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彼女が変えたもの・⑤ ルーベルside
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脱走兵が騎士団に保護されてから、事態は大きく動き出してしまった。
セトアが主導した調査がリナリア姫にまで及んだのだ。
「正式な抗議をせよ! 騎士団長には解任指示を出せ!」
ロエン陛下は怒りを示し、徹底的な抗戦の構えを示した。
騎士団長の解任指示に加えて、多くの騎士を罪に問うとまで言い出したのだ。
流石に悪手だ。
以前のセトアの瞳を見れば、下手に拒めばこちらが更なる火傷を負う。
だからデムガル大臣は、今もロエン陛下を治めていた。
「ロエン陛下、おやめください。もはや王家に対する嫌疑は止められぬ波となっております」
「……何を言っている! だからこそ止めねばならんだろう!」
「ここにもし影響力の持つ貴族が加われば……隠していた真実は明るみになり––」
デムガル大臣の口上を遮るように、陛下は玉座を叩いた。
その額に青筋が浮かび、怒りが手に取って分かる。
「分かり切った事を言うな!! デムガル、貴様は対策を考えよ!」
「その対策として、王家から正式に公表してほしいのです。全ての事実を認めると」
「っ! なにを言っているか分かっているのか。お前は!」
「此度の事態は全て、こちらに非がある事です。もし明かるみになれば弁解の余地もない」
「……」
「ならば今だ民の熱気が高まらぬ内に認め、誠意をもって謝罪を行えば王家の権威の失墜はまだ最小限となるはず」
「ふざけるな!」
陛下の声が、玉座の間に響き渡る。
俺も同様の気持ちだ、大臣の意見は今度こそ間違っている。
ここで、ナディアに屈して王家の被害は最小となろうと、リナリア姫の評判が地に落ちるのだ。
俺を戦地で救ってくれた彼女のため、後には引けない。
「陛下、これ以上の抵抗は無駄であると提言いたします。より王家のため、最善の選択を……」
「デムガルよ、お前は未来も見据えられないのか。リナリアの聖女としての権威が失墜する事の意味を理解しろ」
「……」
「長き戦争で王家への反感は高まっていた。それでも民の支持があったのはリナリアの価値があったからこそ。それを失えば、どのみち王家が危ぶまれるのだぞ」
ロエン陛下は立ち上がり、俺とデムガル大臣を見つめる。
「そうなれば、敵国は必ず大攻勢に出よう。王家の混乱に乗じて……このテルム王国を侵略するはずだ。そうなれば我が国の、民の未来はどうなる」
「陛下……」
「非がこちらにあろうと、認めてはならない。民達が敵国に蹂躙される未来だけは避けねばならん。それこそ王家の務めだ!」
陛下は私利私欲ではなく、あくまで王国の未来のために判断している。
デムガル大臣も、知恵を絞って王家にとっての最善を提示していた。
そんな中、俺はなにをしている。
戦地にて犠牲を払い、友や、仲間の死を乗り越えてきた俺自身が、国を低迷させてしまっている現状が情けない。
「陛下! ご報告があります!」
玉座の間へと、兵士の一人が入って来る。
慌てぶりに嫌な報告がもたらされるのだと、嫌でも分かった。
「申せ」
「貴族院がルーベル殿に対し、此度の事態について査問会にて問い質す必要があると、通達文が送られてまいりました!」
まさに最悪な報告だ。
貴族院とは、この王国の有力貴族が所属する機関で、時には王家の非を問う場面もある。
簡単に言うなれば王家に並ぶ権力を保持している。
その貴族院の査問会が、俺の噂の真実を追及すると言い出しているのだ。
「騎士団め……貴族を動かし、まずはルーベルを責め崩す気か」
「陛下、ここで真実を認めましょう」
「デムガル、それは出来ぬと言ったはずだ。ルーベル……分かっているな」
ロエン陛下は俺に対して、事実を隠し通せと暗に言に込める。
どうにか切り抜けろと、その瞳が語っていた。
俺はその瞳に応えるように姿勢を正す。
「愛するリナリア姫のためにも……必ずや貴族院を味方につけます。剣だけでなく、言で皆を納得させます!」
「ナディアとやらが虚言を吐いた事で押し通せ。決して貴族共に追及の流れを作らせるな。分かったな」
これ以上は王家やリナリア姫に、迷惑をかけられない。
戦地ではリナリアに……俺は心を救ってもらえ、だからその恩に報いたいと心から誓う。
しかし情けなくも、明確な打開策もないまま査問会の日程が近づいた。
◇◇◇
査問会まで、あと数日。
決意を固めたはいいが、査問会では多数の貴族が質疑をかけてくる。
ただ否定するだけでは駄目だ、しかしどうすれば……
戸惑っていた俺だったが、突然……貴族からの招待状が届いた。
王都近くに居を構える伯爵家からの招待。
打開策を求め、藁にも縋る想いで向かうと、そこには伯爵当主ではなく全く別の方が待っていた。
「よく来てくれた、英雄ルーベル殿」
「ド、ドルメン公爵……なぜここに!?」
「お前に会いたくてな。ここの伯爵に手紙を送ってもらったのだ」
この人を知らぬはずもない。
戦地では幾度も顔を見て来た、名門ドルメン公爵家の当主だ。
軍部においても重要な位置におり、貴族家の中でも抜きん出た影響力を持つ方でもある。
「ほ、本日はどのような要件で俺の元に?」
「君の不名誉な噂についてだ」
「……知っているのですね」
「もちろん。英雄となった君が貴族院の査問会まで呼ばれている。これは戦地の士気にも関わる問題だ」
怒りも当然か。
俺が国王陛下に英雄と称されながら、不名誉を背負った。
それはすなわち、軍部への評価にも繋がるのだから。
「申し訳ありません。ですが少し手違いで誤解が生じているだけです」
「謝罪は必要ない……この際、真偽についても関係のない事と言えよう」
「それは、一体どういう意味ですか?」
「次の査問会の際、ドルメン公爵家は正式に君の罪状追及を差し止めるように提言しよう」
「っ!!」
願ってもない事だが、あまりに都合のいい展開に飛びつけない。
それを察してか、ドルメン公爵は微笑んだ。
「戦地を構える我が領地からすれば、君が英雄として影響力を保持する方が都合がいい」
「……」
「士気は高まり、志願兵も集うだろう。疲弊した軍状況の中……英雄という希望は皆が前に進む原動力ともいえる。馬鹿げた噂で失うにはあまりに惜しい」
「対価に何を望むのですか」
「君が戦地にて手に入れた恩賞金の八割を頂こう。無償ではいくまい?」
確かに、むしろ金銭的要求がある方がこちらも安心はできる。
双方共にメリットのある提案ならば、警戒せずに頼めると思えたのだ。
「頼めますか。ドルメン公爵」
「分かった。それでは……形式的ながらも紙での交渉締結といこうか」
ドルメン公爵が差し出したのは、約束を違えぬと誓う書面。
破れば謝罪金を支払うといった事が、事細かに明文されている。
「これは?」
「書面で締結すれば君も安心できるだろう? いずれ君も英雄として家名を授かる予定なら覚えておくといい。貴族は書面での契約が当たり前の作法だ」
そうか、すでにドルメン公爵は俺を……家名を授かると見越して相手をしてくれている。
本当にありがたく、嬉しさと共に筆をとる。
「署名しました。俺も全力で抗議をいたします。共にふざけた噂に終止符を打ってください」
「あぁ、英雄をここで絶やしてはならない。君の戦地での活躍がこんな事で消えていいはずがないのだから」
なんて事だろうか。
ここに来て舞い込んだ幸運に思わず感謝をしたい。
ナディアのせいで散々な事ばかりだったが、俺の過去がしっかりと支えてくれている。
あの苦しみの中で生き抜いた戦地での日々は……無駄ではなかった。
感謝を伝えるため、ドルメン公爵へと頭を下げた。
はずだったのに……
「被告、ルーベル殿が犯した行為は……到底許されるものではない!」
王城広間にて設けられた、貴族院による査問会会場。
噂の真偽を確かめる場、その円卓の中心に立つ俺に対し、最も強く言葉を投げかけていたのは……
他でもないドルメン公爵だった。
「王都での噂も、真偽は確かであると確信を持って言おう!」
「どうして……ドルメン公爵……」
「噂の真実性を明確に示す証拠を、皆にお見せいたしましょう」
ドルメン公爵は仰々しくも前に出て、査問会を開いた貴族達へとある書面を見せた。
それはまさに、互いに記名した……あの書面だ。
「彼は罪の自覚があるからこそ、罪の隠蔽を提案する私を受け入れた」
「……っ!!」
「清廉潔白であれば、こんな事をするはずがないというのにだ!」
ここに来て、ドルメン公爵の思惑が分かってしまう。
査問会で貴族達が責める流れを作るために嵌められたのだ。
気付いて顔を上げると、ドルメン公爵が微笑む。
「貴族とは騙し合いが常であり、書面などという物的証拠を残すはずもないだろう。青二才が……査問会で言い逃れが出来ると思っていたか?」
「な……なぜ。貴方になんの恨みがあってこんな事を!」
「ナディア嬢に言われたからだ、責務を果たせとな」
呟かれた言葉と名前に、身が震えた。
