側妃の子ですよ!!」
国王は立ち上がると言った。
「王としての資質を見せてみよ。話はこれまでだ。下がれ。」
「父上!」
「陛下!」
二人は無理矢理に控えていた騎士らにつれていかれる。
その様子を見ながら、国王は漏らしたくなる溜め息を堪える。
王の資質のない者を王位につけるわけにはいかない。
3ヶ月は短い。
恐らくは、コーデリアは今日の一日も無駄にはしないだろう。
現時点ですでにどちらが王位に相応しいかは見えている。
だが、必要なのは第一王子という肩書を凌駕する王の資質である。
それを示せなければ、コーデリアに王座までの道はない。
「宰相を呼べ。隣国とのことで話がある。」
現段階の問題も過酷である。
問題は山のようにあると、国王は眉間にシワを寄せる。
だが、ふと、今日のコーデリアの様子を思い出す。
愛した女性に似た凛とした真っ直ぐな瞳。そして、彼女にはなかった己の道を切り開こうとする強さを感じた。
「美しく、育ったな。」
国王が何を思うのか、その当時に何があったのかを説明できるものはいない。
だが、王のコーデリアを思う目は優しい。そして王として次期王を見定める目は厳しい。
王は国民の命を背負うもの。
だからこそ、自分の子であろうとその見極めは厳しくなくてはならないと王は宰相との話し合いに移るのであった。
22
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
調香師見習いを追放されましたが、実は超希少スキルの使い手でした ~人の本性を暴く香水で、私を陥れた異母妹に復讐します~
er
恋愛
王宮調香師見習いのリリアーナは、異母妹セシリアの陰謀で王妃に粗悪な香水を献上したと濡れ衣を着せられ、侯爵家から追放される。全てを失い廃墟で倒れていた彼女を救ったのは、謎の男レオン。彼に誘われ裏市場で才能を認められた彼女は、誰にも話していなかった秘密の力【魂香創成】で復讐を決意する。それは人の本性を香りとして抽出する、伝説の調香術。王太子妃候補となったセシリアに「真実の薔薇」を献上し、選定会で醜い本性を暴く。
【完結】ありのままのわたしを愛して
彩華(あやはな)
恋愛
私、ノエルは左目に傷があった。
そのため学園では悪意に晒されている。婚約者であるマルス様は庇ってくれないので、図書館に逃げていた。そんな時、外交官である兄が国外視察から帰ってきたことで、王立大図書館に行けることに。そこで、一人の青年に会うー。
私は好きなことをしてはいけないの?傷があってはいけないの?
自分が自分らしくあるために私は動き出すー。ありのままでいいよね?
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
悪役令嬢カタリナ・クレールの断罪はお断り(断罪編)
三色団子
恋愛
カタリナ・クレールは、悪役令嬢としての断罪の日を冷静に迎えた。王太子アッシュから投げつけられる「恥知らずめ!」という罵声も、学園生徒たちの冷たい視線も、彼女の心には届かない。すべてはゲームの筋書き通り。彼女の「悪事」は些細な注意の言葉が曲解されたものだったが、弁明は許されなかった。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる