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彼女が変えたもの・⑥ ルーベルside
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「被告人のルーベル殿。この書面に名を書いたのは紛れもなく貴方なのだな」
査問会の中で、貴族の一人が俺を見て声を出す。
違う、と言えればどれだけ楽だろうか。
「……」
だが粗末な嘘が、さらなる嫌疑を深めると分かって口をつぐむ。
情けなくも、嵌められた状況で選んだのは黙秘。
状況を変えるには、まず彼らが責めてくる勢いを削がねばならない。
「答えねば分からぬ事だ、まさか沈黙が君の答えか?」
「知りません。俺には関係のない事だ」
「まさかそれで通るとお思いですか? 英雄と聞いておりましたが、ずいぶんと浅はかで稚拙だな」
貴族達が小さく、されど嘲笑う声が響き渡る。
まるで神経をわざと逆なでするような、こちらの失言を誘うような言動だ。
分かっていても癪に障るが、なんとか堪える。
「貴族の皆々様が査問会を開いたのです。俺を疑うならば物的証拠を示すのが筋では?」
「その証拠となる書面をドルメン公爵が示したから問いかけているのだが? 数分も覚えていられないのだな」
「っ!?」
「その証拠の是非について聞いておるのですよ」
「め、明確な証拠にはならぬはずです! 俺がドルメン公爵と結んだ書面は、あくまでくだらぬ噂を止めるための協力を望んだだけで……」
「それでは、記名したのは確かに貴方のようだ。今しがた明言しましたね。それが分かれば充分だ」
「あ……」
単なる挑発かと思えば、何時の間にか先程の問答に導かれてしまう。
剣を握る時と違う、言論での戦など経験がないゆえに呑まれてしまう。
ここで否定せねば、さらに疑いが強まる。
「確かに記名したのは俺です。だがあくまで証拠もない噂を止めるためで……これが間違った行為だと?」
「ほぉ、証拠もない噂とは奇怪だ。それなら貴方が開こうとした店にて、意図的に隠されていたこれらの説明はいかとする?」
ナディアが残していった結婚申請書や、土地の名義書。
それらを見せつけられる。
こちらが勢いよく出れば、直ぐに歯止めとなるような証拠が出される。
まずい状況が切り抜けられない、最良の判断が下せない。
焦る気持ちが冷静な思考を奪っていく。
「それは、俺を嵌めようとした誰かが置いたものだろう」
だから情けなくも、苦しみ紛れの言葉を吐く。
しかしそれを許す程に、貴族は甘くなかった。
「事実として、貴方の開こうとした店では、以前まで貴方の奥様だった女性が経営していた……そう多数の証言があるようだが?」
「……知りません」
ここでも、厄介な事にナディアの店の常連客が邪魔をする。
取るに足らない、何もできない客達だと侮っていた。
今になっては、彼らの証言さえも鵜吞みになる土壌が整ってしまっている。
「新たな証拠を提示いたしましょうか…………呼んでくれ」
貴族が合図をすれば、一人の男性が査問会会場に入って来る。
それはかつての友、セトアだ。
彼は俺の前まで歩いて来て、睨みながら呟いた。
「ルーベル。これはお前が招いた結果だ。悪く思うな」
「……セトア、なにをする気だ」
俺の問いかけを無視し、セトアが複数の書面を皆に配り出す。
堂々とした振る舞いで口上を述べ始めた。
「騎士団の正式な調査により、リナリア姫は確かに妊娠している事が判明いたしました。これは一連の王都での噂が事実であった事を証明するものです」
「おぉ……婚前妊娠とは嘆かわしい」
「王家も落ちたものですな。姫がふしだらな行為とは」
「リ、リナリア姫の蔑視は控えていただきたい! それは俺の査問会とは関係ない!」
リナリア姫を馬鹿にする物言いが許せず、思わず叫ぶ。
しかし貴族達はむしろ好機とばかりに嘲笑し、俺の思考が怒りに染まる。
「なにを笑って––––」
「ルーベル、言ったはずだ。これはお前が招いた結果。リナリア姫の妊娠はお前にも関係がある事だ」
「っ!?」
「貴族の皆々様、次が大きな証拠となります。妊娠時期を確かめた所、三ヶ月前と判明いたしました。この時期の姫は戦地への慰問中であったはず」
その声が響いた途端に、貴族達がざわめき出す。
嘲笑は止み、責める視線が俺に突き刺さっていく。
それを更に強めるように、セトアが声を張り上げた。
「ルーベルは戦地にて姫と関係を結んだことは明らかです」
「なっ……」
「これは重大な軍法違反行為です。戦地での規律を乱し、戦場での士気を下げる行為は我が国への背反行為にもなり得る!」
「ち、ちがっ!!」
「よって騎士団からは正式にルーベルを解任する事が決定いたしました。その後の処罰については、貴族院で裁量して頂ければと思います」
いま、なにを言った。
俺が……騎士を解任されただと?
信じられず、セトアを見つめる。
かつて共に切磋琢磨し、苦しい訓練を乗り越え、騎士に拝命されて喜びを分かち合ってきた友に……俺は解任を通告されたのだ。
「セ、セトア……」
「友だったお前に、こんな事をしたくはなかったよ」
報告を終えて出て行くセトアは背を向けて、もう俺を見ない。
共に訓練していた頃に向けた笑みも、結婚式で祝いの言葉をくれた優しさも……英雄となった俺を賞賛してくれた彼はもうどこにもいない。
「ルーベル殿、此度の報告で上がった軍法違反行為は、リナリア姫の査問会で真偽を確かめた後に処分を下す事とする」
下された判決は最悪なもので、疑いを晴らすどころか……恐らく貴族院の狙い通りに王家にまで調査を始める足がかかりにされた。
なんだ、この結果は……
俺は結局、リナリア姫を守る事も王家の権威を維持する役目も負えなかった。
英雄となった俺は、愛するリナリア姫と添い遂げる事が国のため、もっとも合理的で正しい選択だったはずだ。
なのに今の俺は賞賛どころか、非難の目を向けられ。
友を失った……
「俺は、俺は確かに正しい判断をしたはずだ……これが国にとって最善だった」
俺を救ってくれたリナリア姫、彼女の傍にいれば民にとっても希望となるはずだった。
この長く、重苦しい戦争が続く世の中で、あんなに優しい姫こそが影響力を持つのが最善のはずだ。
聖女こそが、戦争を終わらせる一助となる。
そのためには英雄となった俺が隣に居ればより良い結果を導けると思っていたのに。
「っ!!」
考えていた最中、思わず放心して王都まで出てしまっていた。
そして、なにかを投げつけられ、顔にぐしゃりと気味の悪い感覚が走る。
「これは……」
卵か?
誰が投げたのか確認するために顔を上げれば、王都行き交う民が俺を睨んでいた。
「よく顔をだせたな、英雄さんよ」
「査問会の結果が号外で出てたわよ」
「ち、違う。俺は……」
「黙れ! 俺達が戦争への税金に苦しむ中で……」
「まさか姫と不義なんて!」
どうしてだ、どうしてなんだ。
最善だったはずだ、リナリア姫との傍にいる事こそ民のため、国のためになる。
合理的判断だったはずなのに。
「俺が……間違っていたのか」
こんな時に思い出すのは、三年ぶりに再会した際に遠ざけたナディアの悲しげな表情。
そして彼女が去り際に残した一言だ。
『ルーベル、貴方の傍に幸せがないなら、もう私が支える必要はないわ』
あぁ、そうか。
あの言葉の意味が、今になってようやく分かった。
「これほど……支えられていたというのか」
彼女が去った後、俺には何が残った。
名声は消え、友は失い、職すらも消え去った。
今では民達の罵声を浴びる不名誉を負っている。
ナディアという支えを失った俺の末路を見れば歴然ではないか……俺が最善、合理的と判断した事はきっと……
きっと。
間違いだったのだろう。
今になって後悔が押し寄せても、罵声はやまず、失ったものは戻ってくることはなかった。
査問会の中で、貴族の一人が俺を見て声を出す。
違う、と言えればどれだけ楽だろうか。
「……」
だが粗末な嘘が、さらなる嫌疑を深めると分かって口をつぐむ。
情けなくも、嵌められた状況で選んだのは黙秘。
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「答えねば分からぬ事だ、まさか沈黙が君の答えか?」
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「まさかそれで通るとお思いですか? 英雄と聞いておりましたが、ずいぶんと浅はかで稚拙だな」
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まるで神経をわざと逆なでするような、こちらの失言を誘うような言動だ。
分かっていても癪に障るが、なんとか堪える。
「貴族の皆々様が査問会を開いたのです。俺を疑うならば物的証拠を示すのが筋では?」
「その証拠となる書面をドルメン公爵が示したから問いかけているのだが? 数分も覚えていられないのだな」
「っ!?」
「その証拠の是非について聞いておるのですよ」
「め、明確な証拠にはならぬはずです! 俺がドルメン公爵と結んだ書面は、あくまでくだらぬ噂を止めるための協力を望んだだけで……」
「それでは、記名したのは確かに貴方のようだ。今しがた明言しましたね。それが分かれば充分だ」
「あ……」
単なる挑発かと思えば、何時の間にか先程の問答に導かれてしまう。
剣を握る時と違う、言論での戦など経験がないゆえに呑まれてしまう。
ここで否定せねば、さらに疑いが強まる。
「確かに記名したのは俺です。だがあくまで証拠もない噂を止めるためで……これが間違った行為だと?」
「ほぉ、証拠もない噂とは奇怪だ。それなら貴方が開こうとした店にて、意図的に隠されていたこれらの説明はいかとする?」
ナディアが残していった結婚申請書や、土地の名義書。
それらを見せつけられる。
こちらが勢いよく出れば、直ぐに歯止めとなるような証拠が出される。
まずい状況が切り抜けられない、最良の判断が下せない。
焦る気持ちが冷静な思考を奪っていく。
「それは、俺を嵌めようとした誰かが置いたものだろう」
だから情けなくも、苦しみ紛れの言葉を吐く。
しかしそれを許す程に、貴族は甘くなかった。
「事実として、貴方の開こうとした店では、以前まで貴方の奥様だった女性が経営していた……そう多数の証言があるようだが?」
「……知りません」
ここでも、厄介な事にナディアの店の常連客が邪魔をする。
取るに足らない、何もできない客達だと侮っていた。
今になっては、彼らの証言さえも鵜吞みになる土壌が整ってしまっている。
「新たな証拠を提示いたしましょうか…………呼んでくれ」
貴族が合図をすれば、一人の男性が査問会会場に入って来る。
それはかつての友、セトアだ。
彼は俺の前まで歩いて来て、睨みながら呟いた。
「ルーベル。これはお前が招いた結果だ。悪く思うな」
「……セトア、なにをする気だ」
俺の問いかけを無視し、セトアが複数の書面を皆に配り出す。
堂々とした振る舞いで口上を述べ始めた。
「騎士団の正式な調査により、リナリア姫は確かに妊娠している事が判明いたしました。これは一連の王都での噂が事実であった事を証明するものです」
「おぉ……婚前妊娠とは嘆かわしい」
「王家も落ちたものですな。姫がふしだらな行為とは」
「リ、リナリア姫の蔑視は控えていただきたい! それは俺の査問会とは関係ない!」
リナリア姫を馬鹿にする物言いが許せず、思わず叫ぶ。
しかし貴族達はむしろ好機とばかりに嘲笑し、俺の思考が怒りに染まる。
「なにを笑って––––」
「ルーベル、言ったはずだ。これはお前が招いた結果。リナリア姫の妊娠はお前にも関係がある事だ」
「っ!?」
「貴族の皆々様、次が大きな証拠となります。妊娠時期を確かめた所、三ヶ月前と判明いたしました。この時期の姫は戦地への慰問中であったはず」
その声が響いた途端に、貴族達がざわめき出す。
嘲笑は止み、責める視線が俺に突き刺さっていく。
それを更に強めるように、セトアが声を張り上げた。
「ルーベルは戦地にて姫と関係を結んだことは明らかです」
「なっ……」
「これは重大な軍法違反行為です。戦地での規律を乱し、戦場での士気を下げる行為は我が国への背反行為にもなり得る!」
「ち、ちがっ!!」
「よって騎士団からは正式にルーベルを解任する事が決定いたしました。その後の処罰については、貴族院で裁量して頂ければと思います」
いま、なにを言った。
俺が……騎士を解任されただと?