ナディアがどこまで手を広げているのか、もう俺には分からない。
そして今まさに、俺の罪を追及する査問会が最悪の形で始まった。
セトアが主導した調査がリナリア姫にまで及んだのだ。
「正式な抗議をせよ! 騎士団長には解任指示を出せ!」
ロエン陛下は怒りを示し、徹底的な抗戦の構えを示した。
騎士団長の解任指示に加えて、多くの騎士を罪に問うとまで言い出したのだ。
流石に悪手だ。
以前のセトアの瞳を見れば、下手に拒めばこちらが更なる火傷を負う。
だからデムガル大臣は、今もロエン陛下を治めていた。
「ロエン陛下、おやめください。もはや王家に対する嫌疑は止められぬ波となっております」
「……何を言っている! だからこそ止めねばならんだろう!」
「ここにもし影響力の持つ貴族が加われば……隠していた真実は明るみになり––」
デムガル大臣の口上を遮るように、陛下は玉座を叩いた。
その額に青筋が浮かび、怒りが手に取って分かる。
「分かり切った事を言うな!! デムガル、貴様は対策を考えよ!」
「その対策として、王家から正式に公表してほしいのです。全ての事実を認めると」
「っ! なにを言っているか分かっているのか。お前は!」
「此度の事態は全て、こちらに非がある事です。もし明かるみになれば弁解の余地もない」
「……」
「ならば今だ民の熱気が高まらぬ内に認め、誠意をもって謝罪を行えば王家の権威の失墜はまだ最小限となるはず」
「ふざけるな!」
陛下の声が、玉座の間に響き渡る。
俺も同様の気持ちだ、大臣の意見は今度こそ間違っている。
ここで、ナディアに屈して王家の被害は最小となろうと、リナリア姫の評判が地に落ちるのだ。
俺を戦地で救ってくれた彼女のため、後には引けない。
「陛下、これ以上の抵抗は無駄であると提言いたします。より王家のため、最善の選択を……」
「デムガルよ、お前は未来も見据えられないのか。リナリアの聖女としての権威が失墜する事の意味を理解しろ」
「……」
「長き戦争で王家への反感は高まっていた。それでも民の支持があったのはリナリアの価値があったからこそ。それを失えば、どのみち王家が危ぶまれるのだぞ」
ロエン陛下は立ち上がり、俺とデムガル大臣を見つめる。
「そうなれば、敵国は必ず大攻勢に出よう。王家の混乱に乗じて……このテルム王国を侵略するはずだ。そうなれば我が国の、民の未来はどうなる」
「陛下……」
「非がこちらにあろうと、認めてはならない。民達が敵国に蹂躙される未来だけは避けねばならん。それこそ王家の務めだ!」
陛下は私利私欲ではなく、あくまで王国の未来のために判断している。
デムガル大臣も、知恵を絞って王家にとっての最善を提示していた。
そんな中、俺はなにをしている。
戦地にて犠牲を払い、友や、仲間の死を乗り越えてきた俺自身が、国を低迷させてしまっている現状が情けない。
「陛下! ご報告があります!」
玉座の間へと、兵士の一人が入って来る。
慌てぶりに嫌な報告がもたらされるのだと、嫌でも分かった。
「申せ」
「貴族院がルーベル殿に対し、此度の事態について査問会にて問い質す必要があると、通達文が送られてまいりました!」
まさに最悪な報告だ。
貴族院とは、この王国の有力貴族が所属する機関で、時には王家の非を問う場面もある。
簡単に言うなれば王家に並ぶ権力を保持している。
その貴族院の査問会が、俺の噂の真実を追及すると言い出しているのだ。
「騎士団め……貴族を動かし、まずはルーベルを責め崩す気か」
「陛下、ここで真実を認めましょう」
「デムガル、それは出来ぬと言ったはずだ。ルーベル……分かっているな」
ロエン陛下は俺に対して、事実を隠し通せと暗に言に込める。
どうにか切り抜けろと、その瞳が語っていた。
俺はその瞳に応えるように姿勢を正す。
「愛するリナリア姫のためにも……必ずや貴族院を味方につけます。剣だけでなく、言で皆を納得させます!」
「ナディアとやらが虚言を吐いた事で押し通せ。決して貴族共に追及の流れを作らせるな。分かったな」
これ以上は王家やリナリア姫に、迷惑をかけられない。
戦地ではリナリアに……俺は心を救ってもらえ、だからその恩に報いたいと心から誓う。
しかし情けなくも、明確な打開策もないまま査問会の日程が近づいた。
◇◇◇
査問会まで、あと数日。
決意を固めたはいいが、査問会では多数の貴族が質疑をかけてくる。
ただ否定するだけでは駄目だ、しかしどうすれば……
戸惑っていた俺だったが、突然……貴族からの招待状が届いた。
王都近くに居を構える伯爵家からの招待。
