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8 三か月
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国王陛下から届いた書状に目を通したコーデリアはすぐにエドウィンに連絡を取るとこれからの方針を決めるべく行動に移していく。
エドウィンと合流してから連絡を取ったのは数名。
数日後に会食の場をそれぞれ設けると共に、エドウィンと共に何から行動していくか、またダニエルの動向をどう探っていくかなど話をしていった。
あっという間に一日が過ぎていくが、大体の方針が決まり、コーデリアはほっと息をついた。
「疲れましたか?」
エドウィンの言葉にコーデリアは苦笑を浮かべると言った。
「正直に言うと、ええ。疲れましたわ。でも、3ヶ月はあっという間に過ぎていくもの。今頑張らないで、いつ頑張るの。だから、疲れても、やるわ。」
まるで自分に言い聞かせるようなその言葉にエドウィンは笑みを浮かべると、ラッピングされた箱をコーデリアに差し出した。
何かとコーデリアは首をかしげつつ箱を開くと、中には可愛らしい形のクッキーが入っている。
「少しビターに焼いてあります。甘いのは苦手ですよね。」
「・・・」
コーデリアは今日はほとんどお菓子を食べていなかったことを思いだした。
あんなにも母の言いつけを守ろうと続けていた日課だったのに。
そしてそれと同時にエドウィンの言葉にも驚いた。
「気づいていたのですか?」
「ええ。いつも可愛らしく食べながらも苦しそうだったので。」
母親のことをエドウィンに話したことはない。
これは母と自分との間のこと。だから言う必要はないと考えていた。
けれど、と、思う。
自分のことを真っ直ぐに忖度なく見てくれるエドウィンになら話してもいい気がした。
そう。
全てが終わったら話したいと、コーデリアは思ったのだ。
「ありがとうございます。では、いただきますね。」
クッキーは少しほろ苦く仕上げてあり、噛むとしゃくっと音がした。
「おいしい。」
「ふふ。良かったです。」
大変な中でもエドウィンと一緒であれば穏やかな気持ちにかれることが、とても幸せなことのように感じた。
エドウィンと合流してから連絡を取ったのは数名。
数日後に会食の場をそれぞれ設けると共に、エドウィンと共に何から行動していくか、またダニエルの動向をどう探っていくかなど話をしていった。
あっという間に一日が過ぎていくが、大体の方針が決まり、コーデリアはほっと息をついた。
「疲れましたか?」
エドウィンの言葉にコーデリアは苦笑を浮かべると言った。
「正直に言うと、ええ。疲れましたわ。でも、3ヶ月はあっという間に過ぎていくもの。今頑張らないで、いつ頑張るの。だから、疲れても、やるわ。」
まるで自分に言い聞かせるようなその言葉にエドウィンは笑みを浮かべると、ラッピングされた箱をコーデリアに差し出した。
何かとコーデリアは首をかしげつつ箱を開くと、中には可愛らしい形のクッキーが入っている。
「少しビターに焼いてあります。甘いのは苦手ですよね。」
「・・・」
コーデリアは今日はほとんどお菓子を食べていなかったことを思いだした。
あんなにも母の言いつけを守ろうと続けていた日課だったのに。
そしてそれと同時にエドウィンの言葉にも驚いた。
「気づいていたのですか?」
「ええ。いつも可愛らしく食べながらも苦しそうだったので。」
母親のことをエドウィンに話したことはない。
これは母と自分との間のこと。だから言う必要はないと考えていた。
けれど、と、思う。
自分のことを真っ直ぐに忖度なく見てくれるエドウィンになら話してもいい気がした。
そう。
全てが終わったら話したいと、コーデリアは思ったのだ。
「ありがとうございます。では、いただきますね。」
クッキーは少しほろ苦く仕上げてあり、噛むとしゃくっと音がした。
「おいしい。」
「ふふ。良かったです。」
大変な中でもエドウィンと一緒であれば穏やかな気持ちにかれることが、とても幸せなことのように感じた。
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