信じられず、セトアを見つめる。
かつて共に切磋琢磨し、苦しい訓練を乗り越え、騎士に拝命されて喜びを分かち合ってきた友に……俺は解任を通告されたのだ。
「セ、セトア……」
「友だったお前に、こんな事をしたくはなかったよ」
報告を終えて出て行くセトアは背を向けて、もう俺を見ない。
共に訓練していた頃に向けた笑みも、結婚式で祝いの言葉をくれた優しさも……英雄となった俺を賞賛してくれた彼はもうどこにもいない。
「ルーベル殿、此度の報告で上がった軍法違反行為は、リナリア姫の査問会で真偽を確かめた後に処分を下す事とする」
下された判決は最悪なもので、疑いを晴らすどころか……恐らく貴族院の狙い通りに王家にまで調査を始める足がかかりにされた。
なんだ、この結果は……
俺は結局、リナリア姫を守る事も王家の権威を維持する役目も負えなかった。
英雄となった俺は、愛するリナリア姫と添い遂げる事が国のため、もっとも合理的で正しい選択だったはずだ。
なのに今の俺は賞賛どころか、非難の目を向けられ。
友を失った……
「俺は、俺は確かに正しい判断をしたはずだ……これが国にとって最善だった」
俺を救ってくれたリナリア姫、彼女の傍にいれば民にとっても希望となるはずだった。
この長く、重苦しい戦争が続く世の中で、あんなに優しい姫こそが影響力を持つのが最善のはずだ。
聖女こそが、戦争を終わらせる一助となる。
そのためには英雄となった俺が隣に居ればより良い結果を導けると思っていたのに。
「っ!!」
考えていた最中、思わず放心して王都まで出てしまっていた。
そして、なにかを投げつけられ、顔にぐしゃりと気味の悪い感覚が走る。
「これは……」
卵か?
誰が投げたのか確認するために顔を上げれば、王都行き交う民が俺を睨んでいた。
「よく顔をだせたな、英雄さんよ」
「査問会の結果が号外で出てたわよ」
「ち、違う。俺は……」
「黙れ! 俺達が戦争への税金に苦しむ中で……」
「まさか姫と不義なんて!」
どうしてだ、どうしてなんだ。
最善だったはずだ、リナリア姫との傍にいる事こそ民のため、国のためになる。
合理的判断だったはずなのに。
「俺が……間違っていたのか」
こんな時に思い出すのは、三年ぶりに再会した際に遠ざけたナディアの悲しげな表情。
そして彼女が去り際に残した一言だ。
『ルーベル、貴方の傍に幸せがないなら、もう私が支える必要はないわ』
あぁ、そうか。
あの言葉の意味が、今になってようやく分かった。
「これほど……支えられていたというのか」
彼女が去った後、俺には何が残った。
名声は消え、友は失い、職すらも消え去った。
今では民達の罵声を浴びる不名誉を負っている。
ナディアという支えを失った俺の末路を見れば歴然ではないか……俺が最善、合理的と判断した事はきっと……
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