打開策を求め、藁にも縋る想いで向かうと、そこには伯爵当主ではなく全く別の方が待っていた。
「よく来てくれた、英雄ルーベル殿」
「ド、ドルメン公爵……なぜここに!?」
「お前に会いたくてな。ここの伯爵に手紙を送ってもらったのだ」
この人を知らぬはずもない。
戦地では幾度も顔を見て来た、名門ドルメン公爵家の当主だ。
軍部においても重要な位置におり、貴族家の中でも抜きん出た影響力を持つ方でもある。
「ほ、本日はどのような要件で俺の元に?」
「君の不名誉な噂についてだ」
「……知っているのですね」
「もちろん。英雄となった君が貴族院の査問会まで呼ばれている。これは戦地の士気にも関わる問題だ」
怒りも当然か。
俺が国王陛下に英雄と称されながら、不名誉を背負った。
それはすなわち、軍部への評価にも繋がるのだから。
「申し訳ありません。ですが少し手違いで誤解が生じているだけです」
「謝罪は必要ない……この際、真偽についても関係のない事と言えよう」
「それは、一体どういう意味ですか?」
「次の査問会の際、ドルメン公爵家は正式に君の罪状追及を差し止めるように提言しよう」
「っ!!」
願ってもない事だが、あまりに都合のいい展開に飛びつけない。
それを察してか、ドルメン公爵は微笑んだ。
「戦地を構える我が領地からすれば、君が英雄として影響力を保持する方が都合がいい」
「……」
「士気は高まり、志願兵も集うだろう。疲弊した軍状況の中……英雄という希望は皆が前に進む原動力ともいえる。馬鹿げた噂で失うにはあまりに惜しい」
「対価に何を望むのですか」
「君が戦地にて手に入れた恩賞金の八割を頂こう。無償ではいくまい?」
確かに、むしろ金銭的要求がある方がこちらも安心はできる。
双方共にメリットのある提案ならば、警戒せずに頼めると思えたのだ。
「頼めますか。ドルメン公爵」
「分かった。それでは……形式的ながらも紙での交渉締結といこうか」
ドルメン公爵が差し出したのは、約束を違えぬと誓う書面。
破れば謝罪金を支払うといった事が、事細かに明文されている。
「これは?」
「書面で締結すれば君も安心できるだろう? いずれ君も英雄として家名を授かる予定なら覚えておくといい。貴族は書面での契約が当たり前の作法だ」
そうか、すでにドルメン公爵は俺を……家名を授かると見越して相手をしてくれている。
本当にありがたく、嬉しさと共に筆をとる。
「署名しました。俺も全力で抗議をいたします。共にふざけた噂に終止符を打ってください」
「あぁ、英雄をここで絶やしてはならない。君の戦地での活躍がこんな事で消えていいはずがないのだから」
なんて事だろうか。
ここに来て舞い込んだ幸運に思わず感謝をしたい。
ナディアのせいで散々な事ばかりだったが、俺の過去がしっかりと支えてくれている。
あの苦しみの中で生き抜いた戦地での日々は……無駄ではなかった。
感謝を伝えるため、ドルメン公爵へと頭を下げた。
はずだったのに……
「被告、ルーベル殿が犯した行為は……到底許されるものではない!」
王城広間にて設けられた、貴族院による査問会会場。
噂の真偽を確かめる場、その円卓の中心に立つ俺に対し、最も強く言葉を投げかけていたのは……
他でもないドルメン公爵だった。
「王都での噂も、真偽は確かであると確信を持って言おう!」
「どうして……ドルメン公爵……」
「噂の真実性を明確に示す証拠を、皆にお見せいたしましょう」
ドルメン公爵は仰々しくも前に出て、査問会を開いた貴族達へとある書面を見せた。
それはまさに、互いに記名した……あの書面だ。
「彼は罪の自覚があるからこそ、罪の隠蔽を提案する私を受け入れた」
「……っ!!」
「清廉潔白であれば、こんな事をするはずがないというのにだ!」
ここに来て、ドルメン公爵の思惑が分かってしまう。
査問会で貴族達が責める流れを作るために嵌められたのだ。
気付いて顔を上げると、ドルメン公爵が微笑む。
「貴族とは騙し合いが常であり、書面などという物的証拠を残すはずもないだろう。青二才が……査問会で言い逃れが出来ると思っていたか?」
「な……なぜ。貴方になんの恨みがあってこんな事を!」
「ナディア嬢に言われたからだ、責務を果たせとな」
呟かれた言葉と名前に、身が震えた。
ナディアがどこまで手を広げているのか、もう俺には分からない。
そして今まさに、俺の罪を追及する査問会が最悪の形で始まった。